無題 第3部 33
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「塔矢、塔矢、待てよ…!」
ヒカルが追いついて、アキラの腕を掴んだ。
「触わるなっ!」
だがアキラは、思いっきりその手を振り払った。
その反動でアキラの身体が壁にぶつかる。
アキラはそのまま壁にもたれてヒカルを見た。
「ボクに…ボクに触わるな。」
「塔矢…?」
「ボクに、触れるな。触わっちゃいけない。」
言葉を切って、ヒカルを見詰めた。
「キミが汚れる。」
「塔矢…?なに、言ってんだよ…?」
「触わっちゃいけない、キミが汚れる。ボクは…ボクは、汚いんだ。」
「何言ってんだよ?汚くなんかねーよ。」
「ボクに触わるな!追いかけるな!ボクなんかほっといてくれ!」
「塔矢!」
ヒカルの手が、アキラの手首を捕らえた。
その手を、アキラは振り払う。
「触わるなよっ!!」
アキラが悲愴な声で叫んだ。
「何だよ!?わかんねーよ、何が汚いんだよ!?」
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