俺の名前は相田ケンスケ。
中学二年生、14歳だ。
ま、どうせオレの自己紹介なんて誰も
聞きたくないだろうけどな。へっ(自嘲気味)
そうだよ、どうせ女の子にモテた事なんて一度もないさ。
パラレルの世界の別の俺は「霧島マナ」って女と
良い感じみたいだけどな。(yrzさんごめんなさい)
そんな別世界の俺をうらやむ俺に信じられない事が起こった。
青天の霹靂ってこういう事を言うんだろうか?
それは、俺にとって今まで経験した事のない出来事だった。
ある日、靴箱を開けると1枚の紙が入っていた。
「なんだこれ?」
紙を開いてみるとそこには
―放課後、裏庭で待っています―
とだけ書かれていた。
「写真の依頼かなにかかな…?」
そう思いたいして気にもとめずポケットにその紙をしまいこんだ。
放課後になり俺は指定の場所へ足を運んだ。
そこに待っていたのは俺より少し背の高い
華奢な感じの人だった。
「あ、手紙くれたよね? なんの用かな?」
俺がそう尋ねるとしばらく黙ったまま
言いにくそうな感じで口をもごもごさせていた。
―なんの用なんだ…? ―
一向に口を開かない相手を目の前に俺は
やきもきしていた。
するとしばらくして意を決したように口を開いた。
「あ、あの! …つ、付き合ってくれない?」
「…へ? 何処に…?」
「……」
「……」
「……」
「……」
「いや、だから、付き合ってもらえないかって…」
「だから何処に……え? …え? それって…」
目の前の相手は頬を紅潮させてうつむいた。
―な、なんだこれは!? 冗談なのか? ―
ど…ドッキリか!? ドッキリなのか!?
いや、むしろ政府か? 政府の仕業なのか!?
俺はかなり錯乱した。
なんだって俺に、いきなりこんな夢のようなことが!?
「あの…ダメ…なのかな?」
「い、いや、ダメって言うか…」
―これは罠か!? 罠なのか? ―
「あ、もしかしてあれ? 罰ゲームか何か?」
「罰ゲーム…?」
目の前の相手は怪訝そうに首をかしげた。
「だから、賭けに負けてそれで俺に…」
「ち、ちがう! そんなんじゃ…」
目を潤ませ、必死に叫ぶ姿を見ると
これは罠なんかじゃなく、本気なんだろうか…?
「誰か、好きな人でも…?」
「あ、いや、好きな人とかそんなんじゃなくて、なんで俺なの?」
「なんでって言われても、好きになったから…」
困った。ものすごく困った。
罠でもなければ罰ゲームでもない。
真剣に俺を好きだという人が目の前にいる。
どうしたら良いんだ…。
今までこんな経験をした事がないから
どう対応して良いのかさっぱりわからない。
シンジや渚ならこんな事もあるんだろうな。
あいつらはどう対応しているんだろうか。
「相田君…答えてもらえないのかな…」
「え、ちょっと待ってよ、だって…」
「ダメならダメではっきり言ってくれないと…いつまでも忘れられないから」
今にも泣き出しそうな相手を目の前にして
はっきり言わなくては男じゃないよな…。
「わかった。じゃあはっきり言うけど…ごめん、付き合えない」
「!? どうして!! どうして!?」
「ごめん! 本当に悪いけど、付き合えないんだ…」
「……」
「……」
「じゃあ、俺、帰るから」
「まって!」
俺が背を向けた瞬間後ろから叫んだ。
「…忘れるから、だから…だから一度だけ…キスして欲しい…」
―キッ、キス!? ―
「だっ、ダメだよ。そんな事出来ないよ!」
「お願い! 一度で良いから!!」
目を潤ませながら俺の前にどんどん顔を近づけてくる。
「まずいって! ほんとに!! ダメだよ!!」
「どうして!? そんなに嫌いなの!?」
「嫌いとか以前に…だって…」
「きみ、男じゃないか!!」
「男だから? 男だからダメなの??」
「俺は女の子が好きなんだ〜〜〜〜!!!」
そこから先は良く覚えていないが
必死で振り払って逃げてきたような気がする。
どうしてはじめて告白された相手が男なんだ…。
俺に普通の幸せは訪れないのか〜〜〜〜〜〜〜!!!! (涙)
もう最高。これ大好き。
ケンスケの不幸シリーズは私の心のオアシスです。ああ、イヤされる(´▽`)