怒りの少年王 6


(6)
「ふうっ…」
最後の書類にサインをし終わってアキラ王は小さな息をはく。そうして立ち上がって大きく伸びをした。そのしなやかな肢体に、そこにいた者全てが、賞賛のため息をついた。
だがアキラ王はその視線を軽く受け流して、レッドの待つ部屋へと向かった。
「お待たせ、レッド。」
声をかけながらアキラ王は奥部屋に入り、ベッドに転がって何かを見ていたレッドの頬に口付けした。
「何を見ていたんだい?」
「これ?おまえに見せようと思って持ってきたんだ。今週号のゲラ刷りだよ。」
アキラ王の目が輝く。何と言っても久しぶりの出演だったのだ。
「ありがとう、レッド、嬉しいよ…!」
そう言ってレッドの手から奪い取るように原稿をとり、彼の背にもたれて、原稿を読み始めた。
だが。
レッドは自分の背にもたれているアキラ王の背中が、小さく震えだしたのを感じて、振り返った。
「どうしたんだ?アキラ?」
「これは…これは、何だ…?」
「何って…おまえ、どうしたんだ…?」
明らかに何かに機嫌を損ねたような、いや、怒りをこらえているような様子のアキラ王を目にしてレッドは不審げに尋ねた。
だがレッドの声が聞こえていないのか、アキラ王はある頁をじっと見詰めた後、もう一度数頁前に戻って、原稿を見つめる。手が震え、こめかみに青筋が立っている。
「おい、何、怒ってんだよ…おまえ…」
「これは…一体どういう事だ…?なぜ、なぜボクの出番がこれしかないんだ…!」



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