Kids are all right. 15


(15)
 ヒカルが小さいタオルで濡れた髪を拭き始めたのを見て、緒方は持ってきた
紺色のトートバッグからタオルに包まれたプリンを取り出しました。
手早くタオルを開き、中の保冷剤とプリンを出すと、タオルを軽く振ってヒカルに
差し出しました。
「ヒカル君の大きいタオル、アキラ君に貸してくれてありがとうな。プリンが
包んであったから、ちょっと冷えてるけど、このタオルも使うといいよ」
 ヒカルは嬉しそうに頷くと、緒方に手渡されたタオルで身体を拭き、服を着始めました。
 さっきまで空に見えていた雲は、もう跡形もありません。
再び強い日差しが照りつけ、2人の濡れた髪も一気に乾いていきます。
「2人とも、服を着たらこのプリンを食べるといい。遊び疲れてお腹が空いてるだろ?
また暑くなってきたようだから、冷えたプリンをおいしく食べられそうじゃないか」
 ヒカルはスニーカーを履きながら、驚いたように緒方の持つプリンを見つめました。
既に服を着たアキラが、ヒカルに借りた大きなタオルを丁寧に畳みながら、ヒカルに
笑顔で言いました。
「そうだ、プリンがあったんだよっ!ヒカルくんはプリンすきかなぁ?
ボク、プリンだぁいすきなんだっ!!ヒカルくんといっしょにプリンたべたら、
きっとすごぉくおいしいだろうなぁ!!」



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