少年王アキラ 誕生日 3


(3)
「王子…」
 座間は若い少年王の奔放な身体にジェラシーを感じながらも、それでも目を離せ
ないでいた。
 どうなるものでもないだろうに、少年王は腰を揺らしながらケースを両手で掴むと
ケースの外側をそろそろとなで上げる。
「んっ、もうすぐいっぱいになっちゃう…っ」
 若い少年王は思い込むのも早いが、果てるのも早かった。
「ああん」
 鼻から抜けるような声と共に少年王の腹部が儚げに震えるのと連動して、エリンギ
ケースもビクビクと震える。それはまるで、アジを一本釣りでしとめた竿の先の動き
にも似ていた。
 やがて、少年王はテーブルの上に上半身を預け満足そうにため息をつく。
「…ふう……。また出ちゃった…。中がぐちょぐちょしてるよ座間」
 もう少年王のように白い液をエリンギの先から出したり、ぬるぬるになったりでき
ない可憐な執事は、レェスのハンケチをキリキリ噛み締めることしかできないでいた。
「疲れちゃった。もうコレ外してよ」
 アキラ王は指先でバラの花びらを弄びながら、ぞんざいに言い放つ。
 言われるがままに少年王がふらふらと揺らめかせては遊んでいるエリンギケースの
フックからベルトを外した座間は、ふと香ってくる懐かしい香りに目を細めた。
「とても懐かしい匂い…」



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