少年王アキラ 誕生日 5
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「何……!? オガタンは、16からだって!」
ガバリと上半身を起こした少年王の乱れた服装を正してやりながら、座間はため息を
つく。
「あの人の冗談でしょ。オガタンは嘘と現実の狭間で生きてるんですから」
「オガタンめ……!」
少年王はおかっぱに切りそろえた髪の毛を振り乱して地団太を踏んだ。
オガタンの名前を唇に乗せるたび、座間の胸には甘酸っぱい何かがこみ上げてくる。
何よりもオガタンに向けられてしまった少年王の怒りを自分に向けて、そしてあの
お仕置きと目くるめく痛みを再び感じたい。
そんな期待と不安に唇を震わせながら、座間はハンケチを几帳面に畳んだ。
「まぁ、アキラ王ももうちょっとしっかりしてくださらないとねぇ」
アキラ王を怒らせるために嫌味な口調を心がけながらも、少年王の眦がきりきりと
吊り上るのを、座間はうっとりと見つめる。本当にこの王は怒りの表情が美しい。
いくら日記に書き記しても、その事実はいつでも座間にとって新鮮だった。
「法律だろうが、条例だろうがなんでもいい! ボクは改正を行う!」
だが、またしても可憐な執事の期待は外れることになる。
少年王は法の改正を声高に叫ぶと、かぼちゃパンツだかちょうちんブルマーだかを
ぷりぷり振りながらホールを出て行ってしまった。
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