無題 第3部 2


(2)
「あの…さ、加賀」
「何だよ、早く言えよ。」
赤くなってもじもじしているヒカルを見て、加賀にはヒカルが何の相談をしたいのかは
すぐに分かったのだけれど、ヒカルのその様子があまりにウブで可愛いので、にやにや
しながら、ヒカルの言葉を促した。
「うん、でも…」
はっきりしないヒカルにいい加減呆れてきて、答を促した。
「で?誰なんだ?」
え?と加賀を見上げるヒカルに、
「だから誰なんだ?好きなヤツができたんだろ?」
幼なじみのあかりちゃんか?そう続けようとした加賀を打ち消すように、ヒカルが言った。
「…男なんだ。」
思いがけないヒカルの告白に加賀はお茶を吹き出しそうになった。
だが幸い、ヒカルはそんな加賀の様子には気付かずに続けた。
「男なんだけど、オレ、ソイツの事、すごい好きになっちゃって、
なんか、いっつもソイツの事ばっか考えちゃって、なんかもう、考えただけで
ドキドキしちゃって、オレ、どうしたら良い…?」

なんでわざわざそういう事をオレに相談して来るんだ。
オレならわかるだろう、とでも言いたいのか?
いや、そんな複雑な事を考えるようなヤツじゃない、コイツは。



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