Intel |
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Intel社の送り出した80486シリーズの後継CPU。
第1世代Pentium(P5)は60〜66MHzでSocket4。
Pentium75からSocket5に。このPentium(P54C)が一般的なタイプ(クラシックPentiumとも呼ばれる)で75MHzから200MHzまで。Socket7にも刺さる。
Pentiumにマルチメディア系の命令(MMX)を加えて、内蔵キャッシュの容量を大きくしたのがPentiumMMX(P55C)。動作クロックは166MHz〜266MHzまで(ノート用には120,133MHzもある)。
インテルはSocket7規格CPUを266MHzで打ち止めにし、Slot-1(PentiumII)への移行を促した。
良くも悪くも基準となるようなCPU。 |
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Pentium-133 |
PentiumMMX-166 |
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AMD |
| 486時代はコピーメーカー(合法的な)であったが、586時代になってIntel社との訴訟等もあり、独自設計のCPUAm5k86シリーズを投入してきた。後にAMD-K5に改名。
K5はRISC風の内部コードを用いることで、同クロックのPentiumよりも速度が出せる。反面、クロックを上げにくいという欠点があった。
初期のK5-PR75,PR90,PR100はモデル名が実クロック(75=50x1.5,90=60x1.5,100=66x1.5)であったが、PR120,PR133,PR166はそれぞれ60x1.5=90,66x1.5=100,66x1.75=116で動作する。モデル名のPentiumと同等の速度(P-Rate)を誇るのが売り。
K5のクロックアップが難しかったからか、AMDは合併したNexGen社のNx686をベースにK5の後継として開発を進めたのがK6である。K6はMMX命令も搭載し、200,233,266,300MHzとラインアップされた。なお、K6より実クロックがモデル名となるように戻った。
K6に3DNow!を搭載する等の改良型がK6-2。後期にはベースクロック100MHzに対応することにより、266,300,333,350,375,400,450,475,500,533,550MHzと様々なバリエーションが派生。
K6-2に256KbytesのL2キャッシュをオンチップで組み込み、さらにマザーボード上のキャッシュをTriLevelキャッシュと利用できる等のパワーアップを図ったのがK6-IIIである。こちらは歩留まりを上げるのが困難であったようで、400,450MHzしかリリースされていない。このK6-IIIのパワーは強烈であり、順調にクロックアップされ市場に投入されなかったのは残念である。
なお、K6-2、K6-IIIの後継としてSocket7(Super7)仕様のCPUにK6-2+,K6-2E+,K6-III+,K-6IIIE+等の製品が投入されたが、発売時期があまりにも遅くて、市場に影響を及ぼすまでにはいたらなかった。 |
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K5-PR90 |
K5-PR133 |
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K6-300 |
K6-2-333 |
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Cyrix |
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古くからのPCユーザーであればAMDより馴染みのあるメーカーかも。80386を486相当にする互換CPUを、80486には5x86という586相当の互換CPUを投入してきた(内部処理で上位CPU相当ということで、処理能力そのものは同クロックの上位CPUよりは当然、劣っている)。
そのCyrixが586時代に投入してきたのが6x86である。100,110,120,133MHzとラインナップされてきたが、同クロックのPentiumより速いとのことでP-Rateで型番が付けられた。それぞれ120,133,150,166とされた。
6x86は発熱が猛烈であったためコアとI/Oの電圧を変えた(デュアルボルテージ)低電圧版が6x86Lである。さらにMMX命令を組み込んだ6x86MXが投入された。
IntelのPentium-II/III、AMDのK-6-2/IIIに対抗すべく投入されたのがMIIであった。MII-300から433までラインナップされていた。6x86MXの動作クロックが上がっただけとの噂もあるが、詳細は不明。
CyrixのCPUはクロックが上げにくい構造であったため、IntelやAMDに対して苦戦を強いられ、変則的なクロックであり、一般ユーザーでは使い難かったと思われる。MII-400では外部クロック95Hz×3倍→285MHzという普通のM/Bでは作り出せないような動作クロックとなってしまていた。MII最後のモデルはMII-433であったと記憶しているが、どのような動作クロックであったのだろうか?
CyrixのCPUはCyrixバースト(正確にはLinear Burst:リニアバースト)と呼ばれるメモリの転送モードを使用する事により、その性能をフルに引き出せると言われていた。
余談。
FIC-2011に6x86LをリニアバーストONで使用していたが、MIIに置き換えたところ、起動しなくなってしまった。M/Bの電圧や倍率の設定は間違い無し。どこに問題があるのだろうかと悩み、念の為にリニアバーストをOFF(Intelモード)にしたところ、無事に起動した。MIIから仕様が変わっていたのだろうか?
Cyrix社はNational Semiconductor社に吸収合併(1997)され、後にVIA社に売却(1999)されてしまった。VIA社はIDT社のWinchip部門も手に入れて、CyrixとWinchipの2つのCPU開発部門を持つ事になった。当初、Cyrixチームが開発中であったMIIの後継CPU・MIIIをScket370対応で発売する予定であったが、開発に手間取り(クロックが上がらなかったとの噂)、その次の予定であったWinchipチームの開発CPUを急遽VIA-CyrixIIIとして投入することになった(後にC3と改名)。
VIA社では旧WinchipチームだけがCPU開発に携わっていて、噂ではCyrixチームは解散されてしまったらしい。一世を風靡したCyrixCPUはMIIを最後に歴史の中に消えていってしまった。 |
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6x86L-PR200+GP |
6x86MX-PR266 |
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MII-300GP |
MII-400GP |
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IDT |
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Intel・AMD・Cyrixが激しく市場争いをしている時、突如、CPU市場に登場したのがIDT社のWinchipであった。
Winchipは他社のCPUが複雑化して高性能を志向したのに対して全く逆の発想で開発されている。構造をシンプルにすることにより安く市場へ供給し、性能の低さはクロックの高さでカバーするという手法であった。それゆえ、AMD・Cyrixが同クロックのPentiumより高パワーであったのに対して、Winchipは同クロックのPentiumよりも明らかに劣っているというCPUであった。
最初のWinchip はC6と呼ばれ、180,200,240MHzとラインナップされた。最速は240MHzであったが実売価格は66×3の200MHz版が一番、高かったように記憶している。オーバークロック耐性が低く、私のC6-240は66MHz×4の266MHzでは起動しなかった。
遅い遅いと言われたWinchipはベンチマークを取ると、最速の240ですらPentium133程度と言われていた。しかし、実際の使用感ではそこまで遅くはなくて、Pentium166以上には感じられた。
Winchipの評判が芳しくなかったため、IDT社は新たにWinchip2を投入してきた。ラインナップは200,225,240である。WInchip2においてクロック相当のパワーを発揮するようになった。
後にIDTはWinchip2の型番末尾に"A"が付く後期型を発表した。200,233,266とラインナップされた。この266は実クロックではなく100MHz×2.33の233MHz版をP-Rateで呼んだモデルである。
Winchipの目指した低価格でのエントリー市場制覇は失敗に終わり、IDT社はWinchip部門をVIA社に売却することになった(WinchipはVIAにおいてCyrixIII・C3として生き永らえている)。
結果としてSocket7でのWinchipは失敗であったと言えるが、その素直な性質から古いPC(特にNECのPC-9821)のCPU置き換えには重宝された。Socket5のシングルボルテージのM/Bに刺すだけで、MMXが使える200MHz相当のマシンに早変わりしたのだ。未だにネットオークションでは高値で取り引きされていて、Winchipが果たした役割が決して小さくはなかったことが分かる。 |
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Winchip C6-240 |
Winchip2-225 |
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Winchip2A-200 |
Winchip2A-266 |
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