新世紀エヴァンゲリオン
黄金色の騎士〜A golden knight〜
第1話 The nightmare which breaks and dies


父と子が地下深くで感動を誘わない再会を果たしている時間、地上ではDAが
数人の人間と対峙していた。

「相手にも成らんな・・・依頼人の名を言えば助けてやらなくもない」

「戦自・・・それ以上は言えない」

「そう、ありがとう。君の命だけは助けてあげる・・・」

まわりの数人のみを殺害し、答えた人間は手足を切り取り、舌を引き抜いた。
その光景を見ている物は誰一人としていないが、もしいればDAの事をこう呼
んだかも知れない。「黒い悪魔」と・・・

「そうそう、俺はDerek Angel。DAとでも呼んでくれ」

死なない程度に止血しDAはそう言い残すと、相手のポケットを探り最新の着
信履歴へとダイヤルした。この行動により、数人の殺人集団のうち一名だけ
無惨な形で生存するという奇怪な事態が起こったのだ。
そして、人口舌手術により回復した彼は「死に神・・・」とつぶやき、今度
は精神の迷宮へ迷い込んでいった。


その頃地下では・・・


「乗るなら速くしろ、でなければ帰れ!」

「無理だよ、見たことも聞いたこともないのに乗れるわけないよ!!」

ゲンドウの相手を全く無視する発言にさすがのシンジも反抗体制になり、結
果として綾波レイが無理矢理乗せられる事となるのだが、エヴァ初号機が二
人を守り、傷ついたレイを間近に見たシンジが乗ることとなった。
そして、エヴァがカタパルトから射出されようと言う時に侵入者警報が発令
所内に鳴り響き、保安部が一斉に侵入者射殺に向かって行った。

「何があったんですかミサトさん!」

「あなたは気にしなくていいのよ。大人の世界だからねん♪」

努めて明るく言うミサトだが、顔には緊張の色が現れ隠れない。そんな表情
を<ご機嫌取りの申し子>であるシンジが見過ごすわけがなかった。

「何かあったんでしょ!ミサトさん!父さん!」

「お前には関係ない、お前はやるべき事をやれ」

ゲンドウの重々しいその一言で、シンジの舌機能は完全に停止する。彼はま
だ誰かに正面から反抗できるほど強い精神を持ってはいなかったのだ。

「葛木一尉以外の通信をカット、パイロットを混乱させるな」

シンジの耳にはそれ以来、ミサトのマイクが拾うかすかな音しか届かなくな
り、さらに地上に射出されたことによりまわりが見えなくなってしまう。

『第3ブロック通過されました!』
『各ブロック隔壁をおろせ!』
『第4ブロックで交戦中!当方の死傷者多数!抑え切れません!!』
『第6ブロックに侵入させるな!』
『第5ブロックの隔壁融解!侵入されます!』

「うわぁぁぁ!」

「シンジ君!!」

地上に出たエヴァ初号機は使徒と呼ばれる生命体の攻撃を直に受け、激痛を
シンジに与えていた。それはシンクロシステムという新しいフィードバック
システムによる代償でもある。パイロットの思い通りに操作ができる反面、
痛みすらもフィードバックしてしまうのだ。

「しっかりして、貴方の手じゃないの!壊れたのエヴァだけよ!」

必死に説得するミサトの周りを保安部員が壁のようにして立っている。既に
侵入者は発令所の手前まで迫っていたのだ。

「初めまして」

場違いな言葉を発したのは黒ずくめの服に大量の返り血を浴びた青年。DA
である。ただし、彼が殺害したのはあまりにもしつこい者のみで、それ以外
の者には眠ってもらっただけであるが、たった一人にここまで侵入されたこ
とは保安部員にとって衝撃以外の何物でもなく、一部の保安部員は発狂する
ものまで現れている。

「喧嘩するつもりはなかったんだが、こいつらが一斉に発砲したのでね」

黒いバイザーからわずかに見える口元には薄い笑みがこぼれていた。ただ、
それを綺麗と感じる者はおらずただ恐怖におびえる者が大半であった。ただ
一人、それを真っ向から受けたのはネルフ総司令碇ゲンドウその人である。

「誰だ貴様は・・・」

「後でゆっくり話そうじゃないか。今は使徒戦が最優先だろ?」

そう言ったDAの視線の先には咆哮するエヴァが一気に先ほどまで苦戦してい
た使徒を殴り倒していた。
後に第3使徒サキエルと呼ばれるものは、顔面を殴りつけられ全身を乱打さ
れていく。そして、遂にはコアと呼ばれる活動機関に亀裂が入りサキエルの
動きが怪しくなっていった。

「微動・・・って所だな」

急に現れたDAに驚きつつも、表情を見せないゲンドウは流石と言うべきか。

「悪夢も覚めるんだよ。碇ゲンドウ・・・」

モニターを見つめつつそういうDAに一瞬冬月が反応する。ゲンドウはこの計
画に後ろめたさや卑劣さを感じてはいないが、冬月は人間らしさを根底まで
なくすことはできなかった。

「やはり貴方は人間なのですね。冬月コウゾウさん。この悪夢の計画を実行
 したいなら。人間らしさはなくさないとね」

依然としてDAはモニターから目をそらさない。その光景を見ていたのは保安
カメラと冬月コウゾウだけだ。ゲンドウは気にはしているのだろうが、表面
的には無関心を装っている。
そこはすばらしい精神力としかいえないだろう。

「さて、俺はここでどうなるのかな?残っている保安部員で討伐でもする?」

DAの口元には、微笑みと言うより悪戯心に溢れた笑みがこぼれだしていた。
それは、保安部の無力さと現在ネルフのおかれた状況を確認させる一言であ
る。

「現時刻をもってお前を拘束。第3独房へと連行する」

声は後ろからかかってきた。声の主はネルフの諜報部、しかも司令直属の高
位の者たちであった。10名ほど入室していているが、その何れもが完全武装
であり、武装だけで言えばUNも驚くほどである。

「完全武装で連行・・・ね。まぁいいさ。今は大人しく捕まってあげる」

そう言うとDAは自ら両手をそろえて上をつけさせると、そのまま独房へと自
分の足で向かっていった。そして、そこへ向かう途中すれ違いざまにシンジ
がタンカで運ばれていくのを目撃した。そして、自分も過去あんな格好で運
び込まれたかと思うと少々情けない気がしていた。

「碇・・・彼の存在は計画に支障をきたすぞ」

「問題ない。全てのイレギュラーは修正可能な範囲ですよ」

「お前のその自信はいったいどこから来るんだ・・・」

冬月は常に自信を持ちつづけている上司に少々の不安感を募らせていた。そ
れはDAという異例の存在がそうさせているのかどうかは本人すらわかっては
いないだろう。

「ここは一般職員が入れる最下層だ。そうそう簡単に逃げられると思うなよ」

そう言ったのはDAを独房へと運んでいった諜報部のリーダ格であろう男だ。
何かにつけて高圧的に話すあたり、成り上がりの人間なのであろう。それ相
応の実力を持ったものなら、節度と限度を弁えているからである。

「あぁ、片隅にでもとどめておくよ。あんたの顔もな」

そう言ったDAに不敵な顔を見せ、ドアの開閉スイッチを押す。急速にドアが
閉まり、ドアロックがかかった瞬間にDAの手錠が外れた。
ネルフ内の独房に設置されている壁と扉は全て原爆クラスの爆発なら絶えれ
る程強力で、ドアに関してはシェルターに使用されているものを3層にして
いるため、遠距離ならN2の攻撃にすら耐えうる。さらに自動ロックは強力
電磁ロックで、扉の開閉も油圧式であるため人間に開けれるものではない。

「いやに厳重な警戒だな」

DAが言うようにここまで厳重なセキュリティ体制を強いているにもかかわら
ず、扉の前には3人の警備が立っている。DAは視覚によらずその気配を察知
し、苦笑いしている。

『聞こえるかね』

「あぁ、よく聞こえるよ冬月副司令」

独房内に監視カメラが設置されてるのは当然のことと思っていたが、まさか
マイクとスピーカーまであるとは予想を裏切った。

「しかしすごい警備ですね。人一人に仰仰しくありませんか?」

『非礼を詫びる必要は無い。貴様に質問したい事が有る』

次に相手を人と思わないような声をかけてきたのはゲンドウである。常に本
心を隠す為に全てを偽ってきた男である。

「黙秘権を行使させてもらうよ。強制的に話させるつもりならこちらにも考
 えがある」

『貴様に拒否権は無い』

『すまないな、この男は礼儀を知らぬものでな。まずは一方的に質問させて
 もらうよ』

DAは一切返答をしない。黙秘権を行使するわけではなく、一方的に質問する
といった冬月の言葉に従ったまでであった。ただ、それが肯定を示すかどう
かは表情を見る事ができない。

『まず君はいったいどこで補完計画の情報を知ったのかね?』

『そして貴様はどうやってここへの侵入口を開いた』

『最後に君は敵か見方か』

正しく一方的な質問であった、しかも自分たちが知りたい事を的確に質問し
ている。そんな質問内容に苦笑をこらえながら極めて無表情に答えた。

「まず第1の質問。それは秘密だよ。第2は目の前で見た通りさ、最後はど
 ちらでもない、あんたたちので方次第でどちらにでも転がるよ」

そう言ったDAの仕草は両手を広げる仕草をしながら肩をすくめた。全身黒尽
くめの服装とは違い、まるで子供のような明るさを持った仕草である。

『そうか、では最後の質問だ』

『君は何者かね』

この質問を待っていたかのようにゆっくりとカメラがるであろう方向に顔を
向けると、ニヤリと口を歪め「夢を壊すもの、堕ちた天使さ」と答えると、
精神を集中し室内に充満させる。瞬間独房をモニターしていたマイクやカメ
ラが壊れ、優れた強度を誇る耐圧ドアを吹き飛ばしてしまった。

「さて、もう一度お遊びをしようか」

ドアが吹き飛び呆然としている警備に声をかけると、間髪要れず鳩尾に蹴り
を叩きつける。防弾チョッキに護られているはずの胸部につま先がめり込み
男の口から赤い液体が飛び散った。その光景を目の当たりにした2人の警備
のうち一人は逃げ出そうとDAに背を向け走り出したが、真っ先に襟元首をつ
かまれ、後ろに放り投げられた。

「別に敵前逃亡を罰しようって言うわけじゃない。ただ、味方をおいて逃げ
 るのが許せないんだ」

そういわれた男の目に飛び込んできたのは靴のかかとについたナイフである。
そのナイフは男の右目を正確に切り裂き、正確な方向・距離の把握を不可能
にさせる。後部から拳銃を構えた男には蹴りを放った反動を利用し、今度は
後ろ回し蹴りを放つ。その蹴りは相手のこめかみを正確に蹴り上げ、一瞬に
して昏倒状態におちいらした。

「さて、上部に案内してもらおう。それとも命が無くなるのとどちらがお好
 み?」

無条件に首を縦に振ると階上へと向かっていく。ただ、その男の片目には絶
望ではなく一縷の希望が見える。DAがそれに気付かないわけもなく、後方も
警戒していた。

「脱獄として射殺する!!」

そう後ろから声がし発砲した音が階層に響き渡る。だが、倒れたのは発砲し
た男でもDAなく、DAを拘束しようとした男であった。DAに着弾するかどうか
の瞬間、身を捩り男を盾にしたのである。銃弾は真直ぐDAの後頭部を狙った
ため、綺麗に男の眉間にHITしたのだった。

「いい腕だ、殺してしまうのがもったいない」

その声を聞いた場所が男の人生の終着駅であった。視界からDAが消えると同
時に息苦しさを感じたのである。理由は瞬間的に背後に回ったDAが首に男の
腕を絡ませたからであった。最後の抵抗か、方向の定まらない拳銃を撃つと
同時に息を引き取った。

「いい腕だよ、本当に・・・」

そう呟いたのには理由がある。男は窒息死する直前に自由の効く腕を使い階
上へとつながる階段入り口を閉鎖したのだ。このシステムは万が一火災になっ
た時に利用される隔壁システムで、同時に階上の者へと警報により知らせる
物となっていた。つまりは、結果は同にせよ確認のため数人はここに降りて
くるのだ。

「ネルフ・・・俺と全面戦闘するつもりか?」

別段緊張した面持ちでもなくそう言うと、角々にあるモニターカメラを潰し
て回る。これだけで今どこに誰がいるかは判断を難しくさせる。
もともと、一部のものを除きこの施設内の物は「専門技術を勉強した素人」
でしかない。『経験者の勘』というものは存在しない。
つい先日まで素人だったDA(碇シンジ)であったが、LCLに還った人の記憶
を吸収し、あたかも経験者であるような動きができる。しかも、世界最強の
暗殺者の記憶をトレースしたわけだ。

「玄人相手にどこまでやれるかな?」

倒れた3人の男から拳銃をすばやく奪うと、極めて目立ちやすいところに隠
れる。これは素人と対戦するときのセオリーの一つであり、素人はどうして
も目立ちにくいところを最初に探してしまうものである。その裏をかき攻撃
すると言う戦法であった。

「しかし、何だな。この知識がここまで役に立つとはね」

自分の知識を皮肉りながら、急所を狙わずに肩口を狙って銃弾を放つ。そし
て落ちた拳銃を拾い、自分の銃弾に加えるという技を平然と仕上げているの
だ。

「さて、後何人かな?」

軽口を叩きながらも、神経は周囲一体に張り巡らされている。既に7名の職
員を戦闘不能状態にしたとはいえ、ネルフにいる活動可能な職員はまだいる
だろう。そして、それが一度に来るとなれば隠された力を使用しなければい
けない。

「脱獄犯をこの階から動かすな!何なら殺してもかまわん!」

階段付近で怒鳴る声に聞き覚えがあった。それは自分が投獄される際に聞い
た成り上がりっぽい仕官の声である。

「この期に及んでまだ上にいるとはね。やっぱり気に食わないや」

既にDAの周りは黒く焼け焦げている。理由は手榴弾を大量に投げ込んできて
いるからだ。ただ、それ故に地形が変わり職員自体場所を把握しにくくなっ
ている。それに、爆発に巻き込まれ命を失う職員は既に2桁を超えてしまっ
ていた。実にDAが手を下す以上の人数である。

「さて、終わりにしようか・・・お遊戯の時間も」

その声は仕官の背後からし、気が付いたときには自分の胸に銃を突きつけら
れていた。

「碇ゲンドウへの通信を開け」

有無を言わさぬ迫力でそう言うと、男は助かりたいばかりに回線を開く。2・
3言話すとそのまま男に告げた。「司令は俺を保護するそうだ」と・・・

「!!はっはい!戦闘中止だ!現時刻をもって戦闘を中止せよ!!」

その号令に従い、戦闘を終了させた職員が見たのは無残にも片手を引きちぎ
られた上官の姿であった。叫び声は既にあげられぬほどであり、口からはよ
だれ、下からはアンモニア臭を含む黄色い液体が溢れている。

「自分は死にたくないが、部下は平気で死地に送る・・・仕官としては無能
 だな。仕官は死地を知っていなくてはいけないな。勝てるか負けるかも経
 験を隔てないと駄目だな」

そう言うと、階段を上り発令所へと向かっていった。既に独房のある階は戦
闘のためほぼ壊滅。しかもその被害は職員による手榴弾がほとんどであり、
DAが手を下したものはほとんどなかった。
そして、煙がほぼ抜けた後、職員たちが目にしたのは爆発に巻き込まれて死
んだ職員たちであり、その無残さに多くの職員は嘔吐感をこらえきれなかっ
たのである。


zeru : 第1話をお送りしました
DA : おぃ俺が凶悪すぎねぇか?
zeru : 演出ですよ。え・ん・しゅ・つ(ハート)
DA : やかましぃ!死ねぇぇぇ
zeru : のおぉぉぉぉ!

シンジ:第2話をお待ち下さい<
(_ _)>


ハルカの勝手コメント

 zeruさんから「黄金色の騎士」第二話を頂きました。

 しかしなんだか帰ってきたほうのシンジ君(DA)怖い…

 ともあれ早速大暴れのDAですが、ハルカとしては本物(おい)のシンジ君がどう行動していくのかが楽しみなところ。

 zeruさん、どうもありがとうございました。皆さん、是非zeruさんに感想メールを(^^

 

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