『LUCKY DAY』 翌日。 「あら、ルパン。随分顔がぼこぼこね。ボクシングジムにでも、通いだしたの?」 「あはは、よっぽどボクシングの方がマシよ?なんせ、止めてくれる審判がいるからなぁ」 そういって、恨めしげに次元の方をみるが、次元は別の方向を見ていた。 「・・?朝、一番早起きの五右エ門が、朝ご飯に遅れるなんて珍しいわね」 「俺、ちょっと見てくるわ」 次元は、言うよりさきに席を立つと、すぐさまドアを開けて走って行った。その様子をトーストにバターを塗りながら、ルパンはに見てると、すねたように言い捨てた。 「けっ、ちょぉと手出しただけなのに、あんなにキレやがって・・」 「え?ルパン。何か言った?」 「別に、何でもねぇよ」 ルパンはそういうと、本物の不二子の頬にチュッとキスをした。 一方五右エ門の部屋では・・・ コンコン 「五右エ門」 返事ナシ。次元は、ふぅっとため息をつくと、もう一度ノックをしてみる。 「開いている・・」 返ってきた返事に、次元は少々ホッとした。もし、入れてくれなかったどうしようかと思っていたからだ。 「じゃ、入るゼ」 中に入ると、五右エ門は濡れた髪をわしわしとタオルで拭いていた。 「・・あぁ、シャワー浴びてたから朝食に遅れたのか・・」 五右エ門は無言だった。次元は少々じれったく思いながらも、自分を落ち着かせ、五右エ門の隣に座る。 「昨日は・・悪かった。ルパンを狙っていたとはいえ・・結果的にお前にあてちまった。・・スマン」 しかし、相変わらず五右エ門は何も言わない。その様子に、次元はとうとう自分を抑えきれなくなった。 「なぁ、何か言えよ・・!!」 声を上げてそういうと、やっと五右エ門は次元の方を見た。しかし、両方の目は悲しみに彩られて、次元は自分が思ってる以上に五右エ門を傷つけてしまったのではないかと罪悪感を覚える。 「次元・・」 「ん、ん?」 やっと呼んでくれた名前にも、憂いがこめられていて、いよいよ次元は不安の塊が胸の内に出来るのを感じた。 「・・とれないんだ」 「な、何が?」 「この匂いだよ・・」 次元はよくわからなそうな顔をしながらも、くんっ、匂いを嗅いでみる。すると、甘い香りが次元の鼻をくすぐった。そして、その匂いがいつも不二子がつけている香水だということに気付くと、今朝聞いた話を思い出す。 「あぁ、昨日不二子とぶつかったときに、かぶっちまったっていう香水の匂いか」 五右エ門は、静かにうなずくと、そのまま呟くように言った。 「大分匂いはとれたのだが・・、どうも落ち着かない。だいたい、男がこのような匂いを漂わせているなんて・・気持ち悪いだろう・・?」 それで元気がなかったのか。 次元はホッとすると、うつむいている五右エ門の背中をポンポンと叩いた。 「そーか?最近は男でも香水つけてるじゃねぇか」 「でも・・!!」 「そーだな。俺も別の意味で気にいらねぇ」 不思議そうにしている五右エ門をよそに、次元はポケットからタバコをとりだすと火を付ける。そして、一気に煙を吐き出した。 「だってよ、お前を取り巻いてる匂いってのが、俺じゃない奴の匂いなんだぜ?そりゃ、気にくわねぇーよ」 五右エ門は言われた意味を理解すると、耳怩ナ真っ赤にして立ち上がった。そして、次元から離れようと斬鉄剣を持ち、去ろうとした瞬間、先に次元に手首をつかまれ結局、次元に抱きすくめられるという形になる。 「はいはい。暴れないの。タバコの灰、かかっちゃうだろ?」 「〜〜〜〜なら、吸わなければいいだろ!!」 「やだ」 楽しげに次元はくくっと喉で笑うと笑うと、五右エ門の顔を見た。五右|ク門はまだ、顔を赤くしながら、むぅっとしている。 「なぁ、五右エ門?」 「何だっ」 「今日一日ずっと俺の側λいろ」 「はぁ!?」 呆れたように五右エ門は次元を見上げると、次元はのほほんと煙草を吹かしながら言った。 「ん−、一日側にいりゃ、匂いぐらいうつるだろ。」 「御主という奴は・・」 「イヤか?」 「・・そういう聞き方はズルイ」 この日、一番幸せだったのは誰なんだろうね? 終 |
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はい。一応、終わりました。 ちなみに、皆様は気付きました? ルパンは、本当は抱きしめた時点で不二子じゃないって気付いてたんです。そりゃーそーですよね。いくらなんでも、遊ばれた女は星の数(ひでぇ・・)のルパンが男と女を間違えるハズがない。だいたい胸がない時点でわかるって。 ま、ルパンとしては、ほんのイタズラ心でやったんでしょう。それが、次元にもジョークで伝わるかなぁって(長年の相棒だしね)思ってたんだけど、無理だったと。で、結果手加減もされずボコボコ。 |
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