堕天記 蒼きシスター 

第一章 淫虐教会



 「おおっ、主が我等に使いを遣わしてくだされた!」

 既に時計の針が2時を指す夜更け、静まった礼拝堂に歓喜に満ちた声が響いていた。
 礼拝堂の大きさはそれほどでもない。由緒ある大教会のそれに比べると、空間の狭さに霹靂するかもしれない。
 だが、白と金を基調とした大きな十字架、天上の神の恩恵が降り注ぐ様を描いたステンドグラス、白木を用いた品位 ある説教壇やベンチなど、素晴らしい作りと評価できた。
 その礼拝の中央で細身の司教が頭上を仰いで喜びの叫びを上げていた。
 
 やっと、救いが訪れる。
 この狂気と怨嗟に満ちた世界を憂っていた彼は毎朝、毎晩、心痛を重ねていた。
 どうすれば世界を救えるのか、どうすれば神の威光をこの世に取り戻せるのか。
 そのために彼は努力を惜しまず、様々な試みを行っていた。
 だが、それで光を取り戻せ得ないだろうと心の内では諦めかけていた。
 しかし、そんな彼は夜更け、何かに導かれるように寝床を起き、この礼拝堂へと足を向けた。
 そして、聖書の教えを描いた天上に光のホールが現れるのを目撃したのだった。
 普通では体験しようも無い超常現象、しかし、救いを求めていた彼には神が我らのために使者である天使が舞い降 りようとしている姿に見えたのだろう。
 ついに祈りは通じたと…

 しかし、光り輝く空間から現れたのは黒く禍々しい翼だった。





 「……ふふぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!……っと、眠い…」
 「だらしないアクビしながら車運転しないでよ、ロゼット」
 どこまでも続くかと思える麦畑、その中に一本だけ走る道路をボロボロの車が走っていく。
 車には大きな欠伸をしながら運転する少女とそれに呆れ返る少年の二人が乗っていた。
 誰もが眉をひそめるほどだらしなく、情けない大きな欠伸をする少女。目の下に隈が出来ており、鼻はヒクヒク震えて いる。まさに寝坊した学生さながらの顔だ。しかし、現況の酷さは置いておいて、彼女の顔立ちは決して悪いものではな い。いや、十分過ぎるほどの美少女だった。
 シスターのフードに隠され僅かしか見えない金髪は癖がある男なら触れたくなるような繊細で美しい。透き通るような 瑠璃色の瞳は美しいと形容できたが、茶目っ気を称えており、可愛らしい印象を受ける。小さく整った顔立ち、健康的な 肌など魅力たっぷりの少女…のはずなのに、この自堕落満載の姿は何とかできないのか?と叫びたい。
 もう一人の少年は紫が掛かった黒髪を持っている。あまりに長い髪は背中で結っている。後ろから見れば少年少女 の見分けはつかないのではないだろうか?実際、彼の顔は中性的な美形であり、街に出ればそれなりに少女達の目を 引く美少年には間違いない。しかし、彼の持つ赤い瞳は吸い込まれそうなほど美しいが、何か底知れぬ印象を受ける。

 少女の名はロゼット=クリストファ、少年の名はクロノという。
 二人は『マグダラ修道会』という組織に属するエクソシスト(悪魔祓い)とその助手である。マグダラ修道会は急激に増 加したポルダーガイストや怪異現象、そして異形の者達などを対処するための組織である。彼女、ロゼットはつい先 日、クラス1st修道騎士『ミリティア』に昇進したばかりのエクソシストである。そして、クロノという少年は一応、ロゼット のサポートに徹する「助手」「付き人」としてマグダラ修道会にいる。しかし、この二人にはある秘密を持っている。

 「だいたい〜昨日は街中に現れたバケモン退治に夜遅くまで出てたんじゃない!それが疲れて帰った途端、シスター ケイトがこんな田舎の方に出張命じたんじゃない!ロクに寝てないのに…」
 「ま、仕方がないんじゃない?」
 「仕方がない…で、私の睡眠時間が奪われる…理不尽だわ、理不尽すぎる!」
 「帰ったら、昨日、壊した建物の始末書書かないといけないしね」
 「…って嫌な事を思い出させるな〜!」
 「あ、あ、あ、あぶない〜!安全運転、安全運転…」
 「ウガ−−−!」

 実はクロノという少年は『罪人クロノ』『爵位の剥奪者』など数々の異名を持つ強大な悪魔なのである。数十年前に強 大な魔力の源である『角』を失い、封印されていたが、ある少女と『契約』を結ぶ事である程度の力を行使する手段を得 た。その少女こそがロゼットである。契約者の魂、つまり生命を受け取る事で一時的にも魔力を発動する、それが『契 約』だったが、ロゼットはクロノと契約を結んだ…大切な肉親である弟ヨシュアを悪魔の手から取り戻すために。
 結局、ヨシュアは行方知れずとなってしまったが、彼女はマグダラ修道会に身を寄せる事になり、エクソシストとなっ た。そして今までクロノと一緒に様々な苦難を乗り越えてきたのだった。いつかクロノと一緒にヨシュアを探しに行きた い。それがロゼットの希望である。
 

 「さてと…到着ね…」
 「…………死ぬかと思った…」
 ロゼットが蛇行運転&スピード違反の末に到着したのは山の麓、古い城壁に囲まれた村だった。
 今回、ロゼット達がこの村に来たのはシスターケイトの命令によるものである。この『ジムフォーク』と呼ばれる村はか つて南北戦争の際、南軍の砦があった場所で激戦が繰り広げられたという。この村をすっぽり囲む城壁はその時代の 名残らしい。しかし、この地域には昔から悩みがあった。南北戦争で多くの人がこの一帯で死んだ事が起因していると 言われるが、この村周辺は昔から心霊現象や怪物等の事件が頻発していた。最近では第一次世界大戦の悪影響を 受けたのか、死人まで出ているという話である。そこでこのジムフォークにある教会『チューリ修道会』の神父バナード 司祭はマグダラ修道会を模してエクソシストの組織をチューリ修道会にも作ろうと前々から準備していた。最近ではエク ソシスト候補の育成も順調だと言う。そこで、何故、ロゼットが呼ばれたか言うと、バナード司祭がマグダラ修道会に「チ ューリ修道会が育成しているエクソシストに色々と教えて頂きたい」という要請があったからだ。しかも先方はロゼットを 名指しで指名したという。
 「何で私なんかが指名されたんだろう?他に立派な人はたくさんいると思うけどなー」
 彼女は自分が「良い手本」だとは夢にも思っていない。いつもシスターケイトに怒られているし、出動のたびに何かを 壊している、始末書の山にいつもヒィヒィ言っている。一応、ミリティアには昇格できたが、それでもエクソシスト候補生に 教えを伝えられる存在とは思えない。
 「……もしかして悪い例?」
 「!?……ク・ロ・ノ〜〜!」
 「いいいいいいたいいたいいたい〜〜!」
 ロゼット必殺の『頭グリグリ』がクロノのこめかみに炸裂する。悪魔少年の両目が×となっている。悪い例…本当にあ りそうなので、なおの事不愉快だ。
 
 さて、目的に到着し、村の入り口、旧城門前に車を停車させ、青いシスターと赤い目の少年が降りる。フード付きの青 い修道着は普通のシスターのそれに類似しているが、特筆すべきは軽装に徹している事だ。短い袖、大きくスリットの 入ったスカート部等、戦闘に必要な機敏な動きという要求を盛り込んだ修道着は戦闘服とも呼称できるだろう。大きな スリットの合間からすらりとした足が覗いている。素足を隠すためか白いオーバーニーソックスを履いているが、ピッチ リと脚のラインを顕にするため逆に色気を感じさせる。可憐な容姿、恵まれた肢体を持つ彼女の悪魔祓いのために特 化した修道着でさえ魅力的に栄えて見える。そしてその胸には一つの懐中時計が首から下げられていた。これこそロ ゼットとクロノの契約の証であり、ロゼットの魂がクロノに流れすぎないよう抑制する制御装置。そして二人を繋ぐ絆の 形でもあった。

 車を降りた二人の目に門の前に3人の男女が立っているのが見えた
 一人は細身の眼鏡を掛けた中年の男性。司祭の服を着ているので、恐らくは例の神父さんだろう。彼の脇には二人 のシスターが立っていた。一人は長身で長い黒髪を持つ清楚そうな女性、もう一人は赤いショートヘアの活発そうな女 性だった。
 「ようこそいらっしゃいました!ロゼット=クリストファさんですね。始めまして…私はチューリ修道会のバナードという 者です。」
 推測通り、彼こそロゼットを指名して呼んだ司祭だった。
 「こちらこそ始めまして…マグダラ修道会のロゼットです。これが助手のクロノです」
 「……これ、って…?」
 ジト目になるクロノと先ほどの借りを返し得意顔のロゼットだったが、とりあえず二人は深々と挨拶する。
 「ようこそジムフォークへ。今日はよろしくお願いします。ああ、こちらが我がチューリ修道会のシスター、ニースとマリ シアです」
 「始めましてロゼット様、ニースです。よろしくお願いします」
 「ロゼット様!マリシアです!よろしく!」
 礼儀正しくお辞儀する女性とどこか馴れ馴れしい少女、二人がロゼットに挨拶をした。
 バナード神父の話だとこの二人は元からチューリ修道会のシスターだったが、この度、エクソシストとしての修行をし ているという。この二人に様々なエクソシストと経験などを話して欲しいと言うのがロゼットを呼んだ訳だという。
 
 「分かりました!私に出来ることでしたら…」
 「ありがとうございます。では、中へとどうぞ…」
 バナードと二人のシスターはロゼット達を村の中へと招待する。ロゼットはそのまま連れられて入ろうとしたが、何故 かその横にいつもいるはずの少年の姿がない。後ろを向くと車の脇で蹲っていた。
 「クロノ!どうしたの?」
 急いでパートナーに駆け寄るロゼット、チューリ修道会の三人が怪訝な顔で二人を見ている。
 すぐ傍に来たロゼット、クロノの顔を覗き込んだがその表情は青ざめている。
 「一体、どうしたっていうの?」
 ロゼットの問いにクロノは小さな声で答える。
 「こ、このあたり…に漂う匂いを嗅いだら、とても気持ち悪くなって…それにこの城壁、凄く強力な結界が張られてい る。近づくだけで倒れてしまいそうだよ…」
 「え?」
 ロゼットは再び振り返り、村を囲む城壁を見た。確かに薄っすらとした光が石壁の合間から常に洩れている。それに クロノの言う通り、何かの匂いが一帯に漂っていた。
 「どうされたのですか?」
 バナード神父が心配そうな顔をして近寄ってきた。ロゼットはこの壁と漂う匂いについて尋ねてみた。
 「ああ、聖障壁の事ですね」
 バナードが呼んだ『聖障壁』とは彼らチューリ修道会がジムフォークに侵入しようとする怪異悪鬼その他諸々を防ぐた めに作ったシステムらしい。かつての城壁を利用し、その石垣を大量の聖水で霊的硬度を高め、さらにそれ自体に強 力な結界楔を打ち込んでおり、強力な結界陣としてジムフォーク全体を覆う強大な結界と成している。さらに村の中心で 定期的に聖香を焚いて中にいる小さな怨霊などを退治しているという。あまりに大掛かりな防衛システムにロゼットは やりすぎという印象を抱いたが、逆にこのジムフォークという村がどれだけそう言った現象に悩まされてきた証明でもあ るのだろう。
 ともかく、こんな強力な結界の中にクロノを入れようとしたら、いくら力の殆どが失せているとは言え、いや、今は小さ な悪魔だからこそ瞬時に命が危険になるだろう。村にクロノを連れて行くことは出来なかった。
 「クロノ…アンタは車の中で待っていなさい。外じゃ聖香の匂いで参っちゃうでしょうから…その間に私は村で用を済ま せてくるわ」
 「大丈夫?たった一人で…?」
 「別に事件でもなんでもないしね。問題ないでしょう…(でも、人に何かを教えるって初めてのような…にゃはは、どうし よう…(涙))」
 小声で話し合う二人。彼女の方はおどけて見せたが、クロノは少し心配そうだ。それに気づいたのか。
 「大丈夫、大丈夫〜すぐに戻ってくるから…それにアズマリアも帰り待っているだろうから、用を済ませたらすぐに帰る わよ!」
 「…はいはい、早くね…」
 急激に体調を悪くした彼を見るロゼットの目は暖かく、優しい。
 一方、どんなに苦しそうにしていても、クロノの瞳はロゼットを常に映していた。
 ロゼットは急にクロノが体調を悪くしたので車の中で休ませると神父たちに言い(まさか、彼が悪魔だから入れないと は言えない)、彼らに連れられて村の中に入っていった。
 その後ろ姿を最後まで見送るクロノの視線。しかし、彼は何故か大きくなっていく不安を感じていた。まるで、これから 起こる事を予期していたかのように。



 ジムフォークの村はアメリカと言うよりヨーロッパの古村を彷彿させるような家が立ち並んでいた。煉瓦と石で建てられ た伝統的な家屋の前にロゼットは感心する。最近はビルやコンクリートの狭間で活動する事が多かったロゼットには久 しぶりに落ち着きを得るような光景だった。
 しかし、ロゼットが到着した村の南門から北の外れにある教会までの道中、ロゼットの気持ちは徐々に沈んだものに なっていく。なぜなら、この村には活気が、いや、人の気配がしないからだ。実際、今は村の中央を走る道を歩いて来 た訳だが、村の人々と遭遇した記憶はない。いくら田舎の村とは言え、ここまで誰もいない印象は受けるのだろうか?
 この疑問をバナードに尋ねようとした時に異変が始まった。

 キシャアアア――――――ッ!という甲高い叫び、いや、獣の響きのような音が四方八方で起こる。それと同時に家 屋の屋根から影から、何かが一斉に飛び出してきた。
 問題が多いとは言え歴戦のエクソシストであるロゼットは反射的に異常事態への対処へと動く。腰のホルスターから 愛用しているガバメントを抜き放ち、彼女の顔に戦慄と緊張が走る。影は十体でありロゼット達一行を囲むように着地 した。
 「こ、コイツら…」
 その姿には統一性はなかった。ドラゴンの様な顔をしている者もいれば、人間の顔を持っている者もいる。共通点が あるとすれば、この異形の者達の背中には何かしらの翼がついていると言う事。そして体が石で出来ていると言うこと だ。
 「…ガーゴイル!」
 古くから家屋の守神として置かれて来た石像の名がガーゴイルだった。古くから悪霊を追い払うと信じられているガー ゴイルがどうして自分達に敵意を持っているのかは分からなかったがロゼットは銃を構える。バナードは驚愕するばか りで動けてはいないが、ニースとマリシアはさすがエクソシストの候補生といった所か、懐から拳銃を取り出して構えて いた。
 一瞬の静寂の後、あの甲高い声を上げてガーゴイルが一斉に襲い掛かってきた。ロゼットのガバメントが火を噴き、 中に装填されていた聖火弾セイクリッドが銃口から飛び出していった。一瞬の内に正面のガーゴイルの顔を打ち砕き、 次の瞬間には二発目が胴を貫いた。ロゼットは次の目標に照準を合わせると二発を続けて撃ち込み、さらにその次の 相手にも二発。ロゼットが一つの目標に二発ずつ撃つのには訳があった。ひとつ目の理由はガーゴイルとの戦いは初 めてのため、一撃で相手の戦闘力を確実に奪えるか自信がなかったため。ふたつ目はひとつ目の理由の延長線上だ ったが、もし相手の戦闘力を奪い損ねて突入された場合、他の二人のエクソシスト候補生はともかく、震えるばかりの 丸腰バナード神父の身が危険だったからだ。そのため敢えて時間と残弾数的には不利になっても確実に敵を倒す方 法を選んだ。
 一方、ニースとマリシアはポケットピストルのメジャー、M1903でそれぞれ一体のガーゴイルを倒したが、一体に対し て殆ど全弾撃ち込んでしまう所から相当混乱しているようだ。
 目前に迫った四体目を倒した時、ちょうど八発全弾を撃ち尽くした。しかし、目前には二体のガーゴイルが迫る。二体 がそれぞれ強靭な爪をロゼットに突き立てようと振りかぶった。しかし、伊達にミリティアに昇格したわけではない。冷静 にガーゴイルの動きを見極め、彼ら二体の間、ほんの小さな隙を見極めるとそこへ飛んだ。一瞬でも遅れていたら二 本の腕がロゼットの体を同時に切り裂く所だったかが、情けなく空を斬る。宙に浮いたままロゼットは馴れた手捌きでマ ガジンのマガジンを抜き、腰のホルスターから予備をグリップの中へ押し込んだ。着地と後ろへ振り返る。無駄がない 動きで同時にスライドを後ろに引いて新たなマガジン内の弾をハンマーの前へと揚げられる。ロゼットが完全に180度 振り向いた時、既に次弾は発車可能であり既にフロント、リア両サイトの中心にガーゴイルを捉えていた。村に四発の 銃声が木霊した。


 「コイツら一体何…?」
 「わ、私にも…」
 十体のガーゴイルを撃破した彼らだったが、まだ呼吸は安定してないため荒い息を繰り返している。遠くの方で独特 の甲高い声がしている所を見ると、まだガーゴイルはいそうだ。
 「いつもガーゴイルなんかが飛び回っているの?この村は…?」
 「いえ、こんなことは初めてで…」
 情けなく震えるばかりの神父さんだった。いや、震ええているの二人のシスターも同じだ。
 「とりあえず、どこか安全な所に村の人たちを誘導しなくちゃ…」
 と言い掛けたロゼットだったが、ふと、先ほどの質問が蘇った。
 「そう言えばバナードさん、この村、他に人が…」
 「きゃあああ!?」
 質問が終わらないうちに、悲鳴がすぐ傍で聞こえた。声がした方を向くと二人の少年少女が一匹のガーゴイルに追い 回されているではないか。フランス人形のような金髪の可愛らしい少女と彼女の手を引いて逃げる少年の姿にニース が叫んだ。
 「あれは…マイクとクリス!?」
 「シッツ!」
 素早く彼らを追うガーゴイルに狙いを定めトリガーを引く。二つの雷音の後、ガーゴイルは崩れた。ニースが飛び出 し、追われていた子供達に駆け寄る。
 「マイク!クリス!大丈夫?」
 「うわあああぁんっ!ニースお姉ちゃん!」
 「怖かったよ〜〜!」
 マイクとクリスと呼ばれた少年少女はニースの腕の中で大声を上げて泣いていた。よほど怖い思いをしたのだろう。
 この子達の親がどうなったのかは気になるが、子供まで保護したとなると少しでも早く安全な場所に行く必要があっ た。
 「と、とりあえず、ここなら教会が近いです。礼拝堂なら対魔物用の結界が張り巡らされていますから絶対に安全で す」
 バナードはそう提案したが、村全体を囲む結界の中でこういう事態になっている事を考えるとどれだけ安全かは疑わ しい。しかし、クロノのいる村の外に戻るにはあまりに距離が長いため、とりあえずロゼットは了承した。


 一行は教会へと辿りついた、ここにはガーゴイルはいないようだ。代わりに二人の男が教会の前で右往左往してい た。
 「あれは…ホッセさんとジェイク…」
 マリシアが手を振り、彼らに呼び掛ける。一向に気づいた二人はこちらに駆け寄ってきた。
 少し太ったおじさんはホッセ、青年の方はジェイクと言う。二人ともこの村で農耕を家業としているらしい。話を聞くと彼 らもガーゴイルに襲われ、何とかこの教会に逃げてきたと言う。
 (…となると…村の他の人々は…)
 最悪な結果がロゼットの脳裏に浮かぶ。この村で何が起こっているかは分からないが、他に悲鳴や逃げ惑う人々の 姿が見えないとなると…
 (と、とにかく…今、ここにいる人たちだけでも守らなきゃ)
 決意を胸にロゼット達は教会中央、礼拝堂の中へと入っていた。



 礼拝堂の門をくぐった途端、ロゼットは鳥肌が立った。まるで冷風に当てられたかのような感覚。自分の五感と理性 が危険を知らせてくる。それだけの何かがこの中にはいる。と…

 その何かは壮厳な礼拝堂の中央にいた。黒い翼を持つ悪魔が。
 「始めましてロゼット…」
 冷たく、だが落ち着いた口調で悪魔は彼女の名を呼んだ。そして悪魔に名を呼ばれた少女は一度、震えてしまった。
 「アンタは…何者よ!」
 悪魔と言う答えはロゼットにも分かっていた。自分のパートナーであるクロノの同族、堕天使。闇に身を委ねし者。
 「私の名はアスモダイ…君達が悪魔と呼称する存在だよ」
 アスモダイと名乗った悪魔の姿をもう一度注視する。背中には竜のような禍々しくも力強い黒き翼、全身を覆う暗黒の スケイル、どれもが目を引くか、一番のやはり顔だろう。精悍であり、繊細な顔立ちは美形と形容できるが赤白く輝く瞳 は奥に底知れぬ欲望と悪意を漂わせていた。

 (コイツは…危険だ!)
 ロゼットの脳裏に自分の弟ヨシュアを攫ったアイオーンの事が思い浮かぶが、目の前にいる悪魔はアイオーンに負け ないくらいの邪気の集まりと見抜いた。この悪魔は常に人間を不幸にするだろう。それだけは許せない。
 ロゼットは問答無用とばかりにカバメントに彼女最大の武器、対魔用呪文を多く中に詰め込んだ福音弾ゴスペルを装 填した。そして目の前の悪魔アスモダイに狙いを定める。
 しかし、既にロゼットは生贄の祭壇へと登らされていたのだった。
 彼女の背中に何か当てられる。その鈍いが質感のある何かはロゼットにも分かっていたがあまりに突飛な事なので 瞬時に何かは分からなかった。
 ゆっくりと後ろを向くと、そこにはロゼットの背中に銃口を当てるニースの姿があった。
 「に、ニースさん!…これは一体………!?」
 何が起こったのか分からないロゼットの目に、虚ろな瞳で自分を見る者たちの姿があった。バナードもニースもマリシ アも、そして途中で合流したマイクやクリス、男二人。全員がまるで生気の抜けたような瞳でロゼットを見つめている。
 「あなた達…?……きゃ!?」
 獣を突きつけられ動けないロゼットにマリシアが飛び掛り、銃のグリップで彼女の右腕を打つ、鈍い痛みと共に彼女 は銃を手放してしまった。床に落ちた銃をマイクが素早く拾う。彼は銃を拾うとクリスと共に礼拝堂の外へ出て行ってし まった。さらにホッセとジェイク、二人がロゼットの両腕を拘束する。ロゼットは抵抗したが純粋な力では成人男性二人 に敵うはずもない。両腕を捻り上げられ、抑えられてしまう。
 「いや、ご苦労だった。私の人形達。おかげで彼女が手に入った」
 パンパンと手を叩き、ロゼットを押さえ込んだ人間達を称揚するアスモダイ。まだロゼットは事態を把握してなかった が、時間が経つにつれ、この人達は最初から目の前の悪魔に操られていた、という結論を導き出した。
 一筋の冷や汗が彼女の首を伝う。自分は囚われてしまったという事実が彼女の心に影を落とす。しかし、負けてなど いられない。彼女は意欲を盛り上げるために大きな声で呼びかけた。
 「これは一体、どういうことよ!」
 取り押さえられながらもロゼットは悪魔に大きな声で問い掛ける。既にロゼット以外の人間に問い掛けても無意味だと 分かっていたからだ。
 
 「どういうこと…ううむ。君が分からない事はたくさんあるだろう。私は一体、何から答えればいいのかな?」
 飄々とした口調で喋るアスモダイ。何か馬鹿にされたような気分がしたが、一呼吸置いて質問を噛み砕いて送った。
 「アンタは悪魔よね?この私を取り押さえている人達はアンタに操られているの?」
 「無論だよ。私は人の心を操る秘術を心得ているからね。いや、救いを求めている人間の心は操り易くて簡単だった よ」
 最初から操っていたのに、あんな演技をさせるとは。相当、演出に凝る悪魔のようだ。
 『救いを求める』と言うキーワードは気になったが、ロゼットは質問を投げ続ける。
 「他の村の人たちはどうしたのよ?それにガーゴイルもあなたの仕業?」
 「安心したまえ、村の人間達は君の周りにいる奴を残して眠らせてある。ガーゴイルは私が命を吹き込んでやった」
 「そう…」
 村の人達が無事、その言葉にロゼットは一安心をする
 「それにしても分からない…アンタがどうしてこの村にいるのよ!たとえ、アンタがどれぐらい強力な悪魔だとしても、こ の村の結界は相当強力よ!簡単に入れるとは思えないわ!」
 「その通りだ。私は結界を突破して入る事はできないだろう。しかし、裏道があってね…」
 アスモダイは少し誇らしげに説明した。彼は悪魔だが天界と魔界を自由に行き来できる能力を持っていた。彼は悪魔 の一員ながら、彼らと天界を行き来する使者の役目を担っていたからだ。現在では天界へ行き来する事は許されなくな ったが、天界に昇る能力は失われてはいない。そこで彼は天の門の近くまで昇り、そこからこのジムフォークの村に『降 臨』したという。つまり彼は天使と同じ移動手段を持っているのである。そのため悪魔用の結界は効果がなかったので ある。
 「…そんな天界へと昇る事まで許された悪魔がこんな小さな村に何の用なのよ?」
 天界と魔界を繋ぐ使節という役目まで負った魔族が、お世辞にも大きいと言えないこの村に価値を見出すとはロゼッ トには思えなかった。
 「この村に用?何を勘違いしているんだ?私がこの村に目的があったわけじゃない。この村はあくまで目的を達する ための手段だよ」
 この辺りからアスモダイは自分で意識しているのだろうか?口の端が歪み、醜悪な悪魔そのものの顔になっていく。
 「…アンタの目的って何よ…?」
 「目的は…君だよ、ロゼット…」

 彼はかつてある天使との戦い破れ、大きな傷を負ったという。そのため殆どの力を失ったと言う。身体的な傷は殆ど 癒えたが、魔力は今だ復活しきれない。そこで人間と契約する事で力を取り戻そうとした。クロノがそうしたように。

 「な、何で私なのよ!?」
 「君がうってつけだろう?君はあの爵位の剥奪者クロノの契約者だ。あれほどの悪魔が選んだ君なら、さぞ、素晴らし い素質を持った人間だろうからね、ふふっ…」
 この笑みをロゼットは生理的に受け付けなかった。とにかく、自分はクロノのパートナーだった。こんな悪意と欲望の 塊のような悪魔と契約を結ぶつもりはサラサラない。
 
 「誰がアンタなんかの契約者になるもんですか!」
 明確な拒絶の言葉をアスモダイへと投げつける。この悪魔は今までにないほどの悪意を持っている事が彼女には分 かる。こんな奴の力を復活させてはいけない。何より自分はクロノと契約を結んでいるのだ。彼を裏切るわけにはいか ない。
 「…私は本来、クロノよりも遙に強大な力を持つ。君はそんな強大な悪魔のパートナーに慣れるチャンスなのだぞ? それでも拒否するのか?」
 アスモダイは一つ大きな誤解をしていた。ロゼットがクロノと契約を結んだのは力を欲してではない。大切な物を守り たかったからである。
 「うるさい!絶対、アンタとは契約なんか結ばない!結んでやるもんか!」
 断固としたロゼットの拒否。今まで余裕があったアスモダイの顔が凍りつく。
 その顔にロゼットは思わず恐怖を感じてしまった。

 「では、断るというのかな?私との契約を…」
 だが、それでも彼女は力を振り絞る。
 「当たり前でしょう!誰が悪魔なんかと!」
 「罪人クロノとは結べてもか?」
 「クロノをアンタなんかといっしょにしないでよ!」
 この苦境にあっても断固として、相手の要求を断るロゼット。
 感心したように二度三度首を縦に振るアスモダイ。そして右手を挙げると、ぱちんと指を鳴らす。
 それを合図として、彼女に群がり、拘束していた『人形』達たちが一斉に彼女の体へと手を伸ばしていく。
 「な、何をする気よ!?」
 「分からないのかな?君を慰み者にするんだよ。徹底的にね」
 「!?」
 「私は淫楽を司る者。君に恥辱と悦楽の果てを見せて、改めて私の契約を申し込もうと思ってね。はたして、君の心は 耐えられるかな?」
 思わず生唾を飲み込む。自分がこれから陵辱される。まだ穢れを知らぬ乙女であり、そういった方面の知識にも疎い 彼女にとって、悪魔に、操られた人々に襲われるのは戦いの最中で命を狙われる事よりも恐怖を感じる。
 彼女は自分のパートナーの名を叫んだ。
 「クロノ!クロノーーーー!」
 「君はまだ分かっていないようだな。ここは人間の言う聖障壁の中だぞ。私ならいざ知らず、クロノはここに来る事は 叶わん」
 「!?」
 やっとロゼットにも自体が正確に把握できた。アスモダイがこの村を舞台に選んだのは、悪魔の中で自分だけが通過 できる聖障壁を利用すること。クロノという邪魔を排除する事がこの村なら行えるからだった。アスモダイはここまで考 えた上で村を支配下に治め、バナードを操って自分をここに誘い込んだのだろう。
 (クロノ・・・お願い!たすけてー!)
 たとえクロノの助けが絶望的でも、彼女は心の中で呼ばざるを得なかった。彼女の心は危機において助けを求めな いほど強くはない。ロゼットは自らの契約者、かけがえの無い悪魔の少年の名を呼び、助けを求めた。
 しかし、聖障壁の内側で始まろうとする魔なる宴を止める事は悪魔であるクロノにはできないだろう。
 それでも彼女は信じたい。クロノという悪魔を。



 聖餐卓の上に乗せられ、四方を人形達の手によって拘束され、大の字を晒す事になったロゼットは暴れるが、無論、 多数の彼らを力で跳ね除ける事が出来ない。
 そんな彼女に容赦なく襲い掛かっていく陵辱者たち。
 「やめてよ!こ、このッ!?……きゃ!?」
 まず、左右で自分の両腕を固めていた男たち、ジェイクとホッセが彼女の胸へと到達した。
 年頃の娘にしては十分立派な胸と言える、青き修道着の上からでもはっきりと二つの丘を形取り、自己主張をしてい た。そこに合わせられる無骨な手の平。
 ぴくん、と震えた彼女だったが、休む間もなくさらに体を震わす事になる。
 頭の方に回りこんだ神父バナードがフードを外し、彼女の癖がある金髪を顕にする。さらに彼女の首筋や閉ざされた 唇に丁寧に指を這わす。
 
 下半身では操られたシスターのニース、マリシアがしっかりと足を開脚させた状態で保持し、空いた手で彼女の足に 手を這わす。まずはスカートの上から撫でるように動かすだけだったが、徐々にスカートの内部へと侵入していく。ロゼ ットは渾身の力で足を動かそうとするが叶わず、大きくスリットの入ったスカートは戦闘時の機敏な動きには好都合だっ たが、こうして囚われてしまっては中への侵略を防ぐのには何の役にも立たない。
 
 「やめてよ…うっ、くううぅぅ―――」
 胸部の辺りを彷徨っていた二本の手は突如、その乳房を掴み上げる。修道着、そしてブラジャーの二枚越しであった とはいえ、若く多感な肌を持つ彼女には十分、呻きを漏らすほどの効果はあったようだ。さらには膨らむ青い布地に指 を食い込ませ、さらに圧迫する。
  「!?…んんぅーーーっ!!」
 神父の指が唇肉を通り越し、口内へと突き進もうとする。ロゼットは咄嗟に歯を食いしばりそれを防いだが、だが、今 度は歯の障害を解すように歯肉を撫でていく。それが唇と唾液との擦り合いを生み、いつもは元気で溌剌とした声に溢 れる口からはねちゃねちゃとした水音が発生していた。
 
 スカートの中へ進み、健康的な柔肌を貪ろうとする女手。純白のオーバーニーソックスとショーツが奥に控えている。 まずは足の先のほうからさする様に、そしてニーソックスの張った感触を楽しむ。さらにその上の素肌まで到達すると、 いったん動きを止めてそこを揉み回す。優しく動いていたと思うと、時には強く指を食い込ませる。細かく震わせたかと 思うと爪を衝き立ててくる。そんな妖しく蠢く責めに焦りを強めるロゼットだった。しかし、おぞましい感覚が絶えず彼女 の精神を傷つけていく。

 
 「ううっ…んんっ!?」
 「どうだい?幾人もの人間によって嬲られる気持ちは?早く降参して私と契約を結んだらどうかな?無理に苦しむ事 は無かろうに…」
 「うるさい!人を操り人形として扱う悪魔なんかと契約するか!・・・はぐっ!?」
 いまだ契約を求めるアスモダイに彼女は怒りを顕在化させたが、その瞬間を見計らって歯肉を弄っていた神父の指 が口内に潜入する。
 「残念。では、徹底的にやらせてもらうか。エクソシスト、修道騎士ロゼットの狂う様を見物させてもらおうか」
 

 ねっぷりとした乙女の口内、操られた神父の指がそれを堪能しようとする。奥に隠れた舌は決して姿を現そうとはしな かったが、限界まで押し込まれた指は難なく隠れた軟体物を絡め取った。唾液に塗れたそれを二本の指で挟みこみ、 ダンスを強いる。

 口を開いた男二人が服の上から女性の象徴たる胸に喰らいついた。しっかりと胸を手の平で包み込み、キュッと絞り 上げる。刺激と言う悲鳴を上げ、肉は開放を求めて上へと逃げる。しかし、待ち受けていた男達の口に吸い込まれるだ けだった、服越しとは言え、男の口が自らの胸の突起を包み込む感触にロゼットは鳥肌が立つ。しかし、男達は強烈な 吸い込みを仕掛けると同時に二本の舌で唾液を丘に刷り込んでいく。

 ビリビリと縦の方向に引き裂かれるスカート。大きなスリットに加え、裂けた傷口によって既に自らの秘部を隠す役目 を果たさなくなった。悪魔に、操られた男やシスター達の視線に晒される事に羞恥に苛まれる。だが、ここからの責め はさらに過激さを増していく。閉じる事が許されない股間を割り、ついにショーツへと取り付くニースの手。緊張に汗を発 散していたのだろう、僅かに暖かく、湿り気を感じる。
 人差し指と中指を揃わせ、純白の布の上から谷間をなぞる。まだ誰にも触れさせた事がない尻穴や女性器を指圧さ れ思わず全身が震えてしまう。やがて、何度も峡谷を往復した指が彼女の未開の花園のあたりで根付く。一枚越しの 向こうにあるだろう牝肉の入り口を探し当て、押し込もうとする。いくらか沈み込んだかと思うと上下左右に震わせ、ロ ゼットに未知なる刺激を与えようとする。ニースが指を以って女性器を弄っていると、もう一人のシスターマリシアは舌を 以って、彼女の健康的な脚を嘗め回す。太ももは無駄な肉など一歳無いが、女性的な柔らかさはいくらも損なわれては いない、逆に健康的で美脚は情欲の対象としては十分すぎるほど魅力的だった。舌に滑らかな肌の感触を楽しみなが ら、唾液の螺旋を描いていく。特に、ニーソックスのラインとの境界に位置する部分は念入りに舐め上げた。布地に抑 え込められた部分とそれが開放されるこの線の肉はいくらか敏感になっており、それを刺激しようとするのだ。


 「ひゃう・・・う、ふううぅっ!」
 口を侵害されているため喉から吐き出される空気と呻きしか洩れない。だが、屈辱に、羞恥に、そして体を嬲られる 刺激にその空気は絶え間なく出され、そして熱い。顔、体、彼女の肌が紅色とも桃色とも形容できるように染まり、緊張 していく。多感で繊細な乙女であるロゼットは徐々に敏感に冴え渡っていく。

 ジュ…グチュ…
 指を三本に増やし一纏めにし、ずんずんと口門を出たり入ったりする。すぐに唾液に塗れ、濡れた肉同士、淫らな演 奏を始める。一方的な口愛撫に彼女は成すすべも無い。限界まで口を広げられ、無骨な指束を受け入れさせられる。 何度も犯され、徐々に吐き出そうと言う抵抗力が削がれていく。スピードと強さが増す中、指を強制奉仕を続けさせられ る口唇の端からシスターロゼットの涎が垂れ流され始めた。溢れ、頬に唾液の軌跡が描かれていく。
 一旦、指を引き抜く。その指にはロゼットの清き唾液がたんまり付着していた。それを操られた神父は自らの口に運 び、味わう。悪魔の傀儡と化した神父が自らの意思で行うはずもなく、どこかで神父の味覚がアスモダイに通じており、 味わっているのであろう。どちらにしても自らの口汁を他の男に貪られるのは恥ずかしい事この上ない。
  
 ホッセとジェイクは完全に操られた道具だった。その動き、連携は一つの意思によって統制されている。それぞれの 腕が凶器のような力強さで青き戦闘修道着の胸部を鷲掴みにし、それぞれ自分の体の方に手繰り寄せる。左右に引 っ張られた服はギリギリと悲鳴を上げる、が、すぐに限界を超え、亀裂が入り、甲高い引き裂き音によって縦に割れ た。無残にも青き地に布割れが作られ、その奥から白き肌とシンプルなデザインの白きブラジャーに包まれた乳房が 晒された。まだ大きいとは言い難いが形が良く、綺麗な碗型を保っている。これでまだ年端も行かぬ少女なのだから、 末が楽しみである。ブラのエッジから溢れる肉がほんのり紅潮しており、色気を感じさせる。
 少しばかり興奮しているのが、男達の動きに洗練がなくなってきた。同時に両の肉丘に手を伸ばし触れると徹底的に こねくり始めた。白い布地と乳肉に皺が出来ると思わせるほど強く、乱暴にかき回す。時には動きを止めたかと思うと、 まっすぐ上へと向いている丘の頂、乳首が存在する地点を人差し指で円を描く様にくにくにと押し付ける。服を破られ、 さらに感覚の増した胸部で繰り広げられる攻撃にロゼットは悔しがり、苦しむが、既に彼女の中には別種の違和感とも 言うべき感覚が目覚めつつあった。

 シスター二人は暴れようとするロゼットの脚を押さえつける苦労していた。特に下着姿まで追い詰められていた彼女 だ。今までは傷つける事を恐れ、本気にはなれなかったが、自分の貞操の危機とあっては躊躇できなかった。一度、マ リシアの押さえを撥ね退け、おもいっきり彼女を蹴飛ばしてしまった。だが、その瞬間にニースがその穏やかな姿とは 思えないほど俊敏にロゼットの脚の合間に身を踊りこませた。急いで閉じようとしたが、既に閉じる事はままならない。 逆に挟み込もうと考えたが、態勢を立て直したマリシアが右足を固めた。左足だけではニースの体を押し退ける事はで きなかった。
 ニースは無表情のまま自らの顔をショーツに隠された股部へと進めていった。無表情なのが逆に不気味である。息の 掛かるほどの距離で静止して、白き三角地帯を凝視する。
 「やめてよ…こんなの…」
 口が開放されていた僅かな時間、ロゼットはらしくない弱い口調でその言葉を漏らした。瞳は少し潤み始めていた。ま だ性への免疫もない乙女ロゼットとしては少しずつ強気な表面が薄れ始めているようだ。
 無論、視線で犯す事だけで止まるはずも無い。フッーと息を吹きかけ、「ひゃ!?」とロゼットを震わせると同時に下着 に喰らいついてキスを浴びせた。まずは吸い込み、そして舌を出す。彼女の乙女華があるだろう場所を一枚越しに徹 底的に愛撫した。
 「ひゃう!あ、やだ…こんな…あんっ!」
 ニースが口で女性器へと触手を伸ばしている頃、右足を捕まえていたマリシアはその脚を思いっきり頭上へと掲げ た。天へと向けてロゼットの美脚が伸びる。運動神経が良く、体が柔らかい彼女にはその動きに苦痛は伴わなかった が、一体、何をされるかは分からなかった。
 脚をほぼ垂直に上げられた事によって僅かにロゼットの右半身が浮く。軽く浮いた彼女の尻の右側に手を差し入れ るマリシア、何をされるか分かったが、時既に遅し。差し入れられた手はゆっくりと彼女の可愛らしい尻桃を揉んでいっ た。瑞々しい肌と程よい弾力がマリシアの手を悦ばせ、その感触はアスモダイへと届き、彼の口端が僅かに上擦る。だ が、それだけでも飽き足らないのか、さらに前進してニースが侵略を続ける大切な峡谷へ達すると、先輩シスターが口 をつけている直下、最も不浄と思える門がある部分を中指でノックし始めた。
 「何をしているの…?そっ、そんな汚いところ…だめぇ!」
 


 (こんなの…駄目なのに…耐えなきゃ、耐えればきっとクロノが助けてくれる)
 この村を囲む壁の向こうにはクロノが待っている。クロノなら異変を察知して、聖障壁を何とか突破して、すぐに助け に来てくれるはず。ロゼットは窮地においてもクロノの力を、パートナーの力を信頼していた。
 「絶えようとしているみたいだな…外のクロノが助けにくることを待っているのかな?」
 「そ、そうよ…クロノが来たら、力の殆どを失っているアンタなんかイチコロなんだから…」
 「悪魔を防ぐ障壁に囲まれている場所だぞ?そう易々と突破してこれるかな?」
 「クロノなら何とかしてくれる!!」
 それは契約者を通り越して、純粋なパートナー同士にのみ許される信頼関係。
 今まで彼と過ごして、彼と共に戦い、魂まで提供した彼女にだけが許される罪人悪魔への言葉。
 この逆境にもロゼットと言う少女に信頼されるクロノ、ここまで悪魔を信頼できる純粋な少女ロゼットにアスモダイは不 愉快な気持ちになった。だが。
 一方では、この信頼関係、絆といえる結びつきを無性に壊したく思い。黒き感情を肥大させる。
 

 「…安心しろ。クロノが例え、この教会をすっぽり取り囲む聖障壁を越えようとも、この教会には他にも私の人形となっ た者達が多く徘徊している。彼らの排除しきれない限り、ここには辿り付けない」
 「…くっ…」
 「無論、彼ならここまで来る事は十分有りうる事だ。早く、君の乱れ狂わせ、壊し、私の物にするとしよう」
 「ふざけんなっ…はぐぅ!?」

 
 相手への怒りを口にしようとした彼女の口に再び神父バナードの三本の指が突き込まれた。だが、先ほどとは違い、 それにはたっぷりとバナード神父の唾液が塗布されていた。自分の中に男の口臭が広がっていくのを感じ、激しい不快 感が襲う。同時に、自分が好きでもない男性と間接的にとは言え、ディープキスをさせられている事実は彼女を悲しま せた。だが、彼女には成す術がない。
 潤んだ瞳から一筋の涙が零れる。いくら気丈とは言え、既に清純な彼女には耐えられない苦痛なのだから。しかし、 陵辱者は彼女の美しき涙まで侵害する。顔を近づけ口内を指で蹂躙しながら、彼女の滴る聖類を舌で味わった。視界 のすぐ脇まで舌が迫る様は異様な恐怖がある。さらには自分の涙まで彼らには情欲の対象かと思うと悲しくなった。

 ホッセがいつから潜ませていたのか懐からナイフを取り出した。自分は切り刻まれるのだろうか?と彼女は一瞬考え たが、そうではない。胸の谷間に指を入れ、僅かにブラを持ち上げるとそこにナイフを入れて引いたのだった。刃が白 き胸布の中心を切り裂いて、胸を圧迫していたブラジャーは綺麗に左右に断たれた。ブラジャーに隠されていた胸も魅 力的だったが、顕になった彼女の胸は逸品だった。ブラジャーが無くともバストトップは程好く高く、ラインは綺麗に整っ ていた。綺麗で濁りのないピンク色の小さな円の乳輪、僅かに突起した乳首など、どれもが理想的な型を保っていた。
 むしゃぶりつきたくなるような乳の果実が食台に上がった。男達たちは賞味しようと同時に胸にむしゃぶりついた。
 「!?……うふぁん!」
 指で口を塞がれたままのロゼットにはくぐもった悲鳴しか出せない。だが、男達に乳首を含まれた瞬間、電気で撃た れたように体がビクビクと波打った。男達の唇が先端を包み、口内に迎えた乳首を舌で歓迎する。時には吸引しようと し、軽く歯を立てたりした。ロゼットは口虐されたまま首を激しく左右に振った。さらには脚の爪先まで張ったようにビン と伸ばす。今までとは明らかに違う反応だった。体の緊張も強まっている。
 「どうやら君は胸が弱点のようだ。たっぷり可愛がりながら、開発させてもらうよ」
 非情な宣告の後、手足たる傀儡たちは動きを活発にする。一度口を離すと、指や爪で先端を摘み上げる。敏感な彼 女の乳房は悲鳴を上げる。が、容赦なく鋭敏な肉を責め立てる。赤く鳴り出した彼女の胸、細かなひりひり感が広がっ ていく。しかし、それは敏感な肉をさらに感じやすくするためのプロセス。僅かに腫れてさらに鋭敏になった所で再び舌 で襲い掛かる。今度は手の平で乳房を掴み上げて中心に乳肉を集めた後に舌撃する。赤みを帯びた桃房から円を描 くように、傷口を舐めるように舌を這わしていく。再びロゼットの胸果実に辿りつき、口に含む。これらの動きを何度も繰 り返した。
 「うふぁぅ…あふ…ウウンンン―――ッ!?」
 狂ったように騒ぎ出すシスターロゼット。体中に電流が駆け巡る。まだ快感と言うより痒み、痛みに近い感覚ではあっ たが、彼女は胸が明らかに敏感である事を証明していた。そして執拗な愛撫は急速に彼女の母なる膨らみを開発し、 急激に彼女の性感を搾り出していく。
 
 くっきりと白い三角地帯に浮かび上がったシミ。それはニースの舌が散々蹂躙し唾液を塗った結果だったが、僅かに 濃い匂いが漂う事から少量はロゼットの体液が含まれているのが分かる。汗だけではない。女だけが持つ、むせ返る ような体臭。いくら清純なシスターであり、無垢なうら若き乙女であるロゼットとは言え牝に過ぎない証明。
 ゆっくりとクロッチに手を掛けると横へとずらす。そして自分でも眺めた事がないだろう未開の奥地を露出させる。
 「うっ、イッ…ヤアアアァ―――――ッ!?」
 口を全開まで上げ、渾身の力で悲鳴を上げる。暴れようともがくが、相手の押さえは解けない。
 ついに顕になったロゼットの秘部。ほんのり厚みのある土手、それは幼いがしっかりと肉感を持っているため体の中 心に走るクレバスははっきりと一本の線になっており、息をするのを忘れるほどに美しい。深く門が閉じられているため 粘膜は殆ど顔を見せていないが裂け目を形成する二つの壁に僅かながら湿り気を帯びている事から、この奥にまだ穢 れを知らぬ聖なる壺が存在しているのは明らかだった。
 ニースは無表情のまま、息を吹きかける。ビクビクとさらに震えるのが見て取れる。無論、これだけでは済ますつもり は無い。ゆっくりと細く、狭い空間に潜り込んでいき、聖女の花畑に両手で触れる。
 「だ、メ…あふぇ……ああんっ!」
 体をよじって逃げようとする獲物はすぐに自分に選択権がない事を思い知らされる。
 整った細いニースの指がクレバスの谷間に添えられる。ゆっくりと丁寧にクレバスを開いていき、襞と洞窟によって構 成された世界を視界に収める。クレバスの中にあったピンクの襞層、愛らしい小さな肉豆、そして奥に純潔の証を潜め ている牝筒。それら全てを露出させてニースの責めは再開される。
 大きく口を開け陰部に食いつき、指でクレバスを開いたまま舌を侵攻させた。ニースは躊躇なく襞を分け、肉門に滑り 込んだ。
 「きゃああァァ―――!?」
 悲鳴に近い衝撃への反射がロゼットから洩れる。一方、ニースはいきなり舌をロゼットの大切な粘膜の中に入り込ん で上下左右の壁に舌を密着させ舐め上げ、震わせる。
 「あふぁっ!やめてっ!…ふふぁアァン……」
 僅かに溢れていたロゼットの蜜を啜ると同時に未開の大地を舌で撫で上げていく。
 ニースは同時に薬指を舌と共に進入させる。何かを探すように蠢くが徐々に上がっていき、ついには淫唇の上部にポ ツンと佇むクリトリスをみつけ、コリコリと転がした。
 「!?……ヤアアアアァァ―――!」
 白き電流が股間から全身に、そして脊椎、精神までを貫いた。まだ包まれたままの華の果実だったが胸の果実同 様、敏感な素質をもっているようだ。
 逃げる事許さす、ニースは舌で膣を、指でクリトリスを責め続けた。ニースの唾液が、そして洞窟から染み出した淫ら なスープが混ざり合い、ロゼットの花畑の湿度は急激に高くなっていく。他の指も割れ目に入り込み、皺や淵を腹で犯し ていく。
 
 ニースが前の門を犯すなら、マリシアは後ろの門を侵害しようとした。
 ニースが股布をずらしたため、マリシアも乗じて今まで弄くっていた菊門を直に嬲ろうと布の内側へと指を差し入れ た。尻の谷間を突き進み、不浄なる門へ辿りつく。
 「そこは…ゆるし…て…」
 小さい非性交用の穴は明らかに進入を防ごうとしているか、固く閉ざされたままだ。
 マリシアは中指を突き入れようとしたが前の穴よりも狭い穴に楔は打ち込めない。人差し指でやろうとしたが同じだっ た。そこでマリシアはまず緊張を緩めようと菊窟の淵をマッサージし始めた。ゆっくりと優しくアヌスの回りを撫でて行く。
 少しばかり時間が経った時の事。ほんの少しだがロゼットの後ろの穴に緩みが感じられた。チャンスを得たマリシア はそれでも万全を期すため、一度指をショーツの中から引き抜く。そしてたっぷりと中指を舐め、ローションを含ませ た。準備が整ったら、後は再開するだけ。再び潜り込んでアヌスに辿りつき、半ば強引に指を突き立てた。
 「ひぐっ!?い、いたい…」
 ロゼットの苦痛なそ知らぬ顔で指に力を入れる。皺が指と共に潜っていく。ぐいぐいと押し込んでいくと皺が限界を超 え、元の位置へと戻っていく。ついに中指がロゼットの排排泄孔の中へと入り込んだのだ。ぎゅうぎゅう異物を締め付け てくるがマリシアは構わず指をピストンさせる。
 「ひぐっ!…ぐっ…うぅん…」
 軽い痛みだったが、徐々に慣れていくとそれは痒感へと変化していき、広がっていく。



 五人の人形に体中のいたるところを犯され、悶えるロゼット。 様々な刺激に肌が波打ち、全身に電流が走る。悪魔 アスモダイの生贄となった少女は成すがままにされ、蹂躙される。
 しかし、一方的な愛撫の繰り返しは激しくロゼットの精神にダメージを与え続けたが、着実に彼女の中の何かを目覚 めさせ始めた。
 
 「ぷふぁ!?ああァん…駄目…そんな…」
 バナードに犯され続けた口が開放された。今までの指イマラチオで散々溢れた涎が彼女の頬をべっとりと濡らしてい た。口虐され続けた唇や舌は疲労し、開放されてもすぐには閉じられないでいる。大量の空気が出入りしたが、吐き出 されたのはそれだけではない。
 喘ぎである。
「あ、あ…ああン!……もうやめて…くっ…んっ、ふぅ…ン、アァッ!ハァ…ハァ」
小刻みに吐き出される声は明らかに熱を含み始めている。間断なく、体の至る所から刺激を送られ続け、反射的に喘 ぎを紡がなくてはならない。常に誰かが二つの乳房か、性器か、またはアヌスから刺激を送り続けているのだから。
 胸は絶え間なく揉み回され、先端の突起は常に口に含まれ舌の愛撫を受ける。ヴァギナは一人のシスターの徹底的 な愛撫を受け、不浄なる排泄の口は本当ならこんな汚らわしいことは絶対にしないだろう女性に弄られている。

 「おやおやどうした事かな?ずいぶんの気持ち良さそうな声を上げているじゃないか?まさかエクソシストが悪魔に操 られた人間の愛撫で感じているのかな?」
 「そんな事は…ない。い、やああァっ、うぅぅ…アアン!」
 「何がそんな事はない、だ!そんな悩ましく声を上げて…」
 自らが正体不明の嬌声を上げている事に気づき、慌てて口を閉じるが、今となっては完全に喘ぎを噴出す事を止め られはしない。それでも根性で口を閉ざしたロゼットはまだ抵抗を諦めてはいない。だが、逆に別の羞恥が彼女に襲い 掛かる結果となる。
 …ペロペロ…クチョクチョ…ネチャ、ネチャッ…
 今、ロゼットの体を三つの舌が這っている。それが胸や股間で水音が発生していた。肉と肉が粘液の助けを借りて奏 でる淫猥な調がロゼットの聴覚に押し寄せる。
 (そんな!?なによこの音…やだ、死ぬほど恥ずかしい・・・)
 性への免疫が無い少女がただでさえ淫らな宴に捧げられている。それだけでも極限状態だろう。緊張と危機感で正 常な思考が行えない状態でさらに不気味に響く粘着質の音は彼女をさらに混乱させた。混乱はさらに彼女を高揚させ、 全身の肉がさらに敏感になっていく。
 「そんなに音を鳴らさないで…ううぅっ…ふぅう!ああァ――!?」
 ロゼットのトーンが一つ上がる。羞恥と感度が上がっているからだろが、その事実をアスモダイは見逃さなかった。彼 はさらにロゼットに恥辱を与えようと人形を動かす

 バナード神父が顔をロゼットの側頭部に移動させ、ゆっくりと彼女の耳に近づいていく。再び、涙を舐められるのかと 思ったがそうではない。大きく口を開くと耳の中に舌を差し入れたのだった。耳朶を舐め上げると言う生易しいものでは ない。直接、限界まで耳膣まで押し進もうと言う勢いだ。だが、あまりに狭いため入り口近くまでしか届かなかった。そこ で蠢動を始めた軟体物は耳膜の内側を舐め取り、ここにも唾液を塗りたくる。
 …ズニャ…ベチャ…ズニャニャ…ボファ!
 耳の菅までも犯す勢いの舌。聴覚器官の一番近くで発生する淫らな水音、さらに男の吐息が鼓膜に直接届き、脳髄 にまで波及し、ロゼットを次第に狂乱させていく。
 「あああァー!うふあアアァ―――!耳の中まで…く、かアァ…」
 自らの奇声すらも隠してしまう耳辱にロゼットはさらに追い詰められていく。
 一方、体の各所を責める者達の指と舌の前にロゼットは感覚を研ぎ澄まされていった。最初は乳首やクリトリスを責 める際には痛みを伴っていた。しかし、痛覚が麻痺して、いや、痛覚に慣れてくると、その奥に漂う白く甘い感覚を意識 できるようになってくる。暴虐的な刺激に翻弄されながら、徐々に白い感覚が彼女の体、心に浸透していく。
 (何…?この感覚……変…私の体、熱くなっていく……)
 
 
 口の中で翻弄される乳首。粘液の海の中で突かれ、柔肉器官に絡め取られていた。一方的な愛撫に先端の突起は 隆起し、自己主張をしている。男達は一度、口を離すと申し訳ない程度に立ったポッチをべろんべろんと舐め上げてい く。男達の口内の暖かさに幾らか慣らされていた敏感な乳突起は突然、外気に晒された事によりさらに鋭敏になってし まう。そこに再び襲い掛かる舌。まるで飴を舐め上げるかのように小さく膨れ上がった豆をくにくにと刺激する。

 下半身を扱うシスターの責めも勢いを増す。膣洞窟の壁を舐め尽した。堪能を終えた舌は新たな目標を探す。今まで 指がたんたんと弄くっていたクリトリスに狙いを移す。クレバスの中を掻き分け上へと上がり、禁断の果実に取り付く。 一方、逆にそれを嬲っていた右手の指は舌が引き払った膣へと進入していく。残された左手の指でクリトリスの包皮を 捲り、中の実を取り出した上で舌の洗礼を浴びせる。一方、膣の中へ入り込んだ指は舌では入り得ない奥地まで一気 に目指す。膣口の上辺、4cmほど奥にあるザラザラした場所に辿りつくと、そこを擦り付ける。
 「ああっ!?……あ、ぁ…う…あ」
 途端、ロゼットは軽く痙攣した。まるで陸に上げられた魚の如く口をパクパクさせる。気を良くしたニースはさらに動き を前後させていく。最初はゆっくりと、そして段々と早く。新たな刺激の出現にロゼットは翻弄されるばかり。
 皮を排除したクリトリスはあまりに危険な火種だ。しかし、容赦なくニースの舌が舐め嬲っていく。
 「つぅ!?…くはああアアァ―――!?」
 今までの刺激とは比べ物にならない性の電流がロゼットを打ちのめす。剥き出しの果実から与えられる刺激は暴力 的で殆ど痛みに近い。極限状態のロゼットはこの極大の刺激に抵抗できる力は残ってはいない。為すがままだった が、人間、いや牝は奇妙なもので、この痛みすらも性感へと変換していく。
 
 アナルを犯す指もさらに悪らしく傾倒していく。単純なピストン運動からまるで拡張するかのように前後左右に右往左 往する。力任せにも見えるがマリシアを操るアスモダイは計算付くの動きで痛みとマッサージを交互に織り交ぜていく。 徐々に緩やかになっていく排泄口。さらには指を二本に増やして更なる拡張を要求していく。
 「二本なんて入らない!?…はぐぅ!……うううぅ…」
 


 ロゼットは穢れを知らぬ乙女であり、神に仕えるシスターである。
 彼女は今まで自慰すら行った事がなかったし、また、性への知識も疎い少女だった。
 しかし、今、彼女は悪魔に囚われ、人形達の手によって急速に女の部分を開発されていく。元々の素質なのか、隠さ れていただけなのか、彼女は加速度的に性を受容できる体へとなっていく。しかし、彼女の心は今までの生涯で感じる 事が殆どなかった感覚をこの短い時間で叩き込まれる事を受容できるほど変化に対応できなかった。ただただ疲弊 し、打ちのめされていくロゼット。
 (もう嫌だ…こんなの…でも、どうして私の体は…)
 自分の体が自らの制御を離れていく、その事を僅かに残った彼女の冷静な部分が理解していたが、どうしようもなか った。そして最後には精神すらも蝕んでいく。
 このまま自分はどうなってしまうのか?ロゼットは未体験の世界へと向かっていく。
 
 アスモダイはロゼットの体が小刻みに震え出した事を人形達を通して知った。この穢れなき少女の体は今、オーガズ ムへ向かって突き進みつつある。
 「どうした?今まで感じた事がない変な気分じゃないか?ロゼット…」
 「は、ぅ…やんっ!…な、なによ?…」
 「教えてやろう、君は今、我々に体中を弄られ、舐められて感じているんだ…ほら、分かるだろう?君の乳首はこれ以 上ないほど、そそり立っているだろ?体中の肌がもの凄く敏感になっているだろう?そして、君の恥ずかしい穴は入っ ている指を意識せずに締め付けているだろう?君がもの凄くいやらしく感じている証拠だよ」
 自分の体に起こっている事を解説され、ロゼットの顔は真っ赤になるが、その怒ろうと作った表情すらアルコールに酔 った状態に酷似した色を隠せない。既に彼女の顔には色気掛かった大人の女の成分が含まれ始めていた。
 「し、知らない…アンタの言う事なんか知らない!」
 しかし、アスモダイは構わず続ける。ロゼットに自らの様を知らしめるために。
 「君は今、悪魔とその人形の手によって感じているのだ!恋人でもない、思い人でもない者たちの手によってな!… …分かるかな?君はそこらのあばずれも赤らめるような淫らな姿を晒しているんだ。くくっ…神に身を捧げるシスターが まさか、悪魔に犯されて感じようとはね…」
 ロゼットが薄々思い始めていても、決して認めようとはしなかった事実を叩き付けられる。自分は感じ始めている。そ れも悪魔達の手で…いくら、女の性とはいえ、許されるはずもない、認められない事のはずなのに。
 「違う!私は感じてなんか…」
 気丈な彼女の瞳から涙がボロボロ流れる。追い詰められたエクソシストは無力な少女に成り下がっていた。精一杯の 否定の言葉も小さいものだ。
 「違う訳がないだろう?現に君は感じまくって絶頂に行こうとしているじゃないか?心と体が本当に結びついた恋人同 士にしか許されない愛戯の終着点、究極の快楽の頂点に向かってね…」
 「そんな事…絶頂なんてしない!」
 正直、ロゼットには『絶頂』とはどう言う物か知らない。しかし、恐怖に満ちた響きのように思える。
 「君はまだ絶頂を体験した事がないのだろう?今から体験させてあげよう。そして…その甘い味に溺れるがいい…」
 アスモダイの言葉が終わると同時に5人の僕の動きが動きさらに激しくなった。
 

 「うわっ!?駄目…やめてよこんなの…」
 激しく揉み回される乳房にしゃぶり取られていく乳首。
 徹底的なまでに愛撫されるクリトリス、ピストン運動の上、Gスポットを激しく擦られる。
 ついに三本まで増えた指はアヌスの中を無茶苦茶に動き回り、痛みと痒みに似た感覚を助長させる。
 神父バナードに徹底的なまで愛される耳、指が裏側から耳朶までをなぞり、穴の中をグチャグチャと嘗め回す。
 
 「ハァ…はっ……んく…うはっ…んああァ!ひぅ…ぃぅううああァー!」
 ロゼットはアスモダイの言う『絶頂』に連れて行かれないよう精一杯の抵抗をしようと口を固く閉ざし、できるだけ這い 回る舌や指を意識しないよう心掛けた。
 しかし、あっさりと抵抗は排除され、口からは喘ぎが、体中を嬲られる事に意識を向けてしまう。
 それと共に刺激が全身を駆け巡りさらに敏感の度合いを増す。さらに不思議な事に体が翻弄されているのに体が軽 くなっていくような錯覚を受けた。
 さらに彼女の思考が停止寸前まで追い詰められる。代わりに彼女の精神に白く甘いあの感覚が覆い尽くしていく。
 既に彼女の四肢はあまり強い力で抑えられている訳ではないのに撥ね退ける事が出来なかった。彼女の心の支配を 抜け、ビクビクと性の電撃の前に強張っているだけだ。
 
 (だめだ…私、何も抵抗できない…何もさせてもらえない…)
 悪魔に屈するつもりはサラサラなかったが、既にこの責めに自分は負けるだろう、この激しく甘い感覚に身を委ねて しまうだろう、と諦めかけている自分がどこかにいた。
 そうじゃいけない、最後まで戦わなくちゃいけないと鼓舞する自分もまた存在する。
 しかし、結果は彼女にも分かっていた。
 想像を絶する世界に叩き込まれる前、ロゼットは一人の悪魔の姿を思い描いていた。
 (ゴメンね…クロノ…)
 

 「…ん、んんんぅぅっ!駄目!うそ…あふ…ぁん!うはあぁ―――!あああぁ―――っ!?」
 「さあ、生まれて初めての絶頂、君が淫らに堕ちていく姿をたっぷりと見せてもらおうか…」
 
 体中が急沸騰している。何も見ないよう目を閉じたが、瞼の裏を白いスパークが走っている。もはや、ロゼットは引き 返す事のできないところまで追い詰められ、堕とされようとしていた。
 
 「ううッ!…っくああぁ−!んんあぁ!…やだ、もういやだああっ!」
 昂まるロゼットにトドメを指すべく、人形達は動きを強めた。
 胸に掛かっていた男達は今まで丁寧に閉っていた歯という刃を胸に衝き付けた。男達のごつい歯が柔らかで張りの あるロゼットの乳肉に食い込む。さらに二本の指で乳首の先端を潰す。
 膣内深く差込まれた指がザラザラした敏感なGスポットに爪で引掻き、クリトリスを舌で潰す。さらには菊座の指は限 界を超えて無理に折り曲げてしまい壁を圧迫した。
 
 圧倒的な性感と共に痛感が襲い掛かるが、その痛みは何とか一線を保とうとしたロゼットの防壁を破壊した。
 神に仕える少女ロゼット、彼女の全身が一度ビクンと打ち震え、体内で無数の爆発が起きた。
 「い、痛い!?こすらないで、噛まないで!…あああぁっ!?んんッう…くふぁああぁ!
 あああぁん…いやああぁ――っ!?」
 (クロノ…!?助け…)
 
 「んんああアアァ……ッ!ううあああアアァ――――!!」

 牝の獣声が聖なる教会の四方に鳴り響く。凛とした礼拝堂の空気が淫らなピンク色に染まった。



 「…とうとう絶頂、オーガズムに達したのだな…」
 「…っくふっ…う、ぅッ…は…」
 出し尽くされた空気を再び吸い込もうとするロゼット、男に噛まれたままの胸が激しく上下に揺れる。全身の痙攣は今 だ解けず、フルフルと震えている。
 経験した事がない刺激と真っ白な感覚だけが支配する世界に投げ出された彼女は再び、自我を取り戻すのに時間を 必要とした。
 僅かに落ち着いたロゼット。しかし、取り戻した視界に自らを見下ろすアスモダイの顔があった。
 しばらく憎むべき悪魔の顔を虚ろな眼で見つめていたが、理性が回復し始めると気づいたように顔を背けた。
 「ふふっ…確かに見せてもらったよ。君が絶頂を迎えた瞬間を、君が絶頂に達した時の表情を…いや、本当に厭らし い顔をしていたよ…」
 「くっ…」
 一度絶頂を向かえ、抵抗の気力が蘇ってきたのか、ロゼットは怒りに満ちた表情で睨み返した。しかし、その頬は燃 え上がるように赤い。何しろ、自分が淫欲を司る悪魔の手の平でいいようになってしまったのは事実名なのだから。
 
 「どうだい?初めての絶頂の味は?素晴らしいものだろう…?」
 「だ、誰があんなもの・・・」
 否定したいロゼット。しかし、あの絶対無比な何かが支配する世界は彼女をこれ以上なく興奮させたのは事実だっ た。あの絶頂を迎えた時の感覚、それを思い出すとロゼットの胸がトクン、と鳴る。

 「まあ、確かに一回ぐらいじゃ、まだ酔いしれる事はないだろう。ふふっ、安心しろ、これからたっぷりと絶頂を与えて やろう。他にも色々な事を教えてあげよう。そうすれば、君は淫楽の世界の素晴らしさを知る。その上で改めて君との 契約を申し込むとしよう」
 ロゼットの血の気が引き、顔が青ざめる。
 これ以上の恥辱と責めを自分は受ける事になるというのか?
 
 (クロノ…助けて…)
 目を瞑り、再び、パートナーへ助けを求める彼女だったが、次なる陵辱劇はすぐに始まろうとしていた。



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