Kids are all right. 17 - 18


(17)
 アキラとヒカルは仲良く並んでベンチに腰掛け、幸せそうにプリンを食べ始めました。
2人のプリンの食べ方は実に対照的でした。
アキラは行儀よくスプーンでプリンをすくって、一口ずつ味わうように食べる一方で、
ヒカルはプリンの容器を口に付けて、スプーンでかき込むように食べるのです。
そんな好対照をなす2人ですが、幸せそうな笑顔は共通しています。
 その横で、緒方はバナナを潰れんばかりの力強さで握りしめながら、ひとり物思いに
耽っていました。
(このヒカル君という子、オレを三度も「おじさん」呼ばわりするとは、
命知らずな小僧とでも言うべきか……。フッ、子供相手に何を熱くなっているんだ、
オレは……。まあいい。この子が大きくなって、今のオレのように「おじさん」
呼ばわりされる頃には、オレは囲碁界を背負って立つ最強のトップ棋士、
タイトルホルダー緒方精次様になっているであろうことなど、この坊やには知る由も
ないことだな……ハハハ!!)


(18)
 ふと、アキラはヒカルがプリンを食べる様子をじっと見つめて言いました。
「ねぇねぇ、ヒカルくぅん、おくちのまわりにプリンがいっぱいついてるよぉ」
 ヒカルは「そぉかぁ?」と言いながら、プリンの容器から口を離しました。
「ふかないのぉ、ヒカルくん?」
 黄色いプリンと、焦げ茶色のカラメルソースがヒカルの口の周りにたっぷりと
付いています。
「こんなのいちいちふいてらんねぇよぉっ!」
 ヒカルがそう答えると、アキラは楽しそうにヒカルの顔を至近距離で覗き込み、
突然ヒカルの口の周りをペロッと舐めました。
 ヒカルは一瞬びっくりした様子で、大きな目を更に大きくしてアキラを見つめました。
「ほらっ、これできれいになったでしょっ!!」
 屈託のない表情でアキラがそう言うと、ヒカルも思わずクスッと笑いました。
「へへっ、そーだなぁっ!オマエっておもしれーやつだなぁ!!」
 2人は楽しそうに笑いながら、残りのプリンを食べました。
「ふうっ、ごちそうさまでしたっ!!」
 2人が満足そうに声を揃えて言いました。
物思いに耽っていた緒方は、その声に驚いて「うわぁっ!!」と叫ぶと、
手の中で潰れかけたバナナを慌てた弾みで皮ごと食べてしまいました。
アキラとヒカルはその様子を見て、愉快そうに笑うのでした。



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