無題 第3部 15


(15)
眼鏡をかけていない緒方は、なんだか別人のようだ、とヒカルは思った。
アキラと緒方は向かい合って、何か深刻そうな話をしていた。
声をかけようか迷っているヒカルに、緒方が気付いたようで、ちらりとヒカルの方を見た。
気付かれた、とヒカルは思った。だが、自分にやましい事は何もない筈だ。
そして声をかけようと一歩足を踏み出そうとしたヒカルを見て、緒方は少し笑ったように見えた。
緒方の視線を感じて、ヒカルはなぜかカッと身体が熱くなるのを感じた。
それから。
ヒカルは目を見張った。
―何?今のは…
ヒカルは今見たものが信じられなかった。
アキラは少しびっくりしたように見えたが、しかしそれを拒んではいなかった。
ヒカルには、そう見えた。
―どうして?塔矢…緒方先生…
そんなヒカルに見せ付けるように、緒方はもう一度アキラを抱いてキスした。
しかも、アキラは両腕を緒方の背に回して、そのキスに応えていた。
頭ががんがんする。目の前で起きている事が信じられない。
握り締めた拳がふるえ、目の前が赤く染まった。



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