tournament 3
(3)
最初に対戦した相手はあっけなくヤシロの前に敗れた。
今の内容を検討しないかと言う対戦相手の言を退けて、ヤシロは次に戦うべき相手の戦いぶりを
確認する事にした。邪魔にならぬよう、熱い戦いが繰り広げられている盤上を覗き見る。そこには
既に片方の騎士の勝利が見えていた。盤面の石の並びに、ヤシロはその騎士の確かな才を見た。
コイツが次に戦う相手。
ヤシロは対戦表を取り出して、その騎士の名を確認しようとした。
広げた紙に書かれた名を見てヤシロの目が光った。
騎士・シンドー。
姫の覚えめでたく、その寵愛を一身に受けていると噂に名高い騎士を、ヤシロは初めて目にした。
成る程、強者のみを侍らすという姫のお気に入りだと言うのもよく分かる。
国を代表して戦うという誉れを、そして姫のパートナーの座をかけて争うのに不足のない相手。
ヤシロはシンドーの名の書かれた対戦表をぐしゃっと握りつぶして、乱暴にポケットに突っ込んだ。
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