無題 第3部 9


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授業を受けている間も、アキラの事が頭を離れなかった。
アキラに嫌われたのかも知れないと思うと、不安でならなかった。
昨日も自分の対局が終わった時にはアキラは既に対局を終えて帰ってしまった後だった。
でも、こんな風に一人で考えていてもどうにもならない。
せめて、もう一度、会いたい。会って、話をしたい。
そして、なぜオレを避けるんだと問いたい。
どうして急にそんなに冷たい態度に変わってしまったのかと。
今日は多分、塔矢も学校に行っているはずだ。海王中に会いに行こう。
だけど制服のまま用事も無いのに別の中学に行くのはヘンかも知れない、と一瞬ヒカルは
ためらった。だが、いや、そんな事はない、と思い直した。
だがヒカルは、アキラが葉瀬中にヒカルに会いに何度か来た事があったのを思い出した。

そのたびに、オレは追い返してしまったり、逃げてしまったりしたけど、ホントはオレは
嬉しかったんだ。
あいつはそういうヤツだ。周りがどう思うとか、気にしたりしない。
いつだって痛いくらい真剣で、真っ直ぐに自分の目標に向かって進んで行く。
オレはアイツのそういう所が好きなんだ。
だから、オレだって周りの目なんか気にしない。オレがあいつを好きで、何が悪い?
男だからって、何だって言うんだ?そんなの関係ない。そうだ。好きなものは好きなんだ。

そうして意気込んで海王中へ行ってみたものの、既にアキラは帰った後だった。
さすがに囲碁の盛んな中学だけあってヒカルの顔を知っている生徒もいて、ヒカルは無理
矢理囲碁部の部室に連れて行かれてしまった。



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