塔矢・ファミリー 1 - 3


(1)
母 「アキラさん、朝ご飯よ」

母 「アキラさん、ちゃんとお魚も残さず食べなさい」
父 「そうだぞ、アキラ。ちゃんとお魚を残さず食べないといけない。それが我が家のルールだ」
ア 「うん、分かったよお母さん。ボクちゃんとお魚残さず食べるよ」
母 「偉いわ、アキラさん」
父 「そうだ、偉いぞアキラ。それでこそ、この父の息子だ」
母 「アキラさんも、今日から6年生なのね、早いわね」
父 「そうだ、月日が経つのは得てして早く感じるものだ。特に、大人になるとな」
母 「アキラさん、今年こそプロ試験受けるんでしょう?」
父 「そうだな。プロ試験を受けないと、プロになれないんだ、アキラ。それが、囲碁界のルールと言うものだ」
ア 「嫌だよ、僕はまだプロ試験は受けないよ」
母 「まあ!何て事を言うの?アキラさん。いけません、受けなさい」
父 「そうだぞ、アキラ。お母さんが怒っている。お母さんを怒らすなんて、悪い子のする事だ。それが、我が家のルールだ」
ア 「嫌だよ、僕まだ何かが足りないんだよ、受けないよ」


(2)
夫婦の布団の中。

母 「どうしたのかしら、アキラさん。まさか今更プロ試験を受けないなんて」
父 「男の子というのは、得てして母親に反発してみたくなるものだ」
母 「そうね、きっと反抗期ね。アキラさんも大人になったのね」
父 「そうだ、アキラも大人になった。もう12歳だからな。だがまだまだ子供っぽいところもあるな」
母 「まあ、それはこう言うトコロとかかしら?アナタ」
父 「アッ…、いけないな、アキラの母親がこんなことをしては…」
母 「アン、アナタだって…アキラさんの父親がこんなにしちゃってるじゃない?」
父 「そうだな、だがそれは我々が大人だからだ。だからもっといいじゃないか?ハハハ」
母 「あっ…ダメッ…ああ、ん、ダメよ、アキラが起きちゃうわ…フフフ」
父 「ハハハハハ」
母 「フフフフフ」
ア 「何しているの?お父さん、お母さん」
父 「ゲッ!あ、アキラ…!?」
母 「アキラ…子供は早く寝なさい!」


(3)
ア 「だって、お母さん達の声で起きちゃったんだよう。ねえ、何してるの?」
父 「アキラは知らなくていいんだ。それが子供ってものだ」
母 「そうよ、アキラさん。子供は知らなくてもいいの。そう言う事が世の中にもあるの」
ア 「やだよー、ボクも知りたいよ。ボクだけ仲間はずれなんて、ズルイよ」
父 「ワガママ言うんじゃない!クソガキャー!」
母 「そうよ!聞き分けの無い子は火をつけるわよ!」
ア 「うえーん!お父さんとお母さん、怖いよー!えーん、えーん」
父 「アキラ…今のはウィットにとんだジョークだ」
母 「そうよ、アキラさん。今のは面白い冗談よ。笑うところなのよ」
ア 「そうだったの?じゃあボク笑うよ。アハハハハハハハハ」
父 「ワハハハハハハハハハ」
母 「オホホホホホホホホホホ」

ア 「緒方さんや芦原さんに聞けば、何か分かるかなあ?」
父 「それだけは止めなさい、アキラ」

…終わる



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