怒りの少年王 1


(1)
「ふ、」
それ―シナリオが届いた瞬間から、封を開ける前から彼は、笑みを抑えきれなかった。
「ふふふふふ、はは、は、は、ふわっはっはっはっはっ!!」
城内に不気味な哄笑が響いた。
―どうだ、見たか、このシナリオを…!
部屋に飾ってある、七夕の日の短冊を飾った額縁に、彼は歩み寄る。
「ふ、ふふっ、くっくっくっ…」
こらえ切れない笑みをこぼしながら、彼はそっとその額縁を撫でた。
額縁の中には、一言。 『華麗に再登場』
長かった。
もう二度と、陽の目をみる事は無いのではないかと、怖れた事もあった。
だが。やっとこの日が訪れたのだ。
―世間はオレを忘れてはいなかった…!
撮影の日の、なんと待ち遠しい事か。
オガタンは早速、カレンダーに大きく花丸をつけ、それからその日までを指折り数える。
そうだ。このまま安穏と日を過ごしてはいけない。
まずは美容院に行って髪を整え、そうだ、当日は何を着ていこう。この際だからメガネも新しいものに新調しようか。
思わず浮かれて懐かしのアニメソングを鼻歌で歌ってしまっているのにも気付かず、オガタンは鏡を覗き込み、手櫛で軽く髪をかきあげ、メガネの位置を直してみる。
「くっ」
―相変わらずの、伊達男ぶりだぜ。
鏡の中の自分を見ながら、彼はそう思いながら、喉の奥で笑った。
「くっくっくっ…」
―何を、恐れることなどあったんだ。そうとも、このオレが、このまま放置されつづけるなどと言う事が、ある筈などなかったのだ!そうだ!『華麗に再登場』!!
これ以上、このオレに似つかわしい言葉があるだろうか…!!



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