不死身の少年王 1 - 5


(1)
「こんな事…楽しいんですか…?」
アキラの黒い瞳が冷たく、オレを見返した。
その瞳には以前の情熱の欠片も見られない。
ただ、残酷なまでに冷ややかな視線でオレを見ていた。
それなのに、オレはその目にゾクゾクする。
オレがおまえを殺すんじゃない。おまえがオレを殺すんだ。
その、冷たい瞳で。オレに突き刺さるように冷たく光る、その瞳で。
その瞳の光を、オレが今、消そうとしているのか。
オレはアキラの首を抑えた手に力を込めた。
「くっ…」
苦しそうな声が漏れる。
「あ…なたが、こんな、ひとだった、なんて…」
アキラの白い細い喉にオレの手が食い込む。
「…望む、なら、そう、すれば…いい。一度は…」
やめろ。言うな。それ以上言うな。
「一度は…愛した、あなた、だから…」
―アキラ!
オレは声に出さずに大きく彼の名を呼んだ。
アキラ、アキラ、アキラ…

オレは…、オレは、なんて事をしてしまったんだ。オレの、アキラ。
オレの眼下に、アキラの白い裸体が横たわっていた。


(2)
「……ふうっ!」
絞殺されたはずのアキラ王が、むっくりと起き上がった。
「首に痕がついちゃったじゃないか。まったくもう!ボクの白い肌が……レッドに見られたら、
なんて言おう……」
アキラ王は文句を言いながら、首を左右にコキコキ捻り始めた。
その姿を、556は呆然として見つめていた。
予期せぬ事態に顔はすっかり青ざめ、全身が(((((;゚Д゚)))))ガクガクブルブル激しく震えていた。

アキラ王は556を一瞥すると、ゆっくりと立ち上がった。
額に浮かんだ汗を手の甲で拭いながら、慌てて駆けつけた可憐な執事・座間を睨みつけた。
「遅いっ!それでも執事かっ!?恥を知れっ!!」
座間は一糸纏わぬアキラ王の肩にマントをかけると、激しく叱咤する王の足元に跪き、
深々と頭を垂れた。
「……も…申し訳ございません、アキラ王。執事座間、一生の不覚にございます……」
「556の公開処刑を行うぞ。異存はあるまいな?この者を引っ捕らえて処刑場へ連行しろ!」
座間が驚いて顔を上げると、そこにはアキラ王の股間があった。
アキラ王は、頬を染める座間に動じることなく平然と仁王立ちしていた。


(3)
座間は軽く咳払いすると、伏し目がちに口を開いた。
「公開処刑でございますか?……ということは、アキラ王……アレを用意せよと仰せで?」
「そうだ。ボクはシャワーを浴びてくる。それまでにコスチュームと道具を用意しておけ。
道具はオガタンにチューンアップさせておけよ。フフ……この不心得者は、ボクが直々に
冥土へ送ってやろう」
「ははっ!王の仰せのままに……」
アキラ王は冷ややかな笑みを浮かべて頷くと、マントを翻し、その場から去っていった。

公開処刑場には大勢の民が集まり、刑の執行を今や遅しと待ち侘びていた。
「公開処刑とくりゃ、アレだよな?」
「そうだよ、アレだ!アキラ王のアレはハンパじゃなくセクスィーだってもっぱらの噂だぜ!
オレは今日初めて見るんだ。もう興奮しまくりさハァハァハァハァ(;´Д`)」
「そうそう滅多に拝めるモンじゃねェ!目玉かっぽじって、よォく見ておかねェとなハァハァ(*´Д`*)」
民の期待が集まる中、アキラ王が颯爽と現れた。
「キタ━━━━━━━━.(゚∀゚)━━━━━━━━ !!!!」
民の歓喜の声が処刑場にこだました。


(4)
アキラ王は、何故かセーラー服姿だった。
その手には機関銃を携えていた。
「この『M3A1』を使うのも久々だな……フフ、腕が鳴る」
舌舐めずりしながら、アキラ王はさも嬉しそうに呟いた。
壁を背に立つ556を見据えるその瞳は、獰猛な肉食獣のそれだった。

「死ぬ前に何か言いたいことはあるか、556?」
機関銃を構え556に照準を合わせると、アキラ王は尋ねた。
556は待ち受ける死の恐怖に失禁しながらも、なんとか声を絞り出した。
「アキラ……オマエを愛していた……。いや違う。今も、そしてこれからも、オレは未来永劫
オマエだけを愛し続けて……それなのに……」
「これからも?未来永劫?ボクは予言者じゃない。未来に何が起こるかなんて、わかるとでも
思っているのか?そんな戯言に付き合う気はない」
抑揚のない低い声でそう言い放つと、アキラ王は静かにトリガーを引いた。
「サヨナラ……ボクの556」
小声で呟いたアキラ王の口元を切なげに見つめていた556は、断末魔の叫びを残し、無残にも
その場に崩れ落ちた。
「……カ・イ・カ・ン……」
飛び散った薬莢が顔を掠めていたのだろう。
頬にうっすらと血を滲ませるアキラ王は、うっすらと笑みを浮かべ、「ふうっ」と熱い溜息をついた。


(5)
「……アキラ王、オ、オレも殺してくれハァハァハァハァ(;´Д`)!」
「い、いや…まず、その格好のまま満員電車痴漢プレイを……ハァハァハァハァ(*´Д`*)。
その後なら、アキラ王の『カイカン』のためにこの身を捧げるぜ!!」
「ダメだッ!とにかくセーラー服デリヘルだハァハァハァハァハァハァハァハァ!!」
酸欠寸前の民の声など、快感の余韻に浸る恍惚状態のアキラ王の耳に届くはずもなかった。

「…アキラ王……私の最期も是非それで…ハァハァハァハァ(;´Д`)」
蜂の巣となった556の遺体を淡々と処理しながら、座間はあらぬ妄想に身を捩り、
でっぷりとついた下腹の肉を可憐にプルンと震わせるのだった。

      
  -了-



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