第一章・死神博士の作戦






 気付いたら、一文字隼人は暗闇の中にいた。
「……………」
 鎖で体中を縛られている。
辺りを見回し、自分が置かれている状況を把握しようと試みた。
 記憶を手繰る。
(ああ、そうだ。ショッカーに捕まったんだ)
 ショッカーの怪人と戦闘中、唐突に地中から伸びてきた手に、一文字はあっさり捕まってしまった。
(確か前にも同じような事があったな。……情けない)
 次第に目がなれ、辺りの様子が判明しだした。
(牢屋じゃないのか…)
 一文字が転がされているのは、大して広くも、味気もない、殺風景な部屋だった。ただ何故か、ビデオカメラがパッと見ただけで5台は置いてある。監視用にしては多すぎる…。
 少し以外だった。てっきり前回同様、檻の中だと思ったのに…。
 しかし、例え牢屋でなくても、ここから脱出するのは容易ではなさそうだ。部屋自体が強度な造りになっている―――と、言う訳でない。
(…どうやら対改造人間用らしいな。この鎖やら手錠やらは)
 変身前でさえ、普通の人間の数倍の力を持つ一文字が、いくら力を込めてみてもびくともしない。手錠を後ろでかけられていて、力も込めにくい。
 更に、首輪をはめられ、犬のように壁で固定されている。
(俺がここにいる事を本郷達は知らないだろうし…、妨害電波でも有るのか、本郷に連絡する事も出来ない…)
 万事休す?
 ―――と、
 壁の一角に申し訳なさそうに有ったドアが開いた。
 中から、一人の男が姿を現す。
「…ゾル大佐」
 一文字はうめいた。
「ようこそ、ショッカーの特別室へ。我々のもてなしは気に入ってもらえたかな?」
 ショッカー大幹部のひとりは、馬鹿丁寧にお辞儀までして言った。
 ゾル大佐。ショッカー中近東支部でその力量を見せつけ、最年少で大幹部にのし上がった男だ。鼻の下に髭を生やし、愛用のムチをいつも持ち歩いている。
「貴様…何が目的だ!」
「何の事かな?」
 惚けて言う。その言い方が癪に触る。
「私を捕まえて人質にでもするつもりか?」
「まさかぁ!」
 大仰に答える。
 そして、何やら楽しそうに唇を歪めた。あまり歓迎したくない微笑だ。
 背筋を何かが駆け上がって行くのを感じながら、一文字はゾル大佐を睨みつけた。
「ふふん。…そうだな、まぁ用が有るとすれば、他のどのライダーでもなく―――…一文字隼人、貴様一人に用が有る」
 腹の底から込み上がって来る笑いを抑えているような感じでゾル大佐は言った。
「私一人?」
「ああそうだ。それも……クックク…はははははははは」
 とうとう押さえきれなくなったのだろう。大声でゾル大佐は笑い出した。そんなゾル大佐の様子に、一文字は訝らずにはいられない。
(一体何が………)
 はじめて見るゾル大佐の馬鹿笑いに、そのうち不安が押し上げて来た。
 ひとしきり笑った後、ゾル大佐は一文字に一歩一歩ゆっくりと近付いた。まるでワザと時間をかけ、一文字の不安を駆り立てているようだ。
 身をよじり、出来るだけ離れようと試みるが、いかんせん、鎖が邪魔をして数cmしか動けなかった。
「一文字隼人」
 ゾル大佐はしゃがみこみ、持っているムチで一文字の顎を上げた。
 目の前にゾル大佐のにやけた顔がある。
 不気味な光を放つその瞳が、一文字をなんと言えない気持ちにさせる。
「今から俺がする事を、貴様は信じられなく思うに違いない。俺が狂ったのかと思うかもしれない。だがな、俺は狂ってもいなければ冗談でするのでもない。いたって真剣にするのだ。そして、その事実がお前を苦しめるのではないかと、俺は思っている」
 ゾル大佐が何を言いたいのか一文字には解らなかった。
 ゾル大佐はにっと笑うと、あらゆる角度からこちらを向いているビデオカメラを指し示した。
「あれらはお前がここに来てからずっと回してある。後半日くらいなら楽に撮れる。お前がどんなに動こうと、カメラはお前を追う。そういう風にセットしてある」
「何の為に………」
「何の為だと思う?もう解っていると思うが監視の為ではない」
「………………」
 更に笑みを濃くし、ゾル大佐は言う。
「一文字隼人。お前の全てを撮るためだ」
「…何故だ?」
「後で見て、楽しむ為だよ」
「楽しむ?」
 嫌な予感と、どうしようもない不安が一文字の心を覆う。
「なかなか見れるモノでは無いのでな……」
 そう言うと、いきなりゾル大佐は一文字の胸元を引き裂いた!
「!?」
 無残にも引き裂かれた服の中から、色白い一文字の肌が見えた。
「なっ…」
 そのままゾル大佐はいたる所を引き裂いていく。その度に一文字の肌が露出する。
 一通り終ると、ゾル大佐は立ち上がった。
 実に楽しそうに笑っている。
「……………」
「ふふふ、その顔。訳が解らないだろ?だが、そのうち嫌でも解るようになる」
 と、ゾル大佐は持っているムチを思いっきり振り下ろした。
「くっ!」
 ピシィ―――という音を立てて、ムチは一文字の白い肌に食い込んだ。
(一体何を考えているんだ、ゾル大佐は!?)
 ムチの嵐の中、一文字は考えていた。
 しかし、一向に解らない。
(解りたくもない気がする…)
 嫌な予感は当たっているのだろう。
「ふふふ…」
 ゾル大佐の顔を見るたびに、笑い声を聞くたびに、不安が心の中で増大していく。訳の解らない恐怖心を伴って…。
 暫らくして、ゾル大佐はムチを振るうのを止めた。
 それから又しゃがみこみ、一文字に触れる。
「!?」
 一文字の背筋を何かが急速に駆け上がった。
 自分に優しく優しく触れるゾル大佐を、声もなく一文字は見た。
 その触り方が………何とも………。
 ムチに打たれ、赤く腫れあがった箇所を、ゾル大佐は愛しそうに撫でた。
 更に―――、
「なっ!?」
 舐めた。
 ショッカー大幹部・ゾル大佐が、仮面ライダー2号・一文字隼人の肌を。
 ゆっくりと。時間をかけてじっくりと。
 その間も手は一文字の肌を弄っている。最初は一文字の左腕だけだったが、それは次第に広がっていき、一文字の上半身全体にまでいたった。
 手だけではない。舌も……。
 勿論一文字は抵抗を試みた。しかし、まともに身動きの取れない一文字のささやかな抵抗など、ゾル大佐に苦もなく押さえつけられてしまう。
 ゾル大佐の舌が、一文字の胸を這う。
「―――っ!」
 ゾル大佐に胸の突起を吸い上げられ、思わず一文字は胸を仰け反らした。
 ここまで来れば、ゾル大佐の言うとおり、嫌でも彼が何をしようとしているか解った。―――…一文字を犯そうとしているのだ。
(確かに…、こんな状況信じたくない…)
 しかし、これは現実だった。
 しかも、自分一人ではどうしようもない…。
 鎖や手錠だけの問題ではない。どうやら気を失っている間に薬を投与されたらしい。次第に体は言う事を聞かなくなっていく。
(…本郷、助けてくれ…)
 自分の相棒の姿を瞼の裏に見る。
「……本郷…」
 知らず、口からその名が漏れた。
 ゾル大佐はその言葉を待っていたかのように笑った。
「くくく…、やはり本郷を呼ぶか?」
「…やはり?」
 ゾル大佐の言い方に一文字は引っ掛かりを覚えた。
「本郷もこういう風に愛してくれるんだろう?」
 信じられない事を言う。
「優しく肌を撫でられ、奴の腕の中で身を捩るんだろう?」
「そんな訳ないだろ――――っつ!」
 今度は胸の突起を噛まれ、一文字は体をずらした。
「愛の囁きを受けながら印を付けられ……」
 ゾル大佐は一文字の胸元・鎖骨・首筋を強く吸い上げた。その後に、薔薇のつぼみのような色が付く。
「唇と唇を重ね合わせたんだろう?こんな風に…」
 そう言うと、ゾル大佐は一文字の唇に自身のそれを押し当てた。
「!?」
 歯列を割って、ゾル大佐の舌が一文字の中に侵入して来た。逃げる一文字の舌を絡めとり、持て遊ぶ。
 一文字の気が、一瞬遠くなる。
 どちらの物とも知れぬ唾液が一文字の喉をつたう。
 長く、濃厚なキスが終った時には、一文字は酸欠に陥っていた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「ふふふ。俺と本郷じゃどっちの方が上手かった?」
 元々返答など求めてはいないのだろう。ゾル大佐は間を開けずに一文字の喉元を舐め上げた。
「っくぅ」
 ゾクゾク―――っと、一文字の背中を何かが這い回る。
 堪らない。
 ゾル大佐の攻撃は止まりそうもない。
 一文字の瞳に涙が浮かんで、視界が揺れた。
「ふぅっ…」
「ふふふ………」
 一体何の為にこんな事をゾル大佐はするのだろう?
 彼は、真剣にすると言った。
 狂ったのでもなく冗談でもないと………。
(………嫌がらせ……か…)
 それが一番当たっているような気がした。

 



      ●    ●    ●

 



 ゾル大佐は込み上げて来る興奮をジッと押さえていた。
(まさか本当に叶うとは…)
実現は無理だと思っていた夢が、今、目の前にある。
 一文字の肌にくっきりと付いた蚯蚓腫れ。その赤みと一文字の肌の白さのコントラストが、ゾル大佐の欲望に火をつけていた。
 初めて一文字隼人に会った時から、ゾル大佐は彼を自分の思うままにしてみたいという欲求に駆られた。こちらをまっすぐ睨みつける端整な顔。無駄のない動きをする、バランスの取れた体。強い意志を煌めかす瞳―――。
 全てが魅力的。
 その全てを自分が汚してみたかった。
 子供達から敬愛され、女性からは憧れの瞳で見つめられる一文字隼人。
 その顔が羞恥心で歪む様が見たい。
 人を安心させる力強い声が喘ぐ様を聞きたい。
 象牙のような白い肌に赤い痕を付けたい。
 ―――欲望は尽きなかった…。
 それが今実現している。
 肩に舌を這わせながら、ゾル大佐はうっとりと一文字の顔を横目で見た。
 目を閉じ、頬を赤らめ、微かに震えている。
(そう、この表情が見たかった…。だが…まだまだだ)
 にやり―――と、意地悪く笑う。
 右腕を下半身に伸ばす。
 そろそろ良いだろう。
「っぅん!」
 鼻にかかった甘い声。
 堪らない。
 直には触らない。
 じらしてじらして、一文字の羞恥心を煽るのだ。
 体だけではない。
 心もだ。
「ああ、もうこんなになってるな。気持ち良いだろ?」
 ワザと何でもない風に言う。
(一文字にはこう言う方がキくだろう…)
 ゾル大佐の考えは当たっているようだった。
 一文字は歯を食いしばり、ゾル大佐を睨みつけてきた。
 突き刺さるような瞳。
 しかし、いつも見せるあの瞳では無い。
 涙に揺れる瞳は色っぽく、白い肌は桃色に染まり艶やかだ。
「………………っふ」
 背中を欲望と戦慄に似た何かが走りぬける。
 彼は知っているのだろうか?
(その表情が………俺を駆り立てる!)
「あぁっ」
 執拗な攻撃にうめく一文字の声が、ゾル大佐の鼓膜を打つ。
 ゾル大佐は体を一旦一文字から離した。
 現在の一文字の状態を見る。
「はぁ…はぁ…はっ…」
 思わず喘いでいる一文字に見とれる。
(だいぶ媚薬も効いてきたようだ……)
 今、一文字隼人の心の中で葛藤が起こっているに違いない。
 どんなに心で否定しても、体が次に進む事を望んでいるからだ。嫌、もしかしたら心の中のどこかも「もっとして欲しい」と思っているかもしれない。
(それは望みすぎか…)
 自嘲気味な笑いが漏れた。
 一文字隼人の気持ちは知っている。本人がどう言おうと、一文字が心から愛している人物は唯一人。―――仮面ライダー1号・本郷猛だ。
 一文字だけを見ていたゾル大佐はすぐに解った。
(IQ600の大天才。あの男がそんなに良いのか!?)
 本郷猛の顔を思い出した途端―――嫌、本郷を見る一文字の顔を思い出した途端、ゾル大佐の心に怒りの炎が燃え出した。
 完璧な嫉妬だ。
 そして、その炎は本郷猛には向かわず、一文字に襲い掛かる。
「!?」
 まだ呼吸の整っていない(媚薬のせいだ)一文字を強引にうつ伏せにすると、腰を無理矢理持ち上げた。両手は後ろで縛られたままなので、一文字は顎と両膝で体重を支えなければいけなくなった。尺取虫のような格好だ。恥かしい格好だろう。
 一文字の足を跨ぐ形で、ゾル大佐は座っていた。そこからだと一文字の顔は見れない。しかし、彼が羞恥心で顔を歪めている事は解っているので別に良い。それよりも、もっと楽しいモノがゾル大佐の目の前に有った。
 ゾル大佐は自分の考えに満足していた。
 今から自分がしようとしている行為を思いついた事に、少し誇りを感じてさえいた。
「やっ…やめろ!」
 一文字の声がますます艶っぽくなっていく。
 その一言が、ゾル大佐の心の炎に油を注いだ。
 一文字のズボンを破く。
 そこからあらわになったのは、白い肌だけではなかった。
「ふふふ…。ひくついているぞ、一文字。何か欲しそうだな」
「何も…欲しくなんかない…!」
「そうかな?ピンク色に染まり、必死に何かをねだっている様に見えるが……」
「そ…んな事は無い!」
「嫌々、遠慮しなくても結構。解っているぞ。堅い物が欲しいんだろ?……例えばこんな風な―――」
 手の届く所に置いていたムチを取り上げると、それを一文字の中に突っ込んだ。
「―――っつ!?」
「どうだ?―――…お気に召さなかったか?ああ、そうか」
 そう言うと、ゾル大佐はムチを一文字の中で動かしだした。乱暴に。
「動かさなきゃ気持ち良くならないよな?」
「あああぁっ!」
 あまり乱暴に動かしたからだろう。一文字の皮膚が切れ、血が流れ出した。
「ああ、これはすまないなぁ」
 ムチを乱暴に引き抜くと、血が流れ出している箇所にゾル大佐は唇を落とした。そして、血をゆっくりと舐め取っていく。
「あ……あっ…」
「慣らしもしない上に、濡らさないでいきなりでは、いくらなんでも痛いだけだったな。今度は充分に慣らし、濡らしてからしてやる。本郷猛のやり方とは違うだろうが、そこは多めに見てやって欲しい」
 『本郷猛』の所にだけ力を込めて言う。
「ち……ちが……」
 改造人間の回復力で、先程の一文字の傷はたちどころに治っていく。
 そこにゾル大佐は人差し指を入れた。
「あっ!」
「痛くないだろ?」
 そして、ゆっくりとかき混ぜる。
 ゾル大佐の指が一文字から出たり入ったり……。
 いやらしい音を立てて、ゾル大佐の指は一文字の体を慣らしていった。
「ああっ!……はぁっ…」
「もうそろそろかな……」
 にやりと意地悪く笑うと、ゾル大佐は指を引き抜いた。そして―――…、
「っん!」
 ズボンのチャックを下ろし、一文字のモノをやんわりと握った。
「もうだいぶ、堅く、大きくなってるな。今まで辛かったろう。すぐ楽にしてやる」
「い…いや…だ…」
「ははは、遠慮するな」
 ゾル大佐はゆっくりと、じらす様に一文字のそれを開放へと促した。手の中で愛撫し、時間をかけて…。それは、一文字の頭の中が正常な判断をしなくなるようにする為だった。
 実際、一文字は限界に近付いていた。
 ―――…心も体も。

 


      ●    ●    ●

 



「隼人はどうした?」
 本郷猛は不思議そうに聞いた。
「え?一文字さん?そう言えば見てないですね…」
 本郷の問いに、風見志郎は掃除の手を休めて答えた。
 仮面ライダー1号・本郷猛から7号こと、ストロンガー・城茂までの七人は、本郷猛が所有する屋敷で一緒に生活していた。
 今日は月に一度の大掃除の日。
 そこで、皆揃って掃除中なのだが―――…。
「一文字さん、夕食の買出しにでも行ったんじゃないですか?」
 風見は最もありそうな事を口にしてみた。
「ふん…」
「何か引っかかる事でもあるんですか?」
「嫌、何もないんだが………」
「?」
(胸がざわつくような気がしたが………)
「……すまんな、気のせいだろ。さ、続きをしよう」
 本郷は雑巾を絞り、廊下を拭きだした。

 


      ●    ●    ●

 



「ああぁっ!」
 殺風景な狭い部屋に、一文字の声が響いた。
 ゾル大佐の掌に、一文字がはき出した『欲望』がべっとりとついた。
「ふふふ。すっきりしたろ?…だが、ここでへばってもらっては困る」
 ゾル大佐は、自分の手についている液体を、一文字の中へと押し込んだ。
「っあぁ…」
 そして、音お立てながら、馴染ませるように捏ねくりまわす。
(……よし)
 頃合を見ると、ゾル大佐は何も言わず、いきなり高ぶった自身のモノを一文字の中へ突っ込んだ。―――…一文字の悲鳴が上がる。
「あっ…あ…」
 荒々しく乱暴に、ゾル大佐は腰を動かした。その度に部屋中にねちゃぬちゃ―――と、いう音が響く。
 ゾル大佐の興奮は、今、絶頂を迎えようとしていた。
(一文字隼人の中に俺はいる……。一文字の中に!俺が!)
 それだけで―――その事実を確認するだけで、ゾル大佐は何とも言えない幸福感と高揚感を感じた。
「っう…」
 ゾル大佐は、一文字の中に『欲望』を解き放った。
 一文字もそのことは分ったらしく、ビクビクっと、体を震わせる。
 ゾル大佐は休める事無く、又、激しく腰を動かしだした。
 微かな一文字の反応で、驚いている事が解った。
(一回や二回で終われるものか!)
 一文字の中に自分が入っている。
 その事実だけで、ゾル大佐は後数回はイけそうだった。
 時たま一文字のモノを愛撫しながら、ゾル大佐は何度も何度も腰を振った。
(死神博士に感謝しなくてはな…)
 頭の隅で、ぼんやりとゾル大佐は思った。
 元々、この作戦の発案者はゾル大佐ではなく、死神博士だ。
 死神博士は、ショッカー科学陣から大幹部になった優秀な科学者で、ショッカー大幹部の中でも最高年齢者だ。精神をいたぶる作戦を得意とする。
 ある日、死神博士はひとつの計画を持ち出した。
 そして、その計画の実行者として、ゾル大佐の名を上げた。
 初め、計画の内容を全く知らなかった頃、何故自慢の改造人間を使おうとしないのだろうと訝った。しかし、その計画の趣旨たるを聞くと、「死神博士の目は節穴じゃなかった、と言う事だな」―――と、納得した。
(自分以外にこの計画を本当の意味で成功させる奴はいないだろう…)
 その計画の目的は―――仮面ライダー共のリーダー・本郷猛と副リーダー・一文字隼人に強烈な精神的ショックを与える事だ。
 それにより、仮面ライダー共に揺らぎを生じさせ、その隙にいっきに攻め込むというのだ。
 そして、その精神的ショックを味あわせる手段として、死神博士は―――ゾル大佐が一文字を犯し、いたぶるという案を出したのだ。
 ゾル大佐からしてみれば、願ったり叶ったり。
(まぁ、あのジジイもスキモノだって事なんだろうな)
 カメラが何台も置いてあるのも、死神博士が命令したからだった。「撮られていると思うと、余計に心に傷がつくものだ」―――とか何とか言って。
 ちなみに、カメラは実際回っている。
 ゾル大佐は、何度も一文字の中に『欲望』をぶちまけた。
「はぁ……あぁ……」
 一文字は疲れきっており、例え鎖や手錠を外したとて、逃げようとする事も出来ないだろう。
 何度目かの『欲望』をぶちまけ終わった後。ゾル大佐は一文字の中から出た。
 ゾル大佐も流石に疲れ、呼吸が荒い。
 一文字は体を震わせ、先程までゾル大佐が入っていた穴から、彼の『欲望』を滴らせていた。その感触が、又、一文字の性感帯を刺激しているのだろう。ビクリ―――と体が震えている。
 そんな様子を眺めながら、ゾル大佐はほくそえんだ。
「どうやらお腹いっぱいになったみたいだな…」
 指で穴を広げ、更に『欲望』を滴らせる。
 アドレナリンの出すぎで、頭痛がしていた。
 一文字は体をひくつかせる。
「…だが、まだ終らない…」
 ゾル大佐は、地を這う蛇を連想させる声音で言った。

 

 


 

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