怒りの少年王 4


(4)
「カーット!」
スタジオ内に声が響いた。
「OK、OK!良かったよ!塔矢君、それに緒方さんも。
いやあ、久しぶりだから、こっちもちょっと不安だったんだけどねえ。」
―ふっ、何を当たり前の事を言っているんだ。このオレが失敗などする筈がないだろう?
と内心では思いながら、「いえいえ、私も少し緊張しましたが…」等と当り障りのない答えを返した。そして、少年王の方を振り返って、言った。
「さあ、撮影も無事済んだ事だし、どうする、アキラくん。寿司でも食っていくか?」
オガタンがそう声をかけたにも関わらず、アキラ王はきょろきょろとあたりを見回している。
またレッドか。そう思ってオガタンはムッとした。
「どうしたんだ、アキラくん。誰か探してるのか?」
と皮肉っぽい声で言ってやった。
「いえっ!別に、レッドなんか探してるわけじゃありませんっ!」
ぷん、と拗ねたようにアキラ王が横を向いた。いつもならレッドの名を出されるとつい嫉妬に声を荒げてしまうオガタンだったが、なにぶん、今日は機嫌がいい。
「ハハ、進藤はきっと別のスタジオで撮影なんだろう。残念だったな、一緒じゃなくて。
さ、送っていくから、帰ろう。」
が、アキラ王はオガタンを小さく睨んで言った。
「何、言ってるんですか。ボクは馬で来たんだから、帰りもハマグリゴイシで帰りますよ。
緒方さんはお一人で愛車でお帰りになればいいでしょう?」
そう言われてしまうと返す言葉がない。
「いや、今朝は悪かったよ、アキラくん。オレも久しぶりだったものでつい…」
「いいんですよ。気になんかしてません。ボクはゆっくり遠乗りでもしながら帰りますから!」
そう言ってアキラ王はつん、と横を向いてスタスタと歩いてスタジオを出て行ってしまって、オガタンは一人そこに取り残されてしまった。
「ハハハ、振られちゃったねえ、緒方さん。どう、未成年もいない事だし、一杯行かない?」
このまま一人で帰るのもつまらないような気がして、オガタンはスタッフ達の誘いに承諾した。



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