THE DAYS15
「今川!」
「坂本!」
「「第三回!ときめき☆お悩み相談室〜!!!」」
「うわー、パチパチパチ…」
「さあ、良いこの皆は元気かな?」
「今日もやってきましたこのコーナー!司会はわたくし坂本と?」
「素敵に無敵な今川でございまぁーす!」
「はてさてそれでは今日の相談者はどなたでしょう?」
「はぁい、忍術学園の五年ろ組、鉢屋三郎君からのお便りでっす!」
「どれどれ、『僕は最近、今の彼女と付き合い始めて四ヶ月になりました。彼女は相変わらず
かわいくてやさしくて、もうベッタベッタの惚れまくりなんですが、なんだか最近少し倦怠期?なのか
二人の間がぎくしゃくしちゃう気がするんです、どうしたらいいのでしょーか?』」
「何かあったのか?鉢屋」
「だから、俺が知りたいんだよ…」
三郎は机に肘を突いて頭を抱えた。
同様に他の五年ろ組の面子も頭を抱えてみる。
「でもパッと見、全然自然だったと思うけどな」
「甘いぞ坂本。そんなんで忍びが勤まるか」
「じゃぁそういう今川はちゃーんと気付いてたのかよッ!」
「う…、いや、俺は部屋でいっつも鉢屋の溜息と独り言聞かされてるから…」
「ほーら、見てみろ!やっぱりそうじゃん!今川だって人のこと言えないじゃん!」
「なんだとー?少なくとも俺はオマエよりはわか」
「はいはいはいはいはい、痴話喧嘩はそこまで!」
パンパン、と手を叩いて雷蔵が二人の掛け合いを止めた。
「で?三郎はそのことちゃんに言ってみたの?」
「言ってねえよ」
「どうして?」
「…」
雷蔵の問いかけに三郎はぷいと目をそらす。
それでも雷蔵は三郎に問い掛けた。
「どうして」
雷蔵の答えを促す聞き方に、三郎はボソリと口を開いた。
「…せっかく今まで順調にいってたのに、気まずくなりたくなかったから…」
一瞬の沈黙。
次に口を開いたのは坂本だった。
「…聞いた?」
「…聞いた」
次の瞬間バッと顔を見合わせて、坂本と今川がまくし立てだした。
「鉢屋の口から『気まずくなりたくない』なんて言葉が出るなんてッ!?」
「天変地異ッ!嵐の予兆ッ!?」
「数々の女に手を出しては捨ててきた鉢屋から!気遣いの言葉が!」
ギャンギャンと喚きたてる二人を尻目に三郎はぐったり俯いた。
「だからここじゃ言いたくなかったんだよ、お前らが騒ぐから…」
そんな言葉はものともせずに、今川と坂本はどこまでもヒートアップしていく。
もはや別の世界にイってしまった二人を放って置いて雷蔵はさっさと話を進めにかかった。
「じゃあさ、今度ふたりで町にでも出かけたら?」
「町に?」
「そう…だな!考えてみれば、お前ら学園ではしょっちゅう一緒にいるけど
ふたりで町に行ったりとかはしたことないだろ?」
そう言われて三郎は初めて考えてみる。
「そういえば…」
ないかもしれない。
付き合いはじめてもう何ヶ月にもなるというのに、そんな風に遊びに行ったりした事は無かった気がする。
「夏休みに一体何やってたんだか」
痛いところを突かれた気がする。
そうなのだ、夏休みの間、は大木先生の家にいたし、自分は町で小遣い稼ぎに没頭していた。
それに、後半には夏休みの課題に、各地の城にも派遣されていた。
なんだかんだとしているうちにいつの間にか休暇は終わってしまったのだった。
「誘ってみろよ!だって生活がマンネリ化してたから倦怠期になっちゃったのかもしんないし」
「ま、ときには刺激が必要なんじゃない?」
「じゃあさ、今度の週末は!?」
「おう!それがいい!そうしろよ鉢屋!」
「いや、俺まだ誘うとはひとことも」
「ばーか!この機会逃したらもう秋休みまで機会ねえぞぉ!?」
「五年は毎週毎週の実践訓練があるしなぁ」
「ようっし!きまりぃ!じゃあ来週な!」
「…なんで、俺の知らないうちに決まってんだよ…」
「まあまあ、いいじゃない」
結局、その後三郎が口をはさむ隙も無く事が進み、今川がちまちまと計画を練り、
坂本がに約束を取り付けに走り、当の本人である三郎はすっかり蚊帳の外状態になってしまっていた。
(実際に、「後は俺たちに任せとけ!」と教室の外に放り出されたりしてしまった)
「でも三郎、なんか変わったよね」
「そうか?」
「そうだよ。前まで女の人の事なんかてんでほったらかしだったじゃない」
「う…っ、おまえまでそんなこと言うのかよ」
「だってそれは本当でしょ?でも、今はなんていうの?
ウーン…、甲斐性がついた?」
「なんだよそりゃ!」
ははは、と大笑いしてふたりは自室へと戻っていった。
そのひのそらは、なんだか、かげりがちでした。
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