tournament 1


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城中ではトーナメントが始まっていた。
そこに集い、熱い戦いを戦っているのは、地域の予選を勝ち上ってきた精鋭の騎士たちである。
トーナメントは、春に行われる国際親善試合の代表選手を決定するための戦いであった。
ただし、今回の勝者は二人であって、正確には「トーナメント」とは言えないのかもしれないが。

各国代表三名で行われる国際親善試合の、最初の一人は既に決まっていた。
その高貴さと美しさと、そして国技である囲碁の、父王譲りとも言われる天賦の才によって、
その名を高く知られていたアキラ姫である。
国家の面子をかけたこの試合の最初の一人として、姫が決定されたことに意義を唱えるもの
はいなかった。それほどまでに、姫の才と力は抜きん出ていた。

今回行われるトーナメントは、残りの二つの席を決めるための戦いであった。
だから一部の騎士たちにとっては、この闘いは国の代表となる誉れを賭けた戦いであると同時に
姫のパートナーの座を巡る闘いであり、自らの強さを姫にアピールする絶好の機会でもあった。
何しろ姫は、一部では囲碁バカと囁かれるほどで、姫にとっては何よりも重要なのは囲碁の腕前
であり、ある程度以上の強さが無ければ、姫に名を覚えてもらう事は愚か、目を留められることさえ
出来ぬほどであった。

それなのに、姫の姿は、この戦いの場にはなかった。
試合を観戦しに来た一部の民の内には姫の姿が見えないことを嘆くものもあった。
彼らにとっての最大の関心事は、なによりも姫をおいて他になかったからである。



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