断点-2 2
(2)
唇を離すと、塔矢が目を開けてオレを見ていた。
「とう…」
何を考えているのかわからない、無表情な目。
わからないけれど、それでも真っ直ぐにオレを見ている。
どうして何にも言わないんだよ。
なんか言ってくれよ。
何も言わない塔矢を見てたら、なんだか泣きそうになってしまって、それを誤魔化すようにオレは
アイツの顔を睨み付けた。
それでも塔矢は何にも言わなくて、オレも何も言えなくて、オレは衝動的に塔矢の肩を掴んで、
もう一度唇を押し付けた。
掴んだ肩が不快そうに強張るのを感じた。
てっきり、また殴られる、そう思った。
でも、構うもんかって思ってたから、きっと多分オレは真っ赤な顔で、塔矢を睨んだ。
そうしてオレが必死に塔矢を睨みつけていたら、何も言わない塔矢の目が真っ直ぐにオレを見
据えたまま、アイツの手がオレの顎を掴んでぐいっと引き寄せ、オレが何かを考えるまもなく、
また唇が重なった。
塔矢の方から重ねられた柔らかい塔矢の唇の感触に、眩暈がした。
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