怒りの少年王 10


(10)
「王よ!どうなさいました!!」
大きな音を立てて、ドアが開かれ、主治医や執事、小姓たちが部屋に駆け込んできた。
慌てて二人はパッと身体を離した。
驚きと羞恥にアキラ王は一瞬頬を赤く染め、それから、次の瞬間には邪魔をされた事に猛烈に立腹した。
怒りのあまり、枕下に隠してあった鞭を取り出して、ピシリとそれを振るう。
「誰が、誰が、この部屋に入る事を許した!」
アキラ王は仁王立ちになって鞭を構える。
「レッドが来ている時には誰も立ち入るなと、いつも言っているだろう!!」
「おい、アキラ、やめろっ!」
王の前に跪いている家臣に、今にも鞭を振り下ろしそうに見えて、レッドはアキラ王の身体を抱きかかえて止めようとした。
「放せっ、レッド!もう、今日という今日は許して置けない。
こいつらはいつもそうなんだ。わかってて邪魔してるんだ!!
そうだろう?オガタン!?」
「何をそのような…わたくしどもは、常にあなた様の身を心配するがゆえの事…」
白々しいオガタンの口ぶりに、少年王の怒りは頂点に達した。
「もーう、許さない!おまえなんか、鞭打ちだ!銃殺刑だ!!」
「やめろっ!やめてくれっ、アキラっ!!」
「はなせぇ、レッド!!」
「お、王よ、ムチを振舞われるなら、是非、このわたくしめに…」



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