Kids are all right. 14


(14)
 延々とそんなことを考えていた緒方をびしょ濡れのアキラとヒカルが
心配そうな表情で覗き込みました。
「おがたくぅん、なんだかぶつぶついってたけどだいじょうぶぅ?」
 緒方は驚いて「うわぁっ!!」と叫ぶと、ばくばく言う胸を押さえながら
言いました。
「2人とも、もう戻ってきたのかい?」
 2人は一緒に大きく頷きました。
「もうってゆーけどさぁ、おじさん、オレたちけっこーながくあそんでたぜぇっ!」
 ヒカルの「おじさん」発言に激しい目眩を覚えながらも、緒方は腕時計に
目をやりました。
ヒカルの言う通り、確かに2人が噴水で遊び初めてから既に2時間近く経過
しています。
 ヒカルはベンチに置いてある大きなタオルを手に取ると、広げてアキラの
身体を包み込み、濡れた髪を拭いてやりました。
「いっぱいあそんでつかれちゃったし、くもがでてきてアキラがさむいって
ゆーから、いっしょにもどってきたんだよ」
 緒方はヒカルに「ありがとうな、ヒカル君」と優しく言うと、アキラに服を
差し出しました。
「十分遊んだようだし、アキラ君はもう服を着た方がいいな。ヒカル君はどうする?」
 ヒカルはアキラの髪を拭いてやりながら、しばらく考えていましたが、意を決して
言いました。
「オレもふくきるよっ!」
 緒方はヒカルの母親が置いていったナイロンバッグを手に取り、ヒカルに
渡してやりました。
ナイロンバッグには、ヒカルの服とスニーカー、そして小さいタオルが
入っています。



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