Kids are all right. 8
(8)
そう言うと、女性は思い出したようにパンと手を叩き、緒方に向き直りました。
「そうそう!あの……、これから私ちょっと近くのスーパーで買い物を済ませ
たいんです。今日、特売日なんですよ。……それで、買い物に行っている間、
あの子のこと見ていていただけませんか?」
女性の申し出を緒方が快く承諾すると、彼女は噴水の方へ歩み寄り、
大きな声で子供を呼びました。
「ヒカル〜ッ!!ちょっとこっちにいらっしゃい!」
「ヒカル」と呼ばれた男の子は、噴水の中をバシャバシャと勢いよく
走ってきました。
見たところアキラと同い年くらいのその男の子は、裸で全身びしょ濡れのまま、
ひょいと噴水から飛び出ると、裸足のまま母親の元へと駆け寄りました。
「おかあさん、なーにぃ?」
母親が手渡した大きなタオルで乱雑に身体を拭きながら、大きな目をした
男の子は尋ねました。
「あのね、これからお母さんちょっとスーパーで買い物してくるから。
あそこにいる人に、ヒカルのこと見ててくださいねってお願いしたの。
お母さんがいない間に、危なっかしいことするんじゃないのよ!」
|