緒方の車中チェック 9
(9)
「たいしたもんだ…」
そう言って緒方がククッと笑う理由がアキラには判らなかった。
少なくともこれで大きな汚れを気にしないですむとアキラが安心しかけた
瞬間から緒方が腰を動かし始めた。
「はあっ…!」
最初はゆっくりと、こねまわすように、そしてやがて上下に突き入れるように。
「ああ、あ、あ、あ、あ、あ…」
身体が上下する度にアキラの黒髪も揺れた。
車も揺れた。
暗闇の公園の片隅で、フロントガラスの中で白い双丘が揺れた。
切れ切れの悲鳴が数度繰り返され、やがて静かになった。
狭い車内の中に煙草の残り香以外の獣の匂いが広がる中でアキラは
身体を繋げたまま緒方の胸に抱き着き体重を預けていた。
「…続きは…オレのマンションに来るか?」
アキラは緒方の胸で頷いた。
アキラは思った。
…緒方さん、車のあんなとこにコンドーム隠しているんだ…。
(終わり)
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