Kids are all right. 4
(4)
緒方が日焼け止めを取りに部屋から出ていくと、アキラは腕を大きく振り上げながら
部屋中をぐるぐるスキップし始めました。
可愛らしいおかっぱに切り揃えられたアキラの髪が、スキップする度に軽やかに揺れます。
突然、ふと思い出したように立ち止まると、アキラは家中に響き渡るような大きな声で言いました。
「おがたくぅんっ、おぼうしもかぶたっほうがいいよねぇっ!!ボクのおぼうしどこかなぁっ?」
そこへ緒方がくすくす笑いながら、日焼け止めと茶色の帽子を持って現れました。
アキラは驚いたような表情で緒方を見上げます。
「おがたくんはまほうつかいみたいだなぁ……。おがたくんはボクのかんがえてることみんな
わかっちゃうの?」
緒方はアキラの頭を軽くポンポンと撫でてやると、アキラの前に膝をつき、
日焼け止めのキャップを開けて中身をアキラの顔や腕や足に塗り始めました。
「みんなかどうかはわからないな。でも今日のアキラ君の格好に、この帽子が似合うだろうと
思ったんでね」
そう言って、ウインクして見せる緒方をアキラは「えへへ」と照れ笑いを浮かべながら
嬉しそうに見つめました。
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