怒りの少年王 9


(9)
なんとアキラ王は城一杯に響くような大声を上げて泣き出した。
「ああん、レッドなんてキライだぁ、レッドの意地悪ぅ…うあああん、」
「おい、アキラぁ、泣くなよぉ、そんなに…」
「ぐすん、ひっく…、だって、だって…ボク…」
「いい加減、泣きやめよ。おまえ、王さまだろ、国民が泣くぞ、アキラ王がこんな子供みたいに泣いてるなんて知ったら。」
「そんなこと、そんなこと、ないもんっ!ボクの民たちは…ひっく…」
「なぁ、泣くなよ、アキラ…オレが悪かったよ…」
アキラ王が涙いっぱいの目でレッドを見上げる。
その顔があんまり可愛らしいので、レッドはこぼれる涙を吸い取るようにアキラ王の目元にそっと口付けして、アキラ王の泣き濡れた黒い瞳を覗き込んだ。
「なあ、頼むから、泣き止んでくれよ。オレ、どうしたらいいかわかんなくなるじゃないか…」
「…レッド…」
「泣かないでくれよ、アキラ…」
そう言いながら、レッドはアキラ王をそっと優しく抱きしめた。
「なあ、アキラ、おまえ、ホントにオレの事、キライなのか…?」
レッドの胸の中で、アキラ王が小さく首を振った。その仕草があまりにもいじらしく可愛らしいので、レッドはアキラ王を抱く腕にぎゅっと力をこめた。
「気にすんなよ、そんな事。
それに…こんな事言うと、おまえは怒るかも知れないけどさ、オレはちょっと嬉しいんだ。」
なぜそんな事を言うのかと、不思議そうにアキラ王がレッドの顔を見上げた。
「だって…だってさ、オレはおまえを他のヤツになんか見せたくないんだ…」
「レッド…」
甘やかな空気が二人を包んで、唇と唇が触れそうに近づいた、その瞬間、



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