『……さて、はじめましょうか……』
『あの子の覚醒も終わった…。これでわたしは自由になる』
『わたしを慕う子らのためにも、これ以上彼らの好きにはさせられない』
『全てはあの子の心のままに』
『…わたしは目覚める』


微笑(ほほえみ)の中で』

作:SHOWさん


  六話    『真なる目覚め』


「………で? どういうことかしら? 説明してくれる?」
「姉さんの自慢の黒髪が………」
「…………カヲル……死にたいの?」
「お兄ちゃんなんて大っ嫌い!!!」
 ……これが私が目を覚ましたときの状況。目の前には汗だくになって言い訳をするカヲルの姿があった。
「……ボ…ボクのせいじゃないよ!! ちょっと! リツコさん!? その手に在る注射器は何?!」
「……皆? ……おはよう」
「レンちゃん!! 起きたの? 大丈夫かしら? 身体痛いところとか無い?」
 相変わらず心配性のリツコさん……。でもどうしてこんなに慌ててるのかな?
「大丈夫ですけど……どうしたんですか? そんなに慌てて…」
「姉さん! そんな髪してたら慌てるわよ!」
 ……なるほど。この姿を見て今の状況になったのね。
「今から説明するわ。先に言っておくけど、カヲルは関係ないからね。この姿は私の本当の姿。私は数年前の実験のせいで遺伝子が一部書き換えられたの。その証がこの髪と眼。ま、一種の後遺症って所かな? 今までの姿は細胞が勝手に創っていた姿よ。
 私は昨日まである種の記憶喪失だったの。細胞がそれを隠すために姿を創ったの。その実験はカヲルとは全く関係の無いところであったものよ。だからカヲルを責めないでね。それと、この姿に急に戻ったのは記憶が戻ったから。その辺の原理はわかんないけどね。」
「………その実験って何? 姉さん…まさかとは思うけど…」
「……ミナのせいじゃないわよ。……隠せるとは思わないから教えてあげる。お母さんを取り戻すための実験。『器』を創ろうとしたのよ、父さんはね。ま、失敗したんだけどね」
「……噂で、姉さんが私が受けるはずだった実験を全て受けたって……」
「……碇司令が? レンを危険な目に合わせた……? …………何だか気分が悪い」
「許せない!! お姉ちゃんをそんな目にあわせたの!!!」
 あ、何だか皆いっぺんに怒り出しちゃった………。
「三人とも今は止めなさい。レンちゃんの目の前よ。………レンちゃん、こういうこと言うのは心苦しいんだけど、起動実験入れたいんだけど…」
「分かってます。遺伝子の書き換えがあって、髪や瞳が戻ったように、遺伝子も戻ったと考えた方が良いですもんね。いつでもどうぞ」
「ありがとう。………ごめんなさいね。すぐに準備するわ」
「お願いします」


『レンちゃん、始めるわ。いいかしら?』
「いつでもどーぞ!」
 アレからほんの一時間で機動実験開始。リツコさんは参号機と零号機の起動実験もあるから大変なのにね。
『回線開きます』
『A10神経接続』
 プラグに光がともる。……………!? 何?! この感覚?! 何時もと違う!!!
「リツコさん!! 変な感じがする!!」
『何ですって?! 実験中止! 電源を落として!』
『…!! ダメです! 初号機、信号を受信しません!!』
『……?! シンクロ率増大……いえ、減少…? …安定しません!!!』
 クッ!! 何この感覚?! まずい…! 引き込まれる!!!
『レンちゃん!!』

「…………ここは…何処?」
「……始めまして、碇レン。私の魂の半身」
 真っ暗な空間の中で、私に何かが話し掛けてくる。
「あなたは誰? 私の事を知ってるの?」
「ええ。知ってるわ。……このままじゃ話しにくいわね……」
 そう言うと、あたりに光がともる…………ここは…喫茶店?
「よいしょっと……うん。こんなもんかな」
 目の前には紫紺の髪と瞳をした女の子。私と同じ位の年齢に見えるけど……。
「改めて、始めまして、碇レン」
「あ、どうも。始めまして……」
 ………何挨拶返してんだろ…私。
「さて、1から説明するわね。ここは何処か。ここはエヴァの中。一種の精神世界よ。私は誰か。私はあなたの魂の半身、エヴァ初号機の本当の所有者、アダムよ」
「は? ………アダム? ……女の子…よね?」
「クスクス……わたしが男の子に見えるかしら?」
「……見えませんね。って言うか、私にそっくりなんですけど…」
 そう。このアダム……私にそっくりなのよね。髪と瞳の色を除けばだけど。
「そうよ。なんたってあなたの半身なんですもの。ま、自己紹介はこれくらいね。今日は世間話をするために呼んだんじゃ無いから」
「……やっぱりあなたが呼んだの?」
「ええ。あなたに頼みたい事があって……。先ずはこの人を呼んでからね」
 そう言うと、アダムは自分の胸に手を当てて、その手を横に向ける。すると………………人? ……非現実的ね。ま、ここにいること自体が非現実的なんだけど。
 そうこうする間に、アダムの隣に、若い女の人が現れる。
「…………誰?」
「そんな事言うと悲しむよ。自分の母親の顔も見忘れたの?」
「………お母さん?」
「久しぶり……レン。御免なさい、一人にしてしまって」
 ……実感が湧かない。顔も忘れていたお母さん。そのお母さんが目の前にいる……。なぜ……
「碇ユイ……私の足枷。頼みというのはこの事。ユイを外に連れ出してもらいたいの。足枷を外してもらいたいの」
「……あの。今一飲み込めないんだけど」
「ユイは人が私を扱えるようにするために、私の中に溶け込んできた。でも、私にとってそれは異物でしかないの。初号機が純粋なアダムのコピーという事は知ってる? 他の機体は素体は同じ。でも、私が宿ったのはこの初号機だけなの。リリスを見れば分かるよね? 体は創れても魂は創れない。だからこの機体はある意味使徒なの。
 だから、この殻の中では人の意思は不純物なの。それは足枷となって私を縛るの。それを取ってもらいたい。覚醒を果たした貴方なら出来るわ。こうして私と話せるんだから」
「ちょ…ちょっと待って! そうしたらエヴァは動かないんじゃ…」
「他のエヴァはね。でも私は…初号機はそうする事によって本来の姿に戻るの。そして、その初号機を操れるのは貴方だけ。……悪い話じゃないと思うけど」
「レン……私からもお願い。……でも、その姿は何? 前乗ったときは黒髪だったわよね?」
「ユイ、そんな事は現実空間に帰ってからやって。………どう、レン」
「いいけど、私は何をすればいいの?」
「これからユイと一緒に帰ってもらうの。あ、もう一人忘れてた。ま、いいわ。こっちで何とかするから。そして、今後初号機には貴方以外乗らないようにして。危険だから。後は………今後は私が貴方のサポートにまわるわ。それも現実空間に帰ってからね」
「……どうやって帰るの? ここに来たのも気がついたらって状況なのに…」
「わたしが送るわ。そのときにユイを連れて帰って欲しいの。いいかな?」
「……分かったわ」
 ……正直、お母さんが出てきてからこっち、殆ど思考回路が停止中。……流されてるわね…私…。
「じゃ、行くわよ。ユイの手を離さないでね」
 言うが早いか、喫茶店の風景が溶ける。感覚が曖昧になる。はっきりしてるのは繋いだお母さんの手だけ……。
「現実空間で会いましょ…」


「………なんだったの? 夢……?」
 ぼやける視界……その目の中にはケージが見える。……プラグの中?
《せいか〜い!》
「きゃ! ………アダム?」
 プラグの中には喫茶店であったアダムが居た………透けてるけど大丈夫なの?
《他の人に見えないようにしたのよ。いや〜、やっと楽になれたわ。良かった良かった》
「!! お母さんは?!」
 慌てて周りを見渡す。そして、自分の手を見ると、その先には裸のお母さんが居た。
「夢じゃない……」
《大丈夫。夢じゃないよ。それよりも、外が騒がしいから、回線繋ぐよ》
『レンちゃん!! 聞こえてる?! レンちゃん!!』
「リツコさん…聞こえてますから、少し小さな声でお願いします。それと、もう上がっていいですよね? あ、リツコさん、ケージに来る時にリツコさんの服の予備、持ってきてください」
『はぁ?』


「ユイさん!? 一体…」
「あらリツコちゃん。大きくなったわね。服貸してくれるかしら?」
「あ、どうぞ」
 リツコさん、目が点になってる。それもそうか。いきなりお母さんが帰ってきたんだもんね、驚くなって言う方がムリね。
《なかなか楽しい光景だね》
「!!!!! アダム?!」
 私の大声に驚いたのか、皆が一斉に私の方を向く。
(何で?! どうやって出てきたのよ?!)
《誰も出れないとはいってないよ。ま、エヴァ本体は器だから。あの中に居なくても存在はできるわ。力は無いけどね》
(何だか無理やりな理論ね、それ)
 私の言葉にアダムは苦笑して、分からないよ本当は…と答えた。
「さてっと……レン。説明してちょうだい。あなたが自慢にしていた黒髪は何処に行ったの? あと、今までレンとミナがどうしてきたかを事細かに説明しなさい」
 …………ここで?
「あの…ユイさん。ここじゃなんですから……食堂に行きませんか?」
「そうね。じゃ、りっちゃん。案内して」
「あの………その『りっちゃん』ってどうかなりません?」
「ま、いいじゃない♪ さ、行きましょ」
 その光景をアダムがケタケタ笑って見ていた。………人の気も知らないで!!


 私とミナが代わる代わる説明をしてはや二時間。………お母さんの顔が怖い…。
「……なるほど。この子がスイちゃんね」
 そう言ってスイの頭を撫でた。……今ここには、お母さん、ミナ、リツコさん、カヲル、レイ、スイ、私、私の肩に小さくなってとまったアダムがいる……アダムは見えてないか……。
 ちなみに、わたしが死にかけた事は、無理やり聞き出された。………だって、怖かったんだもん。
「………で、あの人は?」
「明日、参号機といっしょに到着します。いま松代に居ますが……」
「そう、ならいいわ。……りっちゃん、今後の事なんだけど。この子達、預かって貰ってていいかしら?」
「え? はぁ。いいですが、一緒に暮らさないんですか?」
 リツコさんの言葉は当然だろうけど……お母さんと暮らすって事は……あの男と暮らすの? 絶対イヤ!!
《……その髭ってどんなヤツ?》
 ……嫌なやつ。記憶が戻ったらなんか許せなくなってきた。
《殺す? 今なら簡単だよ?》
 ……めんどくさい。いい…。……それよりも、カヲルにも見えてないの? 綾波さんにも?
《うん。見えないよ。見えるようにする事もできるけど、めんどくさい》
 あ、そ。……ちなみに、話は続いているんだよね…。
「ゲンドウさんと住みたがらないでしょう。この子達の今までを考えるとね。スイちゃんはあなたに慣れてるし、何か困るのかしら?」
「いえ、全然。というか、居てくれた方が嬉しいです、私としましては……」
「じゃ、決まりね。レン、ミナ。りっちゃんと一緒でいいわね。あなた達は今までと全く変わらないわ。ここでいつでも会えるしね。いいかしら?」
「私はそのほうがいいわ」
「姉さんが居るんなら…」
「そう。………ごめんなさいね…」
「いいよ、お母さんが帰ってきただけで」
「そうそう」
「ありがとう。ここでならいくらでも甘えていいからね。それと、ゲンドウさんのことは私に任せてね。……レンをもう2度と実験に使おうなんて思わないほどにお仕置きよ

 …………怖い。
《………鬼気迫るものがあるね…。エヴァの中じゃこんなんじゃなか………。……前言撤回。サキエルのときはこんな感じだった》
 ……そ…そう。……やっぱり。
「じゃ、今日はこのくらいね。メインイベントは、あの二人が帰ってきてからね」
 …………明日、本部に来たくないなぁ。


「はぁ…落ち着くねぇ…」
 あの恐怖の会談……僕らにとってだけどね……から解放されてやっと帰ってきたよ。今はリビングのソファーでくつろいでるんだ。……皆で倒れたといった方がいいかな? そんな中でスイだけが元気だ。
「ねぇお兄ちゃん。ユイさんって私のもう一人のママ?」
 スイ……ママは一人じゃないのかい? ……ま、そうとも言えるかな?
「そう言っていいと思うよ」
「ふ〜ん……ユイママ…」
 そう呟くと笑いだした。……嬉しいみたいだね。…しかし、まさかボクとレンの関係を知ってるなんて…思わなかったよ。……いきなり認められたけど。って言うか『孫が出来ても今ならおばあちゃんって言われないわね』とか言ってたし。……さすがあの髭眼鏡を抑えれる人だなぁ。
「………カヲル…動く元気ある?」
 レン……あるわけないよ。このまま眠りたいぐらいさ。
「……ないよ。もう眠りたい…」
「同感ね」
 リツコさんも声に覇気がない。
「……お風呂は明日でいいや。……土曜でよかった」
 ミナがお風呂を明日に回すなんて。よっぽど疲れたみたいだね。
「………限界。私寝るね」
 レンが脱落。……その前に、レイが既に脱落した後か……。もう居ないよ。
「わ…私も」
 ミナ脱落。ちなみにスイはレンに付いて行った。
「……もうだめね」
 リツコさんと…ボクもムリ。……明日は本部で起動実験だし……、もう寝よう。しかし、明日はどうなる事やら……考えたくないね。


 ………嫌な日ほど早くやってくるものね……。
「……じゃ、今日は参号機の起動実験と、零号機の再起動実験があるから、皆お昼には本部に来てちょうだい」
「分かりました。…昼食はどうします?」
「本部で皆で食べましょ。スイもいらっしゃい」
「うん☆」
 ……ここまでは問題ないんだけど…。
「…レイとレンちゃんは本部に来たときにユイさんが話があるらしいわ。……司令がらみのことだと思うから…頑張って」
 これなんだよね…。綾波さんの顔も露骨に嫌な顔をしてるしね。
《…大変ね。でもなんか興味あるわ。ネルフってケージくらいしか知らないからね。案内よろしくね》
 ……分かったけどその格好は何? 昨日までは私と同じくらいの背だったのに…。今じゃ手のひらサイズよ?
《昨日色々考えてさ。あのままだとめんどくさいから。このぐらいの大きさだとレンの肩に止まれるしね。この格好になったの。ケージに出たときにこの格好だったでしょ? これが思ったよりも便利がいいのよ》
 ……サイズは分かったわ。…で? その妖精チックな服装は何?
《趣味》
 ………もう何も言わないわ。
 そんな会話(念話?)を続ける私たちにリツコさんが声をかけた。
「じゃ、行ってくるわね。ミナにも伝えておいて」
「は〜〜〜い」
 ミナは今お風呂なんだよね。…ミナのお風呂は長いから、一番最後なの。
「行って来ます」
「いってらっしゃ〜〜い」


「…ねえリツコ。レンちゃんが戦闘経験があったって本当?」
 自室で作業をしているとミサトが入ってくる。
「…さぁ? カヲルの話だから、詳しい事は分からないわ。でも、緒戦の記録を見る限り、その可能性は高いわね」
 そう言うと珈琲を啜る。…今一ね。最近はレンちゃんに任せっ切りだったから腕が落ちたのかしら?
「でも、ラッキーじゃない! 彼女に戦闘訓練を受けさせることができるし!」
 ……はぁ。相変わらず単純ね。
「そう? じゃ、ユイさんにそう進言しなさい。私はイヤよ。命が惜しいもの」
「でも、これで生存確率が上がるのよ!」
 ………そんなに作戦部の指揮下におきたいのかしら?
「……じゃ、カヲルの意見聞く?」
 そう言ってディスクをパソコンに差込み、再生する。
『……彼女の戦闘に関する記憶は、その記憶を封印するほど彼女にとって衝撃的なもの。それを無理やり掘り起こすと、最悪の場合精神が崩壊する。……加えて言うなら、このネルフにいる人間では戦闘を思い出した彼女に、指一本触れる事は出来ないだろう。指一本触れる間もなく殺されるのが落ちだと思うよ……』
「…? 殺される? 一体どういうこと?」
「カヲルの話によると、レンちゃんに戦闘訓練をした人ってすっごい実力者だったようね。2流の軍隊なら一人で壊滅できるらしいわ。…実際、インパクト後の数年で、幾つかの軍隊が壊滅的な打撃を受けたらしいわ。…一種の戦略兵器ね」
「嘘でしょ?」
「コードネーム『L』。裏の世界じゃ有名だったそうよ」
 『L』という言葉でミサトの動きが止まる。元々軍属の彼女、噂ぐらいは聞いた事があるみたいね。
「『L』…ですって? そんな?! 『L』ってテロリストの事じゃなかったの?!」
「ま、間違っていないわね。やってる事はテロリストと同じことよ。それが一人か集団かという違いだけ。ま、カヲルの話だと自分達に手を出してきた外敵を排除しただけらしいけどね」
「……『L』って、国連軍すら相手にならなかったテロリストよ?! ……信じられない」
「なにが? レンちゃんがその人から手ほどきを受けたこと? カヲルが言っている事? 『L』っていう人がいたということ?」
「……………」
「…疑ってかかる事が仕事とはいえ、信じてもいい事と悪い事ぐらいはあるんじゃないの?」
 ……我ながらきつい事言ってるわね…。
「…とにかく、あの子達の事、よく見ておいたほうがいいわね。……それじゃ」
 そう言うと部屋を後にする。…ま、これくらいはいっておかないとね。さ、お昼にしましょ。


「……え? 3機同時の起動実験?」
「本気なのかい?」
「………リスクが大きすぎるわ」
 食堂でお昼を食べながらお母さんの言った事に反応する。そのお母さんはというと………スイのほっぺについたクリームを取ってあげてる。
「…ユイさん、私も彼女達に賛成です。それはあまりにも…」
「あら、全く同時にするわけじゃないわ。初号機の起動実験はすぐにでもできるし、その間に零号機を準備。参号機は準備に時間がかかるから、順番になるわ。どちらかというと、一ヵ所で3機連続に実験する…といったところかしら」
「……なるほど。確かに…」
「それに、りっちゃん一人では無理でしょうけど、今回からわたしが協力します。大丈夫よ」
 ……リツコさんが説き伏せられる姿って初めて見た。
「では、そういう風に準備しますね」
「お願いね。レン達もいいかしら? ミナは私たちを手伝ってね」
「は〜い」
「……了解」
「やっとっ参号機が来るんだね」
「……分かりました」
「スイは? どうするの?」
「スイちゃんは私と一緒にいましょうね」

 ……本音は『あの二人』にスイを近づけたくないって所かしら?
《ビンゴだと思うよ。……参号機は後十分ぐらいで到着するね》
 分かるの?
《うん。弱い反応が近づいてる。多分参号機……後、気になることが一つ在るけど…まいっか》
 ? 何かあるの
《う〜ん……もしかしたら使徒がくるかもしれない。参号機以外にまだ弱いけど反応がある。動いてないから……現実化しようとしてるのかな? どちらにしろ、まだ何も出来ないよ。コチラも、向こうもね》
 …前から思ってたんだけど。あなた同族じゃないの? 私は使徒を倒すためにエヴァに乗らなくちゃならないのよ?
《……。そっか、説明してなかったっけ。今の使徒って私の同族じゃないよ。今の使徒は『濁った魂』なの。私の同族なのは、今の段階じゃサキエルとシャムシエルとタブリスだけ。あ、リリスもそっか》
 サキエルはスイ。タブリスはカヲル。リリスは綾波さん。……シャムシエル?
《……何でかは知らないんだけどね、サキエルとシャムシエルはレンと戦う事によって魂が浄化されたの。タブリスは元々『無垢な魂』の持ち主だったからその必要もなかったし、リリスは………なんでだろ? ま、いいけどね。
 で、シャムシエルなんだけど………今初号機にいるんだよね。後少し…ほんの十分もしたら出て来るよ。シャムシエルの体が出来上がるから》

 出てくるって……
《他にやりようがなかったんだもん》
 …スイの体もあなたが?
《そう。初号機だけが新たな体を生み出す事ができるから。……初号機だけじゃダメなんだけどね。…レン、あなたの力もいるの》
 私の力?
《ま、追々分かるわ》
 …何か隠してるでしょ?
《ま、ね。この世は謎だらけなのよ》
 アダム…、あなたが言う? あなたの存在こそ謎よ
《謎多き女ってね♪》
 あ、そ。好きにして
《つっこんでよ〜〜!!》
 イヤよ。絶対イヤ。何言ってもイヤ。あなたにつっこむと喜ぶだけだもの。
《酷い言われようね……》
 あなたの半身だからね。
《じゃ、私の性格が悪いのはレンのせいっと……》
「なんですって〜〜〜〜〜!!!!」

「なんですって〜〜〜〜〜!!!!」
「キャッ! ……レンお姉ちゃんどうしたの? いきなり大声出して…」
「え? あ…ごめんね、スイ……。なんでもないの」
 …いけないいけない。声に出してしまったみたいね。アダムとの会話に集中しすぎたみたいね。気をつけよっと。
「………レン、具合が悪いなら…医務室」
「大丈夫よ、綾波さん。なんでもないわ」
「……そう…」
 …意外ね。綾波さんが自発的に声をかけてくるなんて。
『本部全館へ。E−03が到着しました。予定の作業に入ってください。繰り返します……』
「来たようね。じゃ、皆。作業に入るから、よろしくね」
 …リツコさんじゃなくて、お母さんが仕切っちゃっていいの?
「スイちゃんいらっしゃい。ユイさんとミナと一緒にいるのよ」
 ……いいみたいね


「…で? あなたは誰かしら?」
「あれ? 聞いてない?」
 黒髪の女の子…腰ぐらいの髪かしら…、それに少し茶色い目……。そんな女の子が目の前にいる。
「………全然」
「おっかしいなぁ? カヲルには連絡しといたんだけどなぁ…」
(…アダム…。シャムシエル?)
《違うね。普通の人間……と思うけど。…微妙に違うかな? でも、使徒じゃない》
「…綾波さん、知ってる?」
「ええ。でも、あなたがどうしてここにいるの?」
「転属されたから」
「…違うわ。なぜ更衣室にいるの?」
 そう。プラグスーツに着替えるために更衣室にきたら先客がいたの。
「……道に迷っちゃって」
「……相変わらずね……そこ」
 綾波さんが壁を指す。そこには連絡機が設置されていた。…でも、省略しすぎよ。
「お、さんきゅ〜」
 そう言うとどこかと連絡をとる。
「……うん……分かった。ここで待てばいいんだな。……うん……りょ〜かい」
「……レン、着替えましょ。時間がないわ」
「あ、うん」
 相変わらず、マイペースねぇ。
「これでよしっと…。なぁレイ。そいつ新入り?」
「……そう」
「ふ〜ん。名前は?」
「…………本人に聞いて」
「ふぇ?」
 服を脱いでる私に話がいきなり振られる。
「おたく、名前は?」
「あ、ちょっと待ってください………んっしょ………よっと…」
 ピ…シュン…
 プラグスーツの手首のスイッチを押し、空気を抜く。
「よし♪ で? 何でしたっけ?」
「名前だよ、名前」
「ああ。そっか。えっと…碇レンです」
「そか。アタイの名前は王 飛龍。フィフスチルドレンだ」
 そう言って手を差し出してくる。その手を握り返す。
「よろしくな!」
「ええ。よろしく」
「……レン、時間」
 綾波さんの言葉がかかる。もうそんな時間?
「分かったわ。それじゃ王さん、また後で」
「ああ。上で待ってるからな」
 そう言うと更衣室を後にする。
(アダム…シャムシエルは?)
《……ごめん、見失った。エヴァが…初号機が近すぎて反応がわからない》
(どうするの?)
《もう実体を持って動いてる事は間違いない。……とすれば、必ずレンのところに来ようとするから、待ってれば現れると思うよ》
(そんなのでいいの? 危険はないの?)
《それは大丈夫。使徒としての能力をまだ持ってるはずだから》

「……レン?」
「どうしたの? 綾波さん」
「…………貴方は怖くない?」
「ふぇ?」
 エヴァの前に渡されたタラップで綾波さんが立ち止まる。
「………今まで感じなかった。今の私にはエヴァが怖い。戦う事が怖い。………足が動かない。体が震える」
 改めて綾波さんを見る。……確かに何かに怯えてるね。
「ついこの前までは…私にはエヴァしかなかったから、こうする事が当然だった。……でも、今日……ここに来たら…体が上手く動かない。……怖い…」
 ……今まで怖いと感じた事がなかったから、余計に怖がってるのかしら?
「……どうして? …私は怖い……また怪我をするかも……今度は死ぬかもしれない!」
「…綾波さん…」
 綾波さんの赤い瞳から涙がこぼれる。……カヲルから聞いた言葉が思い出される。

『レンがいないあいだに、レイがいろんなことを学んだよ。寂しい…怖い…。そういった感情を知ったよ。レンが居る間楽しかったみたいだね。だからいなくなったら怖くなった。そういう事みたいだね』

「……怖い」
「大丈夫よ」
 綾波さんを抱きしめる。彼女の細い身体が小刻みに震える。
「…ねぇ…綾波さん。私たちは死ねないわ。死んだらいけないの。スイが待ってるわ。リツコさんも、発令所の皆も、綾波さんが……いえ、レイが帰ってくるのを待ってるから」
 『レイ』……その言葉で綾波さんが……レイが弾かれたように顔を上げる。涙に濡れたその顔を…。
「リツコさんやネルフの皆はその為にエヴァを整備してくれているの。私たちが死なないため。私たちが笑って帰って来れるように。また皆と一緒に暮らせるように頑張ってくれてるの」
「…………」
「何もなかった…エヴァしかなかった。レイはそう言ったよね? 気付いてた? その言葉が全部過去形だって言う事に。……じゃぁ今は? 何があるの?」
「……たくさんのもの」
「そう。今のレイにはたくさんの物が在るの。決して無くしてはいけないもの。…………確かに闘いは怖いものだよね。エヴァも兵器の一つだもの、怖いわ。でも、それ以上に怖い事が私にはあるの」
「……これ以上に」
 私の肩にまた顔を埋める。
「…そう。……レイは今持ってるものを失って…無くしていいの?」
「……良くない」
「そうだよね。無くして良い分けない。奪われて良い分けない。それはエヴァに乗る事より…戦う事より怖いから。だから戦うの。エヴァに乗るの。無くさないためにね」
「………その為?」
「うん。…ほら零号機を見て。貴方を護る鎧……貴方から全てを奪おうとする者を打ち砕く剣…。レイの世界を共に護る事のできる半身。それがエヴァ……」
「………」
「……怖いのは彼らも一緒。だから話し掛けてあげて。…一人は怖いから、友達になってあげるの。……零号機は貴方を裏切ることはないわ。エヴァは……貴方を受け入れてくれるわ」
「………零号機」
ウオオオオオオオォォォォォン…………
 低く…唸り声が聞こえる。
《零号機がレイを呼んでる……。人格が無いはずなのに…》
 アダムが呆然と呟く。
「ほら、零号機が呼んでるわ。貴方を、唯一の友を。………まだ怖い?」
 レイは自分の身体を見つめる。
「身体が震えない…」
「さ、行こう。零号機の目を覚まさせてあげて」
 私はレイの手を取ると零号機に取り付けられた昇降機まで引っ張っていく。そして、プラグの入り口まで連れていった。
「レン…」
「レイ…待ってるからね」
 そう声をかけて私は初号機まで走っていった。プラグ内に入った私に待っていたのは……リツコさんのお説教だった。
『何してたの?! 開始時間はとっくに過ぎてるのよ!』
「ごめんなさ〜い」
『まったく……後でみっちりお説教しますからね』
「は〜い」
『まあまあ、りっちゃんもそのぐらいにして。…レンご苦労様』
「お母さん?」
『……始めるわよ? 大丈夫。レイちゃんは私たちに任せておきなさい』
「お母さん………。お願いね」
『ええ。それじゃぁりっちゃん、私は零号機の準備に回るわ。初号機、よろしくね』
『分かりました。レンちゃん! 始めるわ!!』
「ど〜ぞ☆」
 瞬く間に起動準備が出来上がる。
『A10神経接続開始』
「………アダム、行くよ」
《ドーゾ!》
『………全て問題なし』
『エヴァンゲリオン初号機、起動します』
(シンクロスタート)
《オッケ〜♪》
『…初号機起動しました』
『シンクロ率………え?!』
『? マヤ、どうかしたの?』
『あ! すみません! シ…シンクロ率100%……。ハーモニクス…誤差0.0000。計上できません…』
『何ですって…』
《ま、当然ね。直接シンクロだし、レンは私の一部で、私はレンの一部だもの。ねぇ、少し驚かしてみようか?》
(止めておきなさい。次はレイの再起動実験だから余計な手間かけさせちゃダメよ)
《それもそうか……。でも零号機は大丈夫だよ。レイを自分で呼ぶくらいだから》
(参号機の事も在るし……おとなしくしておきましょ)
《はーい》
『あ…ごめんなさい。そのまま待機しててくれるかしら?』
「は〜い」
 そう言うとウィンドウが閉じる。起動はさせたままか……。
《あ! 零号機の起動実験みたいだよ。ほら! ………零号機かぁ》
(? どうかしたの?)
《ん〜ん。別に……。…あ、起動したみたいだよ。やっぱり無事だったのね》
(次は参号機の起動実験と零号機の連動実験かぁ……カヲル大丈夫かなぁ?)
《それは取り越し苦労よ。タブリスがエヴァとシンクロしないことはないわよ》
(そんなものなの?)
《ほら。もう起動したみたいだよ。流石にユイは仕事が速い》
(しかし…参号機って黒いんだね。…初号機の角ナシって感じだね)
《いっつも思うんだけどエヴァの装甲って趣味悪いよね》
(……リツコさんが聞いたら怒るよ?)
《それは聞かれたらの…………》
(…? どうしたのアダム? 何かあったの?)
 肩の上で笑っていたアダムが急に真面目な顔に変わる。
《来た…………次の使徒………ラミエル!》

『レンちゃん!! 使徒が来たわ! 発進準備をします! そのままエヴァに乗っててちょうだい!』
『レン。今回は零号機と参号機、できれば使いたくないの。まだ若干誤差が残ってるの。今出すのは危険だわ』
「うん。わかってる。いきなり出したら危ないって言うのは分かるから」
 そういうと自分の緒戦を思い浮かべた。
(アレは危なかった……)
 冷や汗が流れる。………よく生きてたなぁ…。
『じゃ、少し待っててね』
 そう言うとふたつのウィンドウは切れた。……さて、今回はどんな相手かな?


「………以上の理由から速やかに、初号機による出撃を主張します」
「……私は賛成だ。使徒を倒さぬ限り我々人類に未来はない」
「………二人はどうかね?」
「「反対です」」
「ぬぅ。しかしユイ…」
「黙ってなさい」
「はい」
 ………情けないですね…司令。ま、それはほっといて…
「ミサト、貴方それでも作戦指揮官? 今回の使徒の形状、貴方も見たわよね?」
 ウィンドウに八角形の青い水晶のような浮遊物体が見える。……相変わらず常識を疑うような姿ね。
「みたわ。使徒は現在ブレードにより本部に侵攻中……。せっかく起動している初号機を出すのに反対して様子を見ようといったのは貴方よ」
 いらいらした調子でまくし立てる……。
「…何も見ちゃいないわね。いい? 今までの経験から、使徒は必ず複数の攻撃手段を持つと考えるのが妥当よ。なら、今回のような形状の使徒が接近戦に強いとは考えられないわ。おそらく長距離専用の使徒、そう考えるのが普通ね」
「…だから何? あの時速攻で初号機を出せば懐に入り込めたわ」
「そうかしら? ミサト…貴方がもしロングレンジライフルを持って戦場に出たとするわ。一番何に気をつけるかしら?」
「…相手との距離よ」
「そう。では相手の足がコチラより速ければ?」
「当然相手の射程外から攻撃するわ。それが無理なら相手の足を止める方法を考えるわ」
「と考えるわね。じゃぁ使徒とエヴァが共通して持つものは?」
「…………ATフィールド? でもそれは中和したら!」
「足が止まるわね」
「!!!!」
「もしくは出てくるところを叩くわ、私ならね。今までの戦闘で使徒は必ずこっちの出撃ポイントの真正面に出てきてる。今回の使徒がそうじゃないと言い切る事は出来ない…むしろ同じだと考えるべきね」
 …まったく、黙って下を向くこともないでしょ。子供じゃあるまいし…。
「しかし赤木博士、それでも」
「あなた! ……そうね…貴方出撃してみます?」
「な…なに?! しかしユイ! 私ではエヴァは!」
「動かせますよ。頼めば」
「しかし、相手の力も分からないのに、そんな危険な事!」
 司令の『危険な事』という言葉にユイさんの目がキラーンと光る。
「あなた!! 『危険』といいましたね! そうです!! 危険なんですよ! 相手の出方も分からない。そんな所にレンを引っ張り出すつもりなんですか!!!」
「ユ…ユイ君。落ち着きなさい…」
「冬月先生も先生です! 大の大人が集まってそんな事も分からないんですか!! 先生! 貴方は教授でもあったんですよ!!」
「む…すまない」
「しかし…」

「しかしも何もありません!! そんな危険な事をレンにさせるんなら離婚です!!

「わ…わたしが悪かった!!! 許してくれユイ!!」
 ……もう司令としても威厳も何もあったもんじゃないですね…。
「……分かったわ。で…状況は?」
「…それを考えるのが作戦部の仕事。…状況なら教えてあげるわ、マヤ」
「は…はい!!」
 ……今の今まで固まってた三人衆(私も忘れてたわ)が報告を始める。
「げ…現在使徒のボーリングマシーンは第2層装甲板に接触。本部に向けて進行中です」
「明日の0時24分には全ての装甲板を貫通し、本部に到達します」
「エヴァは3機とも待機状態にあります。いつでも出撃可能です」
「ATフィールドは?」
「健在よ。さっき自走臼砲による攻撃で、肉眼で装転移空間を確認できるほど強力なものが確認されたわ」
「……その際、使徒から荷粒子砲と思われる攻撃を受けました」
「…確実にこちらの射程を上回ってますね。威力も相当なものです」
「攻守ともほぼ完璧。さて、それを踏まえて…どうするの、ミサト?」
「……………」


「…凄い威力ね」
 ミナから見せてもらった記録を見てわたしが呟いた。…今私たちがいるのはブリーフィングルーム。そこに四人のチルドレンに、ミナとスイが集まっているの。
「ATフィールドも完璧。攻撃の精度も高い。難攻不落の空中城ってとこかな?」
「………荷粒子砲は攻撃されての反撃と、一定距離への進入に反応しての攻撃…」
「…連射もある程度は可能か……。参ったね」
 カヲル、レイ、王さんが順に漏らす。
「こんなのの前にいきなり出されたら、最悪の場合荷粒子砲でドッカン…だね」
「まったくだね。良くあの作戦部長がそれをしなかったね?」
「カヲル! 言い過ぎよ!」
 カヲルの言葉をミナが嗜める。それもカヲルにとっては何処吹く風のようだけど…。そんな中、レイがこれしか見当たらないといい呟く。
「………相手の射程以上からの超長距離射撃…」
「そうね。でもレイ、ネルフにそんな高出力の武器なんてあったっけ?」
「ないわ」
「「「「う〜〜〜〜ん」」」」
 八方塞がりね…。
「無いなら何処からか借りてくれば良いんじゃない?」
「!! それだよスイちゃん!!」
 スイの言葉に王さんが急に反応する。
「確か、戦自研に超高出力のポジトロンライフル…陽電子砲があったはず! あれならネルフのものよりも遥かに威力が高いはず!」
「それなら私も知ってるわ。でもそんな高出力、何をエネルギー源にするの? 今さっきざっと計算したけど日本の消費電力に等しいエネルギーよ。そんなものに砲身が耐えられるの?」
「ぐっ!」
 私の反論に王さんが詰まる。……伊達にミント姉様から鍛えられたわけじゃないからね…。でも、そう思うと悲しくなる。…そのとき
「……お困りのようですね」
 いきなり後ろから声をかけられて、振りむく。そこには…………まさか…
「貴方、誰?」
 レイの言葉に女の人が柔らかく微笑む。人にはありえない薄い緑色の髪……同色の瞳…。まさか……、ありえない!
《どうしたのレン? 何そんなに驚いてるの?》
(アダム……)
《あれ? あの女の人って……レンの記憶の中にいた…》
(知ってるなら話は早いわ。死んだはずよ!)
「……私の名前は…」
 生きてなんていない! 私を護って死んだはず! ……でも…生きていたら…
《レン! 落ち着いて!》
(落ち着けるわけ無いでしょ!!!)
「私の名前は……ミント……。ミント・クレイア」
 !!! ………信じられない…。嘘……。嘘よ!!!
「……ミント…姉様?」

「ミント…姉様?」
 …バカな! ミント・クレイア?! 死んだはずだ!!
「レン! 本人なのか!?」
「……そうよ。カヲル……いえ、素体番号Z−72。こう言えば信じてくれるかしら?」
 鈴の鳴るように…あでやかに笑う。ボクの事を知っている?! しかし、彼女達はゼーレの特殊部隊に…!
「……姉様……? …どうやって…」
 レンがどうしたら良いか分からないように呟く。
「どうやって助かったか……ね? ……エルに窓から河に投げ込まれたのよ。ここに来た理由は貴方の反応が見つかったから。吃驚したわ。今まで反応が無かったのに、いきなり現れるんですもの」
「…反応?」
「そう。一緒に暮らしてる間に身についた、一種の特技ね。漠然と貴方の居場所がわかるの」
「………そうか! レンの髪だ!」
「ご名答。レンの髪は恐らく一種の波長を出してるわ。微かだけど発光してるしね。それが分かるのよ」
「…あ。この髪に戻ったのはつい昨日の事だから…」
 …辻褄は合っている。
「レン…誰?」
「姉さん。この人は? それに『姉様』って?」
「お姉ちゃんのお姉ちゃん?」
「知り合いかい? しかしどうやって入って来た?」
「この子が入れてくれたわ」
 そう言うと足元から5,6歳の女の子が顔を出す。
「えへへへへへ」
 …まだ何か一波乱ありそうだな…。


続く



(中書き)

作「ミント様復活!」
レ「あっさりねぇ」
ミ「…しかし、いつになったら第五使徒戦…『ヤシマ作戦』になるんですか?」
作「後編で」
レ「しかし…キャラ多すぎね。訳分かんないじゃないの?」
ア「そうそう」
レ「…………………ん?」
ア「ん?」
レ「アダムウウゥゥゥ!! いつの間に!」
ア「最初から」
ミ「まあまあ。でも、アダムさんの設定って前からありましたよね?」
作「うん。あの5人と同じ時には原型があったし」
ア「その5人…復活するんだぁ」
作「いや、ちょこっとね。外伝とか書くとき用」
レ「生きてれば良いです!!」
ミ「やっぱり力入ってるね」
作「しかし…ミサトファンにはまずいかもね…。ここまでするつもりは無かったんだけど。ミントに活躍の場を取られるし」
ミ「あの人も人間ですからね」
ア「人間じゃないものに勝つのは難しいに決まってるわ」
作「ま、なんとかなるさ♪」
レ「…王さんも出てきましたね」
作「応!!」
ミ「…機体無いですよ?」
作「くっくっくっ! ありますよぉ〜!」
レ「?」
作「そおれも次回ねぇ!」
ア「気味悪いな…いつもこう?」
ミ「あまり代わりませんね」
レ「放っておきましょ」
作「くくくくくっ!!」

六話  終幕

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管理人のこめんと
 SHOWさんの『微笑の中で』、第6話です。
 ユイさんとうとう復活ですね。しかし、髭のお仕置きシ−ンも入らないくらい新キャラ登場で、もう大賑わいです。正直な話、もうどれが誰やら(^^ゞ
 またしてもお軽い感じのアダムが出て、ろりぃ〜な人も出て、死んだはずの人やら男っぽい中国の人やら……。こーなるともう、あらゆる趣味にお答えしますって感じですかな。うみゅ。あとは眼鏡っ娘とお嬢様と人型ろぼっと? 意表をついて犬っぽい幼なじみタイプとゆーのもアリかと(爆)。
 しかし、こうキャラが増えていくと、髭とミサトの影がますます薄くなってしまいますねぇ。いや、いいんだけどね、べつに(´▽`)

 さりげなく人間として成長を続けるレイが、ますますもっていい感じです。そのうち誰も彼女を人形みたいとは言わなくなるでしょう。ところで、ドイツの爆弾娘はちゃんと出るんでしょうか(笑)。
 まあ、そのへんはさておき、いよいよラミエル登場です。今回はユイさんのお陰で恥をさらさずにすんだミサト。最近めっきり影の薄い彼女は果たして活躍出来るのか!? でもってまたキャラが増えるのか!? 今度はショタって線もあるんじゃないのか? そして肝心要の18禁シーンはあるのか(笑)。
 激しく期待大、です(*^▽^*)

 とゆうわけで皆さん、魅力的な物語を次々に生み出しているSHOWさんに、ろりろりはいいねぇ〜、とか、18禁は人類の至宝っ、とか、感想や応援のメールをじゃんっじゃん送って頑張ってもらいましょうっ。
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