怒りの少年王 11


(11)
「くっくっくっ…その程度で逆上なさるとは、まだまだ甘いですな、王よ…」
跪いていたオガタンが顔を上げて、言った。
「宜しいんですよ、我が王よ。あなたがわたくしを銃殺刑に処せられるというのなら、わたくしは喜んで従いますとも。先日の公開処刑で皆の期待も盛り上がっている事ですし、王国の為でしたらわたくし一人犠牲になる事など…ええ、あなたが冗談やはずみで銃殺などとおっしゃる方でない事はわたくしも十分にわかっておりますとも。」
言いながら、オガタンはいつものような皮肉そうな笑みを浮かべた。
「ですが、」
くっと、喉の奥で笑って、オガタンはアキラ王を見上げる。
「わたくしがいなければ、次週の連載は…穴があくか、でなければわたくしの対戦相手であられるあなた様の出番を無理矢理削るか、どちらかでしょうねぇ。それに、わたくし抜きで、今後、どのように話を進められるものか…」
からかうようなオガタンの声音に、アキラ王は両手を握り締めて、彼を睨み返した。
「わたくしも、物語の最後を知らずにこの世を去るのは非常に残念ですが…敬愛する王の命令とあらば、このオガタン、いつでも命を差し出す覚悟でございます。」
「…いい」
怒りを押し殺した、低い声で、アキラ王が言った。
「いいから、もう、出て行け…!」
怒りに肩を震わせながら、アキラ王はオガタンをドアの外に押しやろうとした。
「おやおや、よろしいんですか?あなたともあろう方が、例えはずみとはいえ、一度口に出された事を取り消されるとはね?」
「知らないっ!そんな事っ!出てけっ!!ばかっ!!」
アキラ王は乱入者たちを全て室外に追いやって、バタンと大きな音を立ててドアを閉めた。
「ああ見えても、アキラくんもまだまだ子供だ。からかいがいのある…」
くつくつと笑いながら、他の家臣を連れて部屋を出て行くオガタンの耳に、アキラ王の泣き声が、またもや届いた。
「ち、ちくしょうっ!オガタンなんて、オガタンなんて、大っ嫌いだあ!!うわあああんん!!」

(終わり)



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