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Kids are all right. 3
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アキラの両親は、三日前からヨーロッパに出かけていました。
アキラの父親でありトップ棋士でもある塔矢行洋が、日本棋院の主催する
ヨーロッパでの囲碁ゼミナールに一週間参加するため、アキラの母親も
旅行を兼ねて同行してしまったのです。
一人日本に残されたアキラは、両親のいない一週間を父親の門下生である
棋士、緒方と過ごすことになったのですが、これまでにも何度か同じような
経験をしているアキラにとって、緒方と過ごす生活は楽しくて仕方がありません。
一人っ子のアキラにとって、緒方の存在は,囲碁を教えてくれたり、自分の面倒を
見てくれる少し年の離れたお兄さんのようなものなのです。
「ハハハ、そうだな。こんなに天気がいいのに家にいるのも勿体ないし、
どこか公園でも行こうか?」
緒方の提案に、アキラはもう大興奮です。
「わぁいっ、こうえんにいくんだぁっ!!ねぇねぇ、おやつをもっていこうよ、
おがたくぅん!れいぞうこのプリン、もってっちゃだめかなぁ?」
満面の笑みを浮かべながらはしゃぎまわるアキラを緒方はひょいと持ち上げると、
立ち上がって肩車をしてやりました。
「プリンか……。そうだ、冷凍庫に保冷剤があったはずだな。よし、アキラ君の
お望み通り、プリンを持って出かけるとするか!」
アキラは緒方の肩の上で嬉しそうに手を叩きました。
「わぁいっ、プリンだプリンだぁっ!!あっ、そうだっ!すいとうにむぎちゃを
いれていこうねっ、おがたくんっ!!」
緒方は「仰せの通りに致しましょう」とおどけたように返事をして、アキラを
肩から床に降ろすと、アキラの鼻の先に指を当てて言いました。
「洗面所に日焼け止めがあるから、ちょっと待ってるんだよ。日焼け止めを塗ったら、
おやつの準備開始だ」
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