無題 第3部 25


(25)
ギラリと、緒方の目がヒカルを睨み付けた。
「ああ、そうさ。おまえなんか話にもならないからさ。
おまえなんかが現われるずっと前から、オレはアイツを見ていたんだ。
おまえが、アイツの何を知っているって言うんだ?」
「知ってるとか、知らないとか、そんなの関係ない。時間なんか、それがどうだって言うんだ。」
「それじゃ、おまえは何が聞きたいんだ?
何が知りたくてここに来た?アイツとオレの関係か?だがもうわかっているんだろう?
アイツはオレのものだ。おまえみたいな能天気なガキに渡すつもりはさらさら無い。」
緒方は残っていたコーヒーを一気に飲み干した。
ヒカルを睨み据える緒方の目が暗く光ったような気がした。
緒方はヒカルを見据えたまま、低い暗い声で話し始めた。まるで、自分に言い聞かせるように。
「…アイツはそこに座っていた。今のおまえと同じように。
そうだ、今日、おまえがあいつの事を教えてろと言ってきたように、
アイツもおまえの事を教えろと言って、ここに来た。」
「オレの事…?」
「囲碁ゼミナールの晩に、おまえと打って、オレが負けた一局さ。
その内容を教えろと言って、アイツはここに来た。」
「そこに座っていた。同じように。コーヒーを飲みながら、オレの返答を迫った。それでオレは…」
緒方の目の光に、ヒカルは怯えた。
これ以上、ここにいちゃいけない。なぜだかそう思ってヒカルは腰を浮かせた。
「オレ…帰る。」
だがそんな言葉など聞こえないように、緒方はヒカルの顎に手をかけた。
「教えて欲しくて来たんだろう?教えてやるよ。」
「イヤだっ!」
振り払った手を逆に押さえつけて、緒方の唇が強引にヒカルの唇を塞いだ。



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