大人は判ってくれない? 3
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緒方は不敵な笑みを浮かべつつ、腕組みをした。
(フッ、随分可愛らしい意思表示の仕方だな。こんな時間から酒のことで頭が一杯とは……
今夜もヤル気満々ということか。しかし、こう度々お持ち帰りされていて、キミの素行は
先生に怪しまれないのか?……まあいい。若者のヤル気に応えるのは、年長者たるオレの
使命だ。開発した以上、責任は取ろう)
アルコールが入ったアキラは肉欲に飢えた美獣と化すのが常である。
ベッドで見せるその妖艶な媚態を思い出し、緒方は内心ほくそ笑んだ。
「…………」
アキラは無言のまま小さく首を横に振った。
冷え冷えとした硬質なポーカーフェイスは、さながらシベリアの永久凍土を思わせるものがあった。
緒方の背筋を汗の雫が一滴流れ落ちた。
目算は見事に外れたようである。
何かとてつもなく嫌な予感がしてならない。
「……まさかアキラ君、オレ達の関係は『もう後がない』ということなのかッ!?」
"XYZ"──これを『もう後がない』と解釈する緒方は、密かに『シティーハンター』を
愛読しているらしい。
つい先日、対局過多で疲労困憊しているにもかかわらず、緒方は積極的に求めてくるアキラの
若い肉体を十分に満足させてやった──ハズだった。
少なくとも緒方自身はそう思っていた。
だが精も根も尽き果てベッドに力無く仰臥する緒方に、アキラはこともあろうか更にもう一発、
それもお気に入りの騎乗位を要求してきたのだ。
あまりにも無軌道な若き性。
いやはや恐るべき中学2年生である。
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