怒りの少年王 5
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アキラ王が久しぶりに紙面に登場する雑誌の発売日が待ち遠しくて、城中、いや国中が浮かれた気分だった。
いつもならうんざりするような書類の山にも、アキラ王は機嫌よく目を通し、決裁を進めていった。そこに、明るい声が響いて、アキラ王は景色満面にその声の方を振り向いた。
「よお、アキラ、いるか!?」
元気な声を響かせて城に入ってきた少年を見て、オガタンは軽く眉を顰めた。
敬愛するアキラ王の寵愛を一身に受け、あまつさえ少年王の名を呼び捨てにするこの少年を、彼がこころよく思うはずが無かった。
「レッド!よく来てくれたね。嬉しいよ。早速あっちで…」
席を立ち、奥部屋へ行こうとしたアキラ王を、オガタンが引きとめた。
「怖れながら、我が王よ、王は未だ公務の残る身。お気持ちはわかりますが、いま少しこちらの書類に目をお通しになって…」
アキラ王は不満そうな顔でオガタンを、そしてまだ随分と残っている書類を見た。
そして、すがるような目で、レッドを見る。
「おいおい、アキラ、オレは待ってるからさ、ちゃんと仕事してからにしろよ。」
「レッド…」
「オレの為に王国の仕事なげた、なんて言われちゃいけないよ。
たいした時間じゃないだろ?待ってるからさ。」
「ああ、レッド、キミはなんて高潔で素晴らしい魂の持ち主なんだろう!」
アキラ王は思わずレッドに抱きついて、頬にキスした。
「そうだね。ボクもキミに不名誉な噂を許すわけには行かない。ボクが悪かったよ。
すぐに、仕事を済ませていくから、待ってておくれ。」
そう言って、アキラ王はくるりと向き直ると、目にもとまらない速さで書類の束をめくり、目を通し始めた。そして鋭い質問を矢継ぎ早に浴びせ掛ける。
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