<とまどい>
「はぁ…」
帰り道、部活サボっちゃった。
今日はお母さん遅くなるって言ってたから…
部活ないと時間が余って。
だからといって買い物とか、行くのも…
「あ、あれ?」
気がつくとここは、どこ?
公園の前に着ていた。
きょろきょろと周りを見ると学校の近くの公園だと気づいた。
一人だとぼーっとしちゃうんだよね。
どうせひまだし。
ブランコに座った。
ベンチにしようと思ったけど、先客がいたからあきらめた。
先輩、受け取ってくれたけど迷惑じゃなかったかな?
なんか強引に渡した気がするし…
どうも、変なんだよね?
変なんだけど…なんだろ?
うーん…
なんだろう、先輩に対してなんか変なんだよね。
いくらお菓子をまたっていわれたからって、次の日に作ってくるなんて…
変な自分…
「ゆかさん。どうしました?こんなところで。」
「えっ?」
ほぇ?!
いきなり自分の名前を呼ばれたから、慌てて顔をあげて声の方を見た。
だ、誰?
屈みがちにこちらを見ているのは…最近見なれてきたブロンズ…
グ、グスタフ先輩!!
「ええっ?あ、あの…」
な、何でこんなところに?!
先輩は部活中じゃないの?
たちまちよくわからない顔が熱くなってくる。
パニックに陥りそうなあたしに先輩はやさしく声をかけてくれる。
「この時間に公園で一人でいるのは危ないですよ。考え事でもしていたのですか?」
「えっ?は、はい…。あ、もうこんなに暗い…」
よく周りを見るとすっかり薄暗い。
はぁぁぁ・・・
また、やってしまった。
先輩は部活を終わっての帰り道なんだ。
「どうしたんですか?」
「えっ?い、いえ…」
まさか考え事していて暗くなってたの気づきませんでしたとは言えない…
しかも、変な事(お菓子とか)考えてたなんて…
言えるわけない…
「とにかく、そろそろ帰った方がいいのではないですか?もう時間も遅いですし。」
…確かに。
お母さんも帰ってきているだろうし…
ブランコから降りてかばんを持った。
えっとここからだとバス停は…
「送りますよ。バス停まで出いいですか?」
えっ?!
思わず先輩の顔を見てしまった。
あう、あう・・・
ど、どうすれば…
「あ、いいです。す、すぐそこですから。」
バス停の方向を指差す。
「もう暗いですから、一人では危ないですよ。この近くのバス停も暗いですから。」
はう…そう言われると…確かに暗くなってきているし…
なにか言おうと頭をフル回転させているのだけど…
いい言葉が出てこない…
「あんなおいしいものをごちそうしてもらったお礼です。」
指を立て、いたずらっぽく笑う先輩。
始めてみる…いつも穏やかな笑顔だったから…
ほぇ・・・・っとしてしまった。
…はうっ
「い、いえ。そんな…」
なんとか言ったのだけど…
「いきますよ。」
先輩はバス停の方に向って歩き始めてた。
あう…
しかたなく先輩の後についていった。
下を向いたまま。