檄!電脳雑戯団 |
裏Qさん投稿作品
「はっ! えぇいっ!」
ゴーグルピンクの振るうピンクリボンが、デスダークの下級戦闘員マダラマンを次々と打ち倒していく。新体操によって養われた彼女の華麗な身軽さは、敵に包囲されていようとも、全く損なわれる事がなかった。結果、無数にいると思われたマダラマンも、ほんの数秒で全てが地面に転がる事となったのである。
「さあヘビモズー! さらった人達はどこ!? すぐに帰しなさい!」
ただ一人残った蛇の頭の怪人にリボンの柄を突きつけ、ゴーグルピンクは凛とした声で言い放つ。
「チッ!」
ヘビモズーは答えなかった。ただ小さく舌打ちして、その場から身を翻す。
「待ちなさい!」
ゴーグルピンクは迷わず、彼の後を追った。
ヘビモズーの足は速くない。ゴーグルピンクを振り切れない焦りからか、時折後ろを振り返りつつ、彼は転がるように近くの倉庫へと入っていく。
ゴーグルピンクもその入り口に飛び込んだ。
倉庫の中は暗かったが、自動的にマスクの装置が作動して、視界を適度なものに修正してくれる。
そして、ゴーグルピンクは見た。
「なっ……!?」
そこはまるで地獄であった。
正面の壁を半透明の肉のようなものが覆い、何人もの人々を内へ取り込んでいる。
「うああ……」「助けて……」
透けて見える肉の奥には、男も女もいた。どのような力が働いているのか、皆、一様に苦悶の声を漏らしている。
「待ってて! 今……!」
ゴーグルピンクは駆け寄ろうとした。だが――。
「ぐあああっ」「やめてくれぇっ!」
途端に人々の苦しみ方がひどくなる。
「……っ」ゴーグルピンクは慌てて足を止めた。
「そうだ、この人間達はお前の判断一つで苦しみが変わる」
柱の陰からヘビモズーが姿を現した。尊大に腕を組むその姿に、さっきの追い詰められた様子は残っていない。
自分はここに誘い込まれたのだ、そうゴーグルピンクは悟った。
直後、ガシャンッと大きな音を立てて、入り口のシャッターが閉ざされる。
「くっ!」
「どうする? 今、お前が言うとおりにしなければ、この場にいる人間どもは一瞬で死ぬ事になる」
「わたしに……何をしろって言うの?」
「まずは変身を解いて貰おうか」
「…………。分かったわ」
他にいい方法は思いつかない。ゴーグルピンクは言われるまま、素顔の桃園ミキへと戻る。
「クックック、賢明な判断だ」
ヘビモズーは大きく裂けた口の奥に、先の割れた舌を覗かせながら笑った。
数分後、レオタードに着替えさせられたミキは、マダラマンやヘビモズーに囲まれる中、音楽に合わせてリボンを振っていた。
ゴーグルファイブに入る前は、新体操で世界を目指していたミキの事。レオタードなど着慣れているし、今やらされている演技も初歩的なものである。これだけならばこなすのに問題はなかった。
しかし……。
「はぁっ……はぁっはぁっ……はくっ」
彼女の頬は紅潮し、額は汗ばみ、息も異常に荒くなっていた。
……股間に太くて長いバイブを突っ込まれているのだ。
卑猥な道具は、膣内で絶えずグリグリと蠢いており、しかもレオタードまでが、その弾力でバイブの根元を圧迫し、より奥の方へ奥の方へと押し込んでくる。
床を蹴って跳躍し、リボンを回しながら自分も上体を後ろへ捻る。そんな一挙手一投足の度に、襞とバイブは強く擦れ合うのだった。
「はくっ……んっうっ!」
(ダメッ……負けてはダメッ! 何とかあいつらの隙を見つけて、みんなを助け出さなくちゃ……っ!)
へたり込みそうになるのを堪え、必死に自分へ言い聞かせる。
「いい様だな。バイブ付きでの練習は初めてか?」
ヘビモズーが当たり前の事を尋ねてくる。
それをあえて無視しながら、ミキは動き続けた。
「乳首が立ってるんじゃないか?」
「……んぅっ!」
乳首もまた身を動かす事で、レオタードにキュッと締められ、望まぬ刺激を受けている。
「感じるんだろう? 見られて興奮してしまっているんだろう?」
ヘビモズーの言葉はそれ自体が毒を持っているように、ジワジワとミキの心を侵した。
反撃の糸口を求めて敵の言うなりになったはずが、今やミキは新体操をするだけで精一杯になっていたのである。
「はっ、くっ……んっ、あっ」
(ああ……あともう少しで音楽が終わる……)
フィニッシュが近付くと、ミキの心は状況が何も好転していないというのに、僅かな緩みを見せてしまった。
それはヘビモズーにとって、絶好の狙い目となる。
ウィィィィンッ!
「あくっ!? やぁぁぁあっ!」
遠隔操作で突然バイブの運動が激しくなり、ミキは背を大きく仰け反らせた。バランスを崩し、尻餅まで搗いてしまう。
それがバイブに新たな振動を伝えた。
「あひいいいいいいっ!?」
一たまりもなく、ミキは床の上に倒れた。そうしてなおも悶える。
もはや演技どころではなかった。何とかレオタードの下部を横にずらし、バイブを抜こうとするが、どうしても上手くいかない。
「抜いてっ……! あぁぁんっ! 早く抜いてぇぇぇっ!」
「何とも恥知らずな格好だな。新体操ってのは、そんなに気持ちいいものなのか?」
「いやっ……やあああっ!」
「ちゃんと答えろよ。本当は人前で発表する度に、欲情してたんだろう」
「違うっ……わたしっそんなんじゃっ……!」
「フン」
バイブのパワーが一気に上げられた。
「ああああああああああっ!!」
言い表せないほどの痺れがミキを襲う。
「止めてっ……止めてっ、止めてぇぇぇぇっ! ひあっ……擦れっ……ああああんっ! はっ……ああっ……やっ……いやぁぁぁっ……!」
ミキはまともに言葉を発する事もできなかった。切れ切れの喘ぎが、涎にまみれた口から溢れる。
「もうっ……あああっ……もうっだっ……あっ……だっ……めっ……あぁぁくっ……ああっ……ああああああーーーーーーーっ!!」
迎えてしまった絶頂に、ミキの細い腰が浮き上がった。
だが、バイブは止まってくれない。なおも彼女を嬲り続ける。
「あっ……かっ……あはっ……!」
まるで酸欠にでもなったように、いっぱいに開かれた唇がワナワナと震えた。しかし程なく、あられもないよがり声は再開される。
イッてしまった事でますます敏感になった彼女は、すでに正義の戦士ゴーグルピンクでも、新体操に情熱を燃やす桃園ミキでもなかった。
ヘビモズーの哀れな玩具だ。
人質の救出さえ考える事ができない。
「ひあああっ……熱いっ……熱いのっ……あああっ……うっ……ああああんっ! はっ……ああっ……ああっ!?」
顔の上に影が差すのを感じて、ミキは涙交じりの目線をさまよわせた。
「はひっ……ひぃぃぃっ!」
恐怖に喉が鳴る。
周囲に来ていたのは、数体のマダラマンだった。股間は……どれも勃起している。
「ひやっ……やあああっ! 来なっ……でぇぇぇっ!」
ミキは仰向けになったまま、ずり上がって逃げようとした。だが、すぐマダラマンの足に、頭がぶつかってしまう。
マダラマン達は身を屈め、一斉に何本もの手を伸ばしてきた。
醜悪な戦闘員とその掌で、ミキの視界はいっぱいになる。
「やあああああああああっ!」
悲痛な絶叫が倉庫内にこだました。
彼女の悪夢はまだまだ終わらない……。
<進む>