エピローグその1/そして世界は続く

暗い海底から明るい水面に浮き上がるようにぼんやり意識が戻る。 鼻に刺激を感じた。つんとくる消毒液の匂い。 「気がついたか!?」見慣れたポニーテールの女の子の顔が視界に入ったとたん 突然ギュウと抱きつかれた。ちょっと痛い。痛みを感じるということは生きている証拠だ。 …ということは、どうやらここは天国ではないようですね。 私は病院の一室、ベッドの上にいた。左腕に点滴が刺さっている。 「良かった…。もう目が覚めないかと思ったぞ」 舞さんのまなじりに涙が浮かんでいる。 「…彼は、どうなりました」いちばん気になっていることを訊く。 「無事だ。大事をとって集中治療室にいるが、命に別状はない」 よかった。安心した途端、もう一度私は気を失った。 次に私が気づいた時、ベッドサイドにいたのは原だった。 「あ、気づいたのね?具合はどう」 「…舞さんは。」 「彼女、あなたが気がつくまで…2日間、ずーっと寝ずに看病してたのよ。感謝してあげなさい。  無事だって安心したら、気が抜けたみたいね。今は隣の部屋で眠ってるわ。  あの子、あまり丈夫じゃないんだから…」 それから、一呼吸おいて原は言う。 「最初に『舞さん』なんて名前を呼ぶなんて、嫉妬しちゃうわね」 何も持っていない両手で、ナイフで一突きよ。という仕草をする原。 「安心して。今日は刺さないから。ふふ」 横腹の古傷がこころなし痛んだ。 「それ、しゃれになってないですよ…」苦笑する。 「あれから、幻獣が一匹も出現していないのよ。不思議ね…。  このまま戦争、終わるんじゃないかしら?」  そうしたらあなた本当のヒーローね。なんて原は軽口を叩きつつ 今度は本物のナイフで林檎を剥いてくれた。 「小隊のみんな、心配してるんだから。あなたが絢爛舞踏章取った時にひどいこと言ったって  反省してるわよ。早く元気になって、戻ってきなさい。これは命令よ」 消化が良いようにすりおろされた林檎を食べていると、舞さんが病室に入ってきた。 「あら、早いわね。じゃ、私もう戻るから。おジャマ虫はさっさと退散するわ」 原はノブを握って、こちらを見てにっこり笑った。 「個室だからってヘンなことしてちゃダメよ、お二人さん。じゃあね」 そう言って出ていった。お、おのれー。 部屋に2人きりになってから、舞さんは私の目を真剣なまなざしで見た。 「ひとつ訊く。奴を殺さなかったのは、何故だ」 静かに答える。 「…友達を殺すことなんてできませんよ。  絢爛舞踏を取った時、皆に『人でなし』と言われましたが  竜との戦いの時にためらいなくとどめを刺していたら  私はあの時点で、ほんとうに『人間ではなくなっていた』でしょうね」 「私は、何故そなたが攻撃を止めたか分からなかった。  あの時私は『殺さなければこちらが殺されてしまう』と思ったのだ。  でも、結局はそなたの優しさが世界を救ったのかもしれぬ。私の考えでは駄目だったな…」 ベッドに顔を突っ伏した彼女の髪をゆっくりとなでる。 「泣かないでください。私も悲しくなります…大丈夫、もう戦争は終わりますよ。  彼は助かった。今回は、それでもう良いじゃないですか」 −数日後− 最後の戦いで負った傷はさほど大したこともなく直ぐに治り、私は退院することができた。 次の日曜日。 エピローグその2/数日後・病室にて (<Sランクネタバレ内容有。注意。知りたくない方は飛ばして「その3」にどうぞ) エピローグその3/数日後・公園にて

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