無題 第3部 5


(5)
「進藤の事を考えていたんじゃないか?」
そう問われてその時は、そんな事、全然考えた事も無い、と思った。
アキラにとってはセックスとは緒方との間の事だけで、他の人との事など、考えた事もなかった。
けれどそう言われてしまって、今、その問いかけを思い起こすと、否応無しに彼の事が思い出された。

「耳まで真っ赤だぜ?」
そう言って、彼の言葉に赤面していたボクの耳に触れた。
触れられた耳の熱さが、身体の熱さが蘇ってくる。
軽く触れられた一点から体中に広がっていった、甘く痺れるようなあの感覚。
まるで、追いかけてきてくれと言わんばかりに逃げる彼を掴まえて、思いっきり抱きしめて、
服を引き剥いで、体中にキスをして、それから、それから…



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