無題 第3部 13
(13)
―進藤?なぜここに?
碁会所で、市河にここを聞いたのか。
どちらにしろ、進藤がアキラの事をどう思っていようと、アキラが進藤を気にかけている限り、
いつかは進藤とは決着をつける必要がある。
いや、進藤がアキラの事を全然気にかけていない、などと言う可能性はほとんどない。
いつか、アキラに微笑みかけられて真っ赤になって逃げていった進藤を、緒方は思い出した。
今だって、アキラを追って来たのだろう。
では、おまえはどうするつもりだ、進藤?
緒方は心の中でヒカルに呼びかけた。
「だが、今更言い訳をするつもりは無い。」
そしてアキラにそう言うと、困惑した顔で緒方を見上げたアキラの顎を捉えて、唇に軽く触れた。
アキラが驚いて目を見張った。
「言い訳をするつもりは無い。あの時は…ただ、おまえが欲しかった。」
耳元で囁いて、もう一度、今度は深く、アキラにくちづけた。
ゆっくりと、探るように緒方がアキラの口腔内に侵入すると、アキラの舌が躊躇いながらも
それに応えた。
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