少年王アキラ 誕生日 2


(2)
 アキラ王は一呼吸置いて、前のほうが窮屈になってしまったジャストサイズの
かぼちゃ型パンツをするりと下ろした。ぴょこんと飛び出たエリンギの上から、
朝枕元においてあった父王からのプレゼント――王家に代々伝わるという、家宝の
マツタケケース――を被せた。色とりどりの宝石がちりばめられたベルトをその
細腰に巻きつけ、その端をマツタケケースの左のフックに引っ掛ける。
「どう? 座間」
 少年王は両手を突き出した腰に当て、エリンギケースを見せ付けるように笑った。
「とてもよくお似合いで」
 白すぎる王子の肌と、黒いなめし革でできたエリンギケースと赤や緑や青の宝石が
散りばめられたベルトはそれだけで淫靡な芳香を撒き散らしてゆく。
 座間はポプリの香りの染み付いたレェスのハンケチでそっと目頭を拭った。
「ボクにはまだ大きいな。ちょっとだけだけど」
 そのことが不満なのか、少年王は唇を尖らせながら腰を揺すった。耳を澄ますと
ケースの中で少年王のエリンギがピタンピタンと跳ねる音が聞こえてくるようで、
座間はそうっと目を閉じる。
「まぁいいや。じきにボクも大きくなって、ケースの中いっぱいになっちゃうだ
ろう。それよりもだ。オガタンの夜の指導碁をクリアしたら、やっとレッドに正式な
プロポーズができる……!」
 面白くなってきたのか、それとも王家の家宝は感じるポイントに何かが当たる
ように仕込まれているのか、少年王は白磁の陶器を思わせる頬を赤く染め上げながら
より激しく腰をうねらせ始めた。



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