怒りの少年王 2


(2)
「遅い!」
少年王は苛つきながら、玄関先でオガタンを待っていた。
「一体、オガタンは何をしているんだ…一緒に行こうと言ったのは彼の方なのに…!」
「怖れながら、王よ、主治医殿にあられては、お召し物をどれになさるかで、いささか迷われていらっしゃるようで…」
命ぜられてオガタンの様子を見て来た小姓がそっと、少年王に告げた。
「もうよい!ボクは先に行くからと、伝えておいてくれたまえ!!ハマグリゴイシの用意を!」
―全く…!今日は私がお送りしますよ…いえ、出番も一緒ですしね、なんて言ってたくせに!
ボクよりも、衣装をの方が大事だって言うのか!?

オガタンの居室には白スーツやら、ワイシャツやら、ネクタイやらが山を成していた。
そして全身の映る姿身の前で、オガタンは眉を顰めながら、二本のネクタイを交互に胸に当ててみていた。どうも気に入らない。
久しぶりの出演なのだ。衣装もばっちり決めていかなければならない。
まず最初にオガタンは、夏らしく麻のスーツでも、と引っ張り出して着てみた。だが作中ではまだ冬であった事を思い出して、そのダンディなスーツはあきらめる事にした。
ワードローブ一杯の白スーツを眺めながら、今日はどれにしたものかと考える。
スーツを着るのはあまりにも久しぶりなので―城内では主治医として白衣を着るのが基本なので―どれを選ぶべきか目移りしてしまって決められない。
「も、申し訳ございませんが、オガタンさま…」
やっと小姓の声が届いて、オガタンは振り返る。
「どうだ?この組み合わせは?しかし、これではやはりネクタイの色が合わんかな?」
「アキラ王が、もうお待ちになれないという事で、先に出発してしまわれまして…」



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