無題 第3部 46
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「前にも一度、おまえが泊まった事あっただろ?
そん時もさ、オレ、こんな風におまえの寝顔見てた。
朝陽がゆらゆらあたって、キレイだなーって、見惚れてた。
あの時、オレ、おまえに触れたくて、しょーがなかった。
それなのに、オレがやっとの思いで手ェ出しかけた時に、おまえが目ェ覚ましちゃってさ」
それから、にやっと笑って、こう言った。
「あん時、オレ、初めておまえで抜いたな。」
アキラはきょとんとした顔でヒカルを見て、それから次の瞬間、真っ赤になった。
「ふっ、ふざけるなよ…っ!進藤っ!」
そんなアキラの反応を軽く受け流して、ヒカルは続けた。
「ふざけてなんかいねーよ。
やっぱり、こうして見てると、おまえってキレイだなー、って思う。
今も、おまえに触わりたくて、しょーがないよ、オレ。」
アキラはそう言われてなんと応えていいかわからず、けれど、アキラを見詰めるヒカルの顔から
目が離せなかった。
「だから…」
ヒカルの顔がアキラに近づいた。そして、
―キスしてもいい?
そんな囁きがアキラの耳に聞こえたような気がして、
それから、ヒカルの唇が、そっと、アキラの唇に触れた。
― 完 ―
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