無題 第3部 37


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アキラが目を見張って、ヒカルを見た。
「…言わない。」
「言ったよ」
「言わない。そんな事、言ってない。」
アキラは強引に言い張った。
「じゃあ、それじゃあ塔矢、オレの事、キライ…?」
アキラはうつむいて、首を振った。
「じゃあ、好き…?」
だがアキラはまた、今度はもっと強く、首を振った。
そうして、ヒカルを見上げて言った。
「ボクはこんなに汚れてるのに、キミを好きだなんて、言えるはずが無い。
ボクにはそんな資格、ないんだ。」
「資格ってなんだよ?
汚れてるって、どういう事だよ?
全部、全部キレイなヤツなんて、いないよ。」

「オレだって…オレだって、おまえの事、キレイな気持ちだけで好きだなんて、言えない。
おまえとアイツの事考えると、はらわた煮えくり返りそうになって、アイツの事、ぶん殴って
殺してやりたいって思ったよ。アイツと一緒にいるおまえを、おまえが何て言おうと、誰を
好きだろうと、ムリヤリでもオレのものにしたいと思ったよ。それも汚いのか?
おまえの事、無茶苦茶にしちまう想像だって、何度もしたよ。それも、汚いのか?
でも、そんなの、誰だってそうじゃないか?」
良いじゃないか?汚くたって。それが悪い事なのか?
ヒカルは、アキラにそう言ってやりたかった。



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