バレンタイン小ネタ1 3
(3)
次の日、ヒカルはアキラと碁の研究会をするために学校の帰りに碁会所に
寄る。が、早めに着いたらしく、アキラの姿が見当たらない。
「進藤君、いらっしゃい」
「あっ、こんにちは市河さん」
「ちょっと遅くなったけど、コレどうぞ」
市河は綺麗にラッピングされたチョコレートの包みを2個ヒカルに渡す。
「えっ、いいの? ありがと市河さん」と、ヒカルは少しテレ気味に
チョコレートを受け取る。
「あれ? でもなんで2個もくれるの?」
不思議そうに自分を見るヒカルに対し、市河は苦笑する。
「・・・もう一つはアキラくんのなんだけど、案の定ものすごい数のチョコ
貰ってたから渡しにくくて。だから進藤くんが貰ってくれると嬉しいわ」
ちょうど その時、碁会所にアキラが姿を現した。
「進藤君、ホラ早く しまっちゃって」
小さな声で市河はヒカルに言いながら、
「アキラくん、いらっしゃい」と、笑顔でアキラに向ける。
ヒカルは そんな市河に何か言おうとしたが、一応言う通りにバッグに
チョコレートの包みを急いで入れる。
「ごめん進藤、学級委員の用事が長引いて少し遅れた。さあ、始めようか」
「ああ・・・」
受付に立つ市河に複雑な視線を送りながらヒカルは碁盤に向かう。
研究会が終えるとヒカルはアキラに一緒に帰らないかと誘った。
・・・進藤がボクに そんなこと言うの初めてだなあ・・・とアキラは最初は
驚きの気持ちが強かったが、次第に別の期待が頭の中を占領する。
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