Kids are all right. 23
(23)
アキラは素直にころんと転がって、仰向けになりました。
緒方が楽しそうにビールを飲みながら、氷嚢を腹や胸に当ててくれるのを
うっとりとした表情で見つめながら、アキラは呟きました。
「『ひょうのう』……。なんだか、おがたくんのおててみたいだねっ!」
緒方は不思議そうにアキラのことを見つめました。
「オレの手……かい?」
アキラは頷きました。
「だって、こうえんにいくまえに、おがたくんボクのほっぺたをひやしてくれた
でしょ?おがたくんのおおててもひんやりしていて、『ひょうのう』みたいに
きもちよかったんだよっ!!」
アキラが嬉しそうにそう言うのを聞いて、緒方は納得したように「ハハハ!」
と笑いました。
緒方はビールの缶を床に置き、アキラの顔を真上から至近距離で覗き込むと、
手を頬にそっと当てました。
「缶ビールを持ってたから、凄く冷たいだろ。気持ちいいかい、アキラ君?」
アキラは満面の笑みを浮かべて緒方の両頬を小さな手で包み込むと、鼻の頭に
チュッとキスして、大きく「うんっ!!」と頷きました。
<終>
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