クィディッチの優勝杯を獲得し、有頂天のロン。(これで将来首席になったらみぞの鏡で見たことが実現することになりますね! そこまではないでしょうけど……)
ですが、実は試合を見ていなかったことを告白するハリーとハーちゃん。ロンがっかりです。ですが事情を聞いて、がっかりしているどころではないことが彼にもわかったようです。ほんとにハグリッドは困った人だ……
ですが、まずは目前に迫ったOWL試験があるので、ハグリッドの異父弟問題はひとまず先送りです。いろいろ怪情報が飛び交ったり、怪しげな薬が出回ったりしているようですね。試験にはつきもの。結果は7月にふくろう便で届くということです。ディーンは休暇までは試験のことを心配しないで済むとか言ってますが、早く結果がわかった方が気が楽だと思うんですけどねぇ。
とうとう試験の日がやってきます。最初の科目は Theory of Charm 。「妖精の魔法」と訳されていますね。単に呪文でいいような気もしますが。(大事典で確認したところ、現在は「呪文学」と訳されているようです) まずはペーパーテストがあり、それから実技のテストを行う、という順番のようです。ハリーはそんなに悪い出来ではなかった感じですね。それから変身術(これは失敗したみたい)、薬草学、闇の魔術に対する防衛術と続きます。もちろんこれはばっちりで、パトローナスも喚びだしてボーナス得点をもらったようです。(ルーピン先生に感謝しないとね!) その翌日の金曜日はハリーとロンは試験がなく、ハーマイオニーは古代ルーン文字の試験でした。ハーちゃんは訳をミスして気が立っている様子。土日は試験勉強をし、月曜日は最大の問題教科、魔法薬学です。でも、グリフィンドール生達はスネイプ先生がにらみをきかせていない状況の方がうまくできるようで、ネビルも今まで一番よくできたようです。その次が魔法生物学、天文学のペーパーテスト、予言学(ハーちゃんは数秘学)ときまして、次は天文学の実技です。
もちろん夜に行われ、星図を書く実技のようでしたが、その最中に事件が起こりました。ハグリッドの小屋がUmbridgeの部下と思われる連中に襲撃されたのです。止めようとしたマクゴナガル先生がStunning Spellを受けて倒れ、ハグリッドは逃亡……という結果に。ハリー達はそれを屋上から目撃したのですが、どうすることもできませんでした。結構マクゴナガル先生好きの私としては、どうなることか心配でしたが、先生はマダム・ポンフリーの手当を受けて無事なようでよかったです〜(そしてここで、死ぬのが誰かという問題に関して、ハグリッドとマクゴナガル先生が除外された訳です)
最後は魔法史のテスト。これはペーパーだけです。ハリーは答えを思い出そうとしている内に、何だか思い出しているというより、目を閉じると自然に答えが浮かび上がってくるような感じになってきます。そして、いつの間にか例の夢の廊下にいて、黒いドアを開けて進んで行き……ハリーが目にしたのは、ヴォルデモートに捉えられて拷問を受けているシリウスの姿でした!
というところで、この章は終わりです。
(私が心配のあまり続きが気になって気になって堪らなくなったことはご理解いただけるでしょう)
試験会場で倒れた形になったハリーは試験監督に医務室に連れて行かれそうになるのですが、大丈夫だから試験に戻りたいと頼み、戻る振りをして一人で医務室に向かってマクゴナガル先生に緊急事態を伝えようとするのですが、先生は重傷のため聖マンゴス病院に移送されてしまっていました。
大人では誰も頼れる人がいないと悟ったハリーはロンとハーマイオニーに相談するために引き返します。ハーちゃんはヴォルデモートが真昼の魔法省にいるなどという事態はあり得ないんじゃないかと疑問を持ちますが、冷静さを失っているハリーをうまく落ち着かせることができません。そこへ、ハリーの声を聞きつけたジニーちゃんとルナが登場。彼女達の協力を得て、再びUmbridgeの留守を狙って暖炉を使う作戦を実行します。
ロンがピーブスが悪さをしているという偽情報でUmbridgeを別の校舎に向かわせ、ジニーちゃんとルナが見張りをしている間、ハリーとハーちゃんがUmbridgeの部屋の暖炉を使ってアジトにシリウスがいないかどうかを確かめようとします。アジトの暖炉のそばにいたのは屋敷しもべ妖精のKreacherだけで、彼は「マスターは行ってしまった」と言います。ハリーは更に問いつめ、Kreacherが「マスターはDepartment of Mysteriesから帰って来ないでしょう!」と答えたため、ハリーはシリウスがそこで捉えられていると確信してしまうのです。(許すまじ、Kreacher!)
ですが、そこで突然ハリーは引き戻されます。Umbridgeが戻って来てしまったのですね。生徒達のいたずらでNifflerを部屋に投げ込まれて以来、侵入を察知する魔法をかけていたようです。彼女の手下のスリザリン生達によって、他のみんなもつかまってしまいます。
ハリーはシラを切り通そうとしますが、もちろんそんなことが通用する訳がありません。Umbridgeは自白薬を持ってこさせるためにマルフォイにスネイプ先生を呼びに行かせるのですが、ここでようやっとハリーはスネイプ先生もフェニックス騎士団の一員であることを思い出します。(この二人が日頃からもうちょっと友好的だったら、事態は変わっていたんでしょうけどね……)
呼ばれてきたスネイプ先生は、自白薬は以前に渡したもので全部で、新たにつくるには一月かかると言います。ハリーはスネイプ先生が自分の思考を読み取ってくれないかと期待するのですが、そんな素振りはちっとも見られないので、ハリーは「彼がパッドフットをつかまえた!」と叫びます。スネイプ先生は何のことかわからないと言って立ち去ってしまうのですが……
Umbridgeは薬がないなら実力行使と、許されざる呪文をハリーにかけて拷問しようとします。ハーちゃんにそれは違法だと指摘され、Umbridgeはコーネリアス・ファッジは自分が知らないことは気に掛けない、自分がディメンターをハリーの元に行かせたことも知らないのだからと嘯きます。犯人はこの人だったのですね〜 それでハーちゃんは、彼女に話すべきだと言い出します。
ですがハーちゃんのことですから、それはもちろん計略でした。ハーちゃんは連絡を取ろうとしたのはダンブルドアで、秘密兵器の準備ができたことを伝えようとしたのだと言います。そして、兵器のあるところに案内するという名目で、Umbridgeを外に誘い出すことに成功するのです。
さて、ハーちゃんの計略とは……それは次章で明らかに。
第33章(2003.8.31読 2003.9.4書)
さて、ハーちゃんは禁じられた森へとUmbridgeを導いて行きます。ハリーは訳がわからないながらもついて行きます。杖も持たずに森に入っていくなんて無謀だと思いながらも。
ハグリッドの弟のところに連れて行くのかと思いきや、そうではないようです。どうやら、2年生のとき巨大蜘蛛のアラゴクと遭遇したのと同じ道のようで……ハリーは心配になってこれで正しい道なのかと聞きますが、ハーちゃんはそうよと答えるばかり。
そうこうしているうちに蹄の音が聞こえてきて、ケンタウロス達が姿を現しました。ハーちゃんの狙いはこれだったのですね。人間至上主義のUmbridgeのことですから、当然ケンタウロス達に対して不遜な態度を取ります。それがケンタウロス達を激怒させ、彼女はケンタウロスにつかみ上げられ、連れ去られてしまいました。
しかし、ケンタウロスの怒りはハリー達にも向けられました。Umbridgeをやっつけるために彼らを利用したも同然ですものね。私も、このハーちゃんのやり方はうまくなかったと思いますよ。
そこにハグリッドの弟Grawpが登場。彼はいなくなったハグリッドを探していたのですね。ちょっとは英語っぽいものを話せるようになってますし、ハーマイオニーのことも覚えていました。ですが、彼はケンタウロス達に矢を射かけられ、逃げ出していきます。
結果的に彼がケンタウロス達を引き受けてくれた形になってハリー達は助かるのですが、杖を奪われ、シリウスを助けにロンドンまで行く手段がないことに変わりはありません。そこへ、スリザリン生達をやっつけたロン、ジニー、ネビル、ルナが合流。ロンはジニーちゃんに来ちゃダメだと言うんですが、もちろんジニーちゃんはそんなこと聞き入れません。彼女には、双子と同じ血を感じますね。ネビルも、これは例のあの人と戦う初めてのチャンスなんだから自分達も行くべきだと言い、勇気のあるところを示します。この子はほんとに成長しましたね〜 そして、ルナがThestralに乗って行くことを提案します。Grawpがケンタウロス達に射られて流れた血の匂いをかぎつけて、彼らが集まってきていたのです。どんどん集まってきて全員が乗れる数がそろったので、結局6人そろって魔法省へと向かうことになりました。
以下次章。(この章はかなり短かったですね)
第34章(2003.8.31読 2003.9.5〜6書)
さて、いよいよ魔法省 Department of Mysteries へ乗り込みます。
Thestralは死を見たことのある人にしか見えませんので、ロンとジニーとハーちゃんはルナに乗るのを手伝ってもらいました。Thestralの乗り心地はイマイチだったみたいですね。(ヒッポグリフとどっちがいいんだろう?)
魔法省へは、やはり電話ボックスで名前を言って、ビジター用のバッジをもらって地下へ向かいます。この辺は予想外にスムース。ハリーは魔法省訪問理由を to save someone とか言ったら、バッジには Rescue Mission とか書かれてましたし。エントランスホールで杖を預けなきゃならないかとも思ったんですが、そこは無人で咎められることはありませんでしたし。ハリーはこれは悪いことが起こっている証に違いないと思って更に焦るのですが。
ともかくエレベーターで Department of Mysteries のある階に行き、ハリーが夢で見た黒いドアを目指します。ですが、円形状の部屋に同じ様なドアが12個あり、どれがそのドアなのかわかりません。しかも入ってきたドアを閉めると壁が回りだしてドアがシャッフルされ、入ってきたドアがどれなのかもわからなくなってしまったのでした。とりあえずドアを開けてみれば正しい道がどれかわかると思い、適当なドアを開けてみます。
最初の部屋には緑色の液体が満たされた大きな水槽があり、何か白いものが漂っていました。それは何と人間の脳!(SFチック……)
早々にこの部屋からは退散し、ハーちゃんが魔法でそのドアに記しを付け、別のドアを試します。次は円形劇場か法廷のような部屋。円形劇場の舞台に相当する場所には石の演壇があり、その上には古びたアーチ型の門が。門には黒いヴェールがかかていて、今ちょうど誰かが通り抜けたばかりであるかのように翻っていました。誰かいるのかと思い、ハリーはシリウスの名を呼びますが、返事はありません。それでもハリーは人の気配を感じて門へ近付こうとするのですが、ハーマイオニーに止められて戻ることにします。ハーマイオニーは脳の部屋の時よりも怯えた様子で……何となくここ、不吉な感じがしましたよね。
次に開けようとしたドアには鍵がかかっていました。ハーちゃんのアロホモラ呪文も効かず、シリウスがくれたどんな鍵でも開けられるナイフも溶けてしまいます。そこを諦めて隣りのドアを開けると、そこが正しい道でした。
この部屋の描写、よくイメージがわかないんですけど……水晶でできたベルがいくつも縦に連なって並んでるんでしょうか? どなたか解説してくださらないかしら…… そこを通り抜けると教会のように天井が高く、ガラスの珠のようなものが収められた棚が並んでいる部屋にたどり着きます。ハリーが夢で見たのは97番の棚だったので、みんなでそれを探します。棚の番号を数えながら、何も物音がしないのでハリーはシリウスがもう死んでしまったんだろうかと不安になります。そして、97番の棚の前に着きますが、そこには誰もいませんでした。
ですが、ロンがその棚にある珠にハリーの名前が書いてあるのを発見します。曰く、"S.P.T. to A.P.W.B.D. Dark Lord and (?)Harry Potter" (この意味することは、この感想を書いている間にやっとちゃんとわかりました。前半が何のことか、最初は考えもしなかったんですけどね。ヒントは第8章にあります)
ハーマイオニーとネビルが止めたのですが、ハリーは何かが起こることを期待してその珠を手に取ってしまいます。
しかし予想に反して何も起こらず、みんなはそれをもっとよく見ようとハリーの周りに集まります。
その時、彼らの背後から声が!
「よくやった、ポッター。さあ、大人しくゆっくりこちらを向いて、それを私に渡したまえ」(こんな感じですか?)
この声の主が誰なのかは、次章で明らかに。
ここから先は、読了した方か、本当に覚悟を決めた方だけ読んでください。
半端な覚悟で読むと後悔必須です。
ここまでにしておこうと思った方は、入り口の方へお戻りください。
第35章(2003.8.31読 2003.9.6〜7書)
(いよいよです……)
声の主はルシウス・マルフォイでした。そして、彼と一緒に幾人ものデス・イーターが杖を構えて登場。ハリー達、大ピンチです!
ルシウスはガラスの珠のことを prophecy と言いました。つまり、予言ですね。その中に予言が保存されているということでしょうか?
そして、デス・イーター達の中にはあの憎き Bellatrix Restrange が! ネビルの両親を拷問したヤツですよ! シリウスの従姉妹であることも判明してますが……
ハリーはここにシリウスがいないのなら友達を無意味に危険にさらしてしまったことになると思い、何とか切り抜けようと考えを巡らせます。デス・イーター達はこのガラス珠がほしいみたいだけど、僕はこんなものに何の興味もない。それよりもみんなを生きて帰さなければ……
ハリー、もし僕らの中の誰かを攻撃しようとするならこれを粉々にするぞと啖呵を切ります。そして、とにかくしゃべり続けて時間を稼ごうと、何についての予言なのかと尋ねます。そして、ハリーがなぜヴォルデモートがそれを欲しがっているのかと言うと、Bellatrixはその名を口にするなと怒ります。ハリーはヴォルデモートも自分と同じように混血なのを知らないのかと言って怒りをあおります。
Bellatrixはかっとなってハリーを攻撃しようとするのですが、ルシウスは予言を失う訳にはいかないと止めます。ハリーはルシウスと会話を続けながら、背後にいるハーマイオニーに僕が今だと言ったら棚を壊してとこっそり告げます。
予言はヴォルデモートとハリーについてのものであり、それがヴォルデモートが赤ん坊のハリーを殺そうとし、よってハリーの両親の死をももたらしたものであることに思い至って、内容が気になってくるハリーですが、それは後回しにして、頃合いを見て「今だ!」と合図。
その途端、5人が一斉に魔法で棚を壊し、ガラス珠が砕けて飛び散ります。すかさずハリーが「走れ!」と叫び、ハリー自身もハーマイオニーを引っ張って走り出します。
逃げている間にロン、ジニー、ルナとははぐれてしまいましたが、追ってくるデス・イーター達に対抗するので精一杯。奮戦しますが、まずハーマイオニーがデス・イーターの放った紫色の炎のようなものを胸に受けて倒れてしまいます。ネビルも頭を殴られて杖を折られ、戦えるのはハリーだけに。何とか隙をついて金縛りの魔法をかけてその場にいた敵は倒しますが、追っ手はまだ他にもいます。ネビルと協力して気絶したままのハーちゃんを支え、用心しながら他のメンバーを探します。
程なく他の3人とも合流できたのですが、ジニーちゃんが足首を負傷し、ロンは何かの魔法をくらって錯乱状態。そんなところでBellatrixと3人のデス・イーターに追いつかれてしまいます。手近な部屋に逃げ込み、ドアを魔法で塞ごうとするのですが、別の入り口から入ってきたデス・イーターにルナがはじき飛ばされてしまいます。そこは例の脳の部屋で、錯乱したロンがAccioで脳を呼び寄せてしまい、その脳が触手のようになってロンに巻き付き、大混乱。5巻のロンってとことんいいとこありませんね………(監督生になったし、クィディッチ優勝杯も獲得したというのに、影薄いし……ルーピン先生が出てくるまではロンのファンだった私としてはちょっと不満) それに気を取られたジニーちゃんもデス・イーターの魔法を受けて倒れてしまいます。ネビルは必死に失神呪文を唱えますが、殴られて鼻が折れたために発音がおかしくなっていて、呪文が効きません。
ハリーは何とかデス・イーターの注意を逸らそうと、予言の珠を頭上に掲げました。そしてデス・イーター達をみんなから引き離すために走り、円形劇場のような部屋にたどり着いて演壇の上に上がります。そこでハリーはみんなを逃がすならこれを渡すと言いますが、ルシウスはそんな駆け引きができる立場かと嘲笑います。10人のデス・イーターに対してハリーはたった一人。圧倒的に不利な状況です。そこへネビルがハリーを助けようと駆けつけてきました。彼は本当に勇敢になりましたね! 自分の両親を廃人にしたBellatrixに敢然と立ち向かっていきます。でも、ネビルは拷問呪文をかけられて、ハリーは予言を渡さないと友人がひどく苦しんで死ぬことになると脅されてしまうんですが……
その時、シリウス、ルーピン先生、ムーディ先生、Tonks、Kingsleyの5人が駆けつけて来てくれます。やっと来てくれた!って感じでしたね〜
彼らがデス・イーター達と戦っている間に、ハリーはネビルを助け起こし、彼が無事であることを確かめますが、その隙に背後から首を締め上げられてしまいます。しかし、ネビルが折れた自分の杖の替わりに持っていたハーマイオニーの杖で敵の目を突き、その痛みに苦しんでいる間にハリーは拘束から抜け出し、敵に失神呪文をかけることができました。ちなみに、その敵はバックビークを殺そうとしたマクネアでした。(彼は一応魔法省の役人だったはずですが、所詮はルシウス・マルフォイの手下ですからね)
ですが、またしてもデス・イーターがハリー達に迫ります。ネビルはTrantallegraをかけられて足が勝手に踊り出してしまい、ハリーも魔法で打ち倒されますが、咄嗟にシールド呪文を唱えたのでひどい怪我は免れました。そこへシリウスが駆けつけて敵と戦い、その間にハリーが隙をついて金縛り魔法をかけて敵を戦闘不能に。偽親子初の連携プレイです! 'Nice one!'と言った時のシリウス、うれしかったでしょうね。場合が場合だけに大っぴらに喜ぶ訳にもいかず、すぐにハリーにネビルを連れて逃げるように指示するのですが。
シリウスはTonksがBellatrix相手に苦戦しているのを見てそちらに駆けつけ、ハリーはまだ足にかけられた魔法が解けずに歩けないネビル助けて逃げようとしますが、今度はルシウスが追いついてきます。ハリーは予言の珠をネビルに渡し、ルシウスに妨害の呪文をかけます。ルシウスは跳ね飛ばされますが、再びハリーとネビルに杖を向けます。そこへ立ちふさがったのがルーピン先生!
ハリーはネビルを連れて逃げようとしますが、ネビルのローブを引っ張った弾みで彼のポケットにあった予言の珠が落ち、魔法で勝手に動くネビルの足がそれを蹴ってしまい……かくして、予言の珠は粉々に割れてしまったのでした。予言を聞き取ることもできずに。
ですが、余り予言には拘っていなかったハリーは気を取り直してまた逃げようとしますが、そこへ今度はダンブルドア校長が駆けつけてきてくれます。
ダンブルドアの到着を知ってデス・イーター達は逃げだそうとしますが、シリウスとBellatrixはまだ戦っていました。
……ここからは、いつもの調子で書こうとするのはとても無理なので、翻訳調で書かせていただきます。
ハリーは、シリウスがベラトリクスの放った赤い光を避けるのを見た。彼は彼女に笑ってみせた。
「おい、もっとうまくやれるだろ!」と彼は怒鳴り、彼の声は大きくくぼんだ部屋中にこだました。
二度目の光が、真っ直ぐに彼の胸を打った。
彼の顔から笑いが消え、彼の目は衝撃に見開かれた。
ハリーは、自分でも気が付かないうちにネビルを放していた。彼は杖を引き抜きながら再び階段を駆け下りた。ダンブルドアもまた、演壇へ向かった。
シリウスが落ちていくのに、ひどく長い時間がかかったように感じられた。彼の体はきれいな弧を描き、アーチにかけられた破れたヴェールを通り抜けて後ろへ沈んでいった。
ハリーは、彼の名付け親のやつれた、かつてはハンサムだった顔に、怖れと驚きの入り交じった表情が浮かぶのを見た。彼は古めかしい門を通り抜け、ヴェールの向こうに消えてしまった。ヴェールは強い風が吹いたかのように一瞬はためき、それから元の場所に戻った。
ハリーは、ベラトリクス・レストレンジが勝利の叫びを上げるのを聞いた。だが、それが何を意味するかはわからなかった。シリウスはただ門を通って落ちただけだ。すぐに向こう側から戻ってくる……
だが、シリウスは戻って来なかった。
「シリウス!」ハリーは叫んだ。「シリウス!」
彼は息を切らしながら床に下りた。シリウスはカーテンの向こうにいるんだ。彼を引き戻すんだ……
しかし、彼が演壇の方へ駆けて行こうとした時、ルーピンがハリーを抱き留めて押し止めた。
「君にできることは何もない、ハリー」
「シリウスを助けて! 通り抜けて行ってしまっただけなんだから!」
「――もう遅いんだ、ハリー」
「まだ間に合う――」ハリーはひどくもがいたが、ルーピンは行かせようとしなかった。
「君にできることは何もない、ハリー……何も……彼は行ってしまった」
呆然としました。それから、続きを読まないでは治まらないと思いました。
第36章(2003.8.31読 2003.9.8〜9書)
5巻ではハリーの身近でお馴染みに登場人物が死ぬという前情報は聞いていたので、彼の死そのものに疑いを抱くということはありませんでした。ですが、彼かもしれないという予感は31章でうっすらと感じたものの、章が進むにつれてそういう心配は脇に置いておいて夢中でストーリーを追っていたので、余りにも突然にあっさりとそれが起こってしまって、一瞬呆然とし、それから、これはもう読了しなければ気持ちが治まらないと思い、憤然と読み進めた訳です。
(こうして訳してみますと、先生ははっきり「シリウスは死んだ」とは言っていないのですね。受けた攻撃は致命傷ではなかったみたいですし。でも、察しますに、あのヴェールのかかった門が、死に直結するようなものだったのでしょうね。それこそ審判の門そのものか、この世の何処でもないところに通じているか。先生の態度からして、そう考えるしかないという気がします……)
シリウスが死んだとはどうしても信じられないハリーは、ルーピン先生の手から抜け出そうとしてもがき続けていました。でも、心の何処かでは、どんな時でも自分を助けようとしてくれたシリウスが、こんなに呼んでいるのに戻って来ないのは、もう彼がそうできなくなってしまったからだとわかっていたのですね。
その間に、ダンブルドア校長は捉えたデス・イーター達を部屋の中央に集め、ムーディー先生はTonksの手当をし、Kingsleyはベラトリクスと戦っていました。
ハリーが暴れるのを止めると、ルーピン先生はネビルの足を治してやり、他のみんなを探しに行こうと言います。平静を装うとしながらも、喪失の痛みを隠しきれない様子が痛々しいです……
ですが、そんな先生の気も知らず、ハリーはベラトリクスが逃げ出そうとしているのを見て、先生を振り切って追いかけて行ってしまいます。ロン達とすれ違うのですが声もかけず、廊下を駆け抜けてエレベーターに駆け込み、エントランスホールへ。
エレベーターを下りて見回すと、ベラトリクスは既にホールの端まで逃げてしまっていましたが、ハリーが追って来るのに気が付くと攻撃をしかけてきます。ハリーも頭に血が昇ってしまっているので、許されざる呪文であるCrucioで応戦。しかし、それはベラトリクスに跳ね返されてしまいます。
ベラトリクスは予言を渡せば助けてやると言いますが、ハリーはあれはなくなってしまったんだから、あなたは僕は殺さなければならないと答えます。と、ハリーの額に痛みが走ります。それでヴォルデモートも予言が失われたことを知ったとわかり、ハリーはベラトリクスにそう告げます。嘲るように。
それが真実であることを悟り、ベラトリクスが主の怒りを怖れて取り乱し出したところに、とうとうヴォルデモートが登場しました。
ヴォルデモートは弁解しようとするベラトリクスは無視し、ハリーに向けてAvada Kedavraを唱えます。
そこへダンブルドア校長が駆けつけ、噴水の黄金像を壊して魔法の盾にしてハリーを救い、ヴォルデモートと対峙します。(ところでダンブルドア校長はヴォルデモートのことをトムと呼ぶんですね。まあ、教え子ですものね……)
この辺りの魔法戦のことを書き連ねると、前章同様恐ろしく長くなってしまいますので、翻訳を待つとして割愛します。(ちょっと訳のわからない部分も多いし……) ともかくも、ヴォルデモートは去り、魔法省の役人達が駆けつけてきます。ダンブルドアは事の次第をファッジに説明し、話し合うこととなり、ハリーには先にホグワーツに戻っているように言います。ダンブルドアは黄金像の壊れた頭部をポートキーにして、ハリーはホグワーツへと戻ることになったのでした。
では、以下次章。
第37章(2003.8.31読 2003.9.9〜10書)
ポートキーで着いた場所は校長室でした。一人になって、シリウスが死んだのは自分のせいだと己を責めるハリー。
もう耐えられないと思っていた時に、ハリーの名を呼ぶ声が聞こえました。シリウスの曾々祖父に当たるPhineas Nigellusの肖像画からの声でした。彼はシリウスの死を知らず、ダンブルドアが何かの用事でハリーを寄越したのかと不機嫌そうに話しかけてくるのですが、ハリーはとても本当のことは言えずに黙っていると、ダンブルドアが戻ってきます。
ダンブルドアは他のみんなが無事であることを告げ、ハリーの気持ちはわかると言いますが、ハリーのやりきれない思いは癒えず、逆上してダンブルドアの机の上のものを投げ落としたり、もう終わりにしたいと叫んだり…… ですがダンブルドアは、シリウスの死は自分のせいだと言うのでした。
そして、ブラック家の最後の一人の死を知ったPhineasさんは、信じないと言って姿を消してしまいました。私としては、ここではハリーよりもPhineasさんに同情してしまいました。シリウスを探して肖像画から肖像画へと彷徨う様子を思い描いてしまいまして……痛々しい……
それから、ダンブルドアはハリーに説明し始めます。ダンブルドアはまず、ヴォルデモートが自分の動向を探るためにハリーを利用しようとしていると思い誤り、ハリーと距離を置いていたことを詫びます。そして、スネイプ先生の報告でヴォルデモートが予言を手に入れるためにハリーを利用しようとしていることがわかったこと、Kreacherがシリウスの従姉妹にしてルシウス・マルフォイの妻であるナルシッサに服従していてハリーが魔法省に行くように仕向けたこと、スネイプ先生がハリーが罠にはまったことに気付いてフェニックス騎士団のメンバーに知らせたこと、シリウスはアジトに残るように言われたが、従わなかったことなどが語られます。(Kreacherは、シリウスがいないように偽装するためにバックビークに怪我をさせることまでしたとか! 許せません!)
それから、ダンブルドアは5年前に話しておくべきだったと前置きして、ハリー自身にまつわることについて話し始めます。まずは、ハリーのお母さんのリリーさんが残した守護を保つために、リリーさんの血縁者のそばにハリーがいることが望ましかったこと。(そして、例の吼えメールもダンブルドアからのものだったようです。ちょっとつまんないなぁ) そして、ダンブルドアが話すことを先延ばしにしていた経緯が語られた後、いよいよ予言の内容が明らかにされます。
予言を聞いたのはダンブルドア校長で、予言をした人物はまだ先生にはなっていなかったトレローニー先生でした。16年前のことです。(予言の珠に書かれていたS.P.T.とはシビル・P・トレローニーのこと、A.P.W.B.D.とはアルバス・パーシヴァル・ウルフリック・ブリアン・ダンブルドアのことだったのですね) トレローニー先生が2度だけした本当の予言の1つめはこれだった訳ですね。(2つめはヴォルデモートの復活の予言でした。3巻です) そして予言の言葉とは、「闇の王を打ち破る力を持つ者が現れつつある……三度闇の王に抵抗した者達のもとに生まれ、7番目の月が終わる時に生まれた者……そして、闇の王はその者に自らと等しいという印を付けるであろうが、その者は闇の王は知らぬ力を持っている……そして、どちらか一方がもう一人の手によって果てるであろう。というのも、一方が生き延びるがもう一方は生き残れないのである……闇の王を打ち破る力を持つ者は7番目の月が終わる時に生まれるであろう……」
7月31日に生まれて、3度ヴォルデモートの攻撃から逃れた両親から生まれた子供という条件には、ハリーとネビルが当てはまったということです。そして、ヴォルデモートによって傷という形で印をつけられたことによって、ハリーが予言の子供であると確定されたのだそうです。
ハリーは、予言の最後の部分は、最後に自分とヴォルデモートのどちらかが相手を殺すということかと尋ね、ダンブルドア校長はそうだと答えます。
しばらくの間沈黙が続き、ハリーはシリウスのことを思います。シリウスはもう既にずっと遠くに行ってしまったのだと思いながらも、心の何処かでまだあのヴェールをめくったら彼が戻ってくるとような気がするというのが切ないです……
そして、ハリーは初めてダンブルドア校長が涙を流すのを見たのでした。
次章、最終章です。
最終章(2003.8.31〜9.1読 2003.9.10〜14書)
魔法省はヴォルデモートが復活したことを認め、Sunday Prohit(日刊予言者新聞日曜版?)にその記事が載りました。まだハーマイオニーとロンは病室にいるので、みんなでそこに集まって記事を読み、いろいろなことを話し合いました。ダンブルドアが校長として戻ってきたこと、フレッドとジョージのいたずら専門店がうまくいっているらしいこと、Umbridge先生の入院のことなどなど。
再びホグワーツには平和が戻ったかに見えますが、ハリーはその雰囲気の中に溶け込めずにいるようでした。ハグリッドに会いに行くと行って病室を出たハリーは、途中でマルフォイ達に遭遇します。そして、無論マルフォイがケンカを売ってきたのですが、ほとんど渡りに船のような勢いで応戦しようとするハリー。そこへスネイプ先生が登場。いつものようにグリフィンドールから減点しようとするのですが、既にグリフィンドールの点数は減点につぐ減点で0になってしまっています。ではその替わりに……と言いかけたところで、聖マンゴ病院から退院してきたマクゴナガル先生が登場します。彼女はヴォルデモートの復活を警告したことに対して、1人につき50点、つまり、グリフィンドールに250点、レイブンクローに50点を与えます。これで減点できますよ、スネイプ先生って感じで。(さすがはマクゴナガル先生、かっこいいです)
そんな訳でケンカで憂さ晴らしをすることもできず、ハリーはそのままハグリッドに会いに行きます。ハグリッドは、シリウスは他に人を戦いに行かせて自分が残ることなどできない人間だった、もし助けに行かなかったとしたら彼は生きていられなかっただろうと言いますが、ハリーはその言葉も素直に聞くことはできませんでした。
ハリーは一人で湖の岸辺に座って、自分は孤独になってしまったと感じます。それは、シリウスを失ってしまったためだけでなく、予言を知って自分が他の人達とは切り離されたように感じるようになってしまったためでもあるようです。でも、考えまいと思っても、シリウスのことをどうしても思い出してしまうのですね。
ハリーはそんな気持ちのまま学年末の日を迎えます。ハーマイオニーもロンも退院し、Umbridge先生は学校を去ることになり、楽しかるべく学年末の宴会がやってきます。ですが、みんなと同じように楽しむことはできないハリーは、ロンに先に行ってくれと言って荷造りを続けます。その時、ハリーはトランクの中からクリスマスにシリウスからもらった包みに気付きます。彼が「俺が必要な時に使うんだ、いいね?」と言って渡したものですよ。ハリーはほんとに他にどうしようもない、切羽詰まった時じゃないと使っちゃいけないヤバイものなのだと判断して、トランクの奥深くにしまったままにしていたのですね。(第24章の感想では、この件をスルーしてしまったんですよね。きっとこのアイテムは後から出てくるだろうから、その時書けばいいと思って。まさかこんなことになろうとは……)
包みを開いてみると、中身は小さな鏡でした。裏側にはシリウスが書いた説明があり、「これは tow-way mirror というものだ。俺が対になっているもう一方を持っている。もし君が俺と話す必要があったら、これに向かって俺の名前を言うだけでいい。君が俺の鏡に現れ、君の鏡には私が現れて話すことができる。ジェームズと俺は、別々の罰を受けている時によくこれを使ったんだ」と。ハリーはみぞの鏡のことを思い出し、たとえシリウスが死んでいたとしてもこの鏡で話しができるに違いないと思い、鏡に向かって呼びかけます。けれど、何も起こりませんでした。(ここは最高に切ない場面でしたね……)
ハリーは、シリウスは門を通り抜ける時に鏡を持っていかなかったから駄目なんだと結論付け、鏡を元のようにトランクにしまいます。ですが、期待が大きかっただけに落胆は大きく、それを紛らわせるためか乱暴な仕草で荷造りの続きを始めた時に、ハリーはもう一つのシリウスと話す方法を思いつきます。
そして、ハリーはゴーストの首なしニックに、人はゴーストになって戻ってくることができて、完全に消えることはないんだということを確認しようとします。けれど、ニックはシリウス・ブラックは戻って来ないと言います。彼はもう行ってしまっただろうと。(その理由をニックははっきりと教えてくれませんでしたが、確かにシリウスはゴーストになるような性格ではないですよね。死を怖れたりしないし、後戻りはきっとしないでしょうし。悲しいですけど)
ハリーは絶望して寮に戻ろうとするのですが、その途中で偶然ルナと会います。彼女は無くなったもののリストを掲示板に貼っているところでした。ルナはデス・イーターに殺されたのがハリーの名付け親であることをジニーに聞いたと言いました。ハリーはルナもThestralが見えることを思い出し、亡くなったのは誰なのかと尋ねます。ルナは自分の母親だと答えました。ハリーは謝りますが、ルナはヴェールも向こうにいる人達は姿は見えないが声は聞こえると言います。ハリーはルナはやっぱり変わっていると思ったようですが、少し親近感がわいてきたようです。
そして、ホグワーツ特急での帰路、いつものようにマルフォイ達がハリーにちょっかいを出そうと待ち伏せていたようですが、DAのメンバー達が周囲をがっちり固めて撃退してしまったようです。
チョウちゃんもちょっと見かけたのですが、少しの間目を合わせただけで立ち去ってしまいました。そしてハーマイオニーの情報によると、彼女はもう他の人をつきあっているとのこと。でも、ハリーはそれを聞いても自分が傷ついたように感じないことに驚きます。シリウスの死によって、そんなことはもう過去のことになってしまったのですね。(ちなみにチョウちゃんの次の彼氏はジニーちゃんの前の彼氏なんですね。クィディッチのことが原因で別れた模様です。そして、ジニーちゃんは今はディーン・トーマスとつき合っているのですって。すごいな〜、ジニーちゃん。ロンってばすっかり負けてるよ)
とうとうホグワーツ特急はキングスクロス駅に到着します。またダーズリー家での辛い日々が続きます。ハリーはこのまま9月1日乗っていられたらいいのにと思いますつつ、荷物を持って列車を降りました。するとそこには、マッド・アイ・ムーディーとTonks、そしてルーピン先生(更にくたびれた感じなのが痛々しいです……)、ウィーズリー夫妻とフレッド&ジョージが待っていたのです。
ルーピン先生がおっしゃるには、ハリーの叔父さん、叔母さんと少しお話したいと思ってやって来たのだということでした。と言うか、ハリーにひどいことをしたら私達が黙っていませんよ、と脅しをかけに来たみたいな感じでしたね。もちろんルーピン先生はそんなに乱暴なこと言いませんけど、ムーディー先生は脅してるのかと聞かれてはっきりそうだと答えてしまってますし、ハリーが3日音信不通になったら誰かを派遣すると言ってますし。(バーノン叔父さんにそんなことを言っても逆効果じゃないかという気がしますが……)
お別れの時、ルーピン先生はやっぱり「気を付けて」とおっしゃってました。それから、「連絡を絶やさないで」と。
そして、ロンとハーマイオニーはすぐにまた会おうと約束してくれます。(去年の夏休みの罪滅ぼしでしょうか?)
ハリーは何と言っていいか言葉が見つからず、代わりに笑ってみせて彼らと別れたのでした……
というシーンで、5巻は終わりです。ああ、もう、すぐにでも6巻が読みたいですね!
しかし、この最後のシーンはちょっと納得いかないのです。仲間の存在でハリーはシリウスの死から少しずつ立ち直りつつある、といった感じの場面ですが……でも、シリウスの死によってハリーは独り立ちすることを余技なくされる状態になったのだとすると、Orderの皆さんが現れてしまうと保護されている印象をうけてしまうのでいかがなものかと……
まあ、個人的にはルーピン先生が出てきてくれてうれしいんですけど。でも、この間に先生がどう過ごしていたのかということが気になりますね。描かれるはずもない部分なので、想像で埋めていきたいと思いますが。
それでは、長々とおつき合いありがとうございました!