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静まった夜の街

一つの部屋から明かりが漏れている。
部屋の中では、一人の青年がパソコンのモニター画面を見つめながら、マウスをスクロールさせている。




招かれざる者

(前編)

作:逃げ馬



「見つかった?!」
高校のブレザーの制服を着た少年が、学校の中を走る。
その後ろから、黒いスカートスーツを着た女性が、長い髪をなびかせながら少年を追いかける。
二人の距離はたちまち縮まり、女性が真後ろまで迫る。
少年が後ろを振り返る。
女性が微笑みながら、右腕を少年に向かって伸ばす。
「うわ〜〜〜〜?!」
女性の手が少年の背中に触れた瞬間、少年の姿を、赤い閃光が包み込んだ。
その光が消えた時、そこには体操服とブルマを身に着けた、黒髪をツインテールに纏めた女の子が座り込んでいた。
「そんな・・・・・?」
女の子は、変わり果てた自分の姿を見下ろしながら、
「・・・・・おんなのこに・・・・・なっちゃった・・・・・」
可愛らしい声で、呟いた。

スマートホンから着信音が聞こえてきた。
あなたは校舎の陰に隠れ、画面をタッチした。
メールが届いていた・・・・・また一人、今度は体操服姿の女の子にされてしまったらしい。
自分でも気が付かないうちに、人の姿がまったくない、この小学校から大学までがそろった学校に連れてこられた10人の男性たち。
その人数は一人ずつ減ってゆき、とうとう半分の5人になってしまった。
あなたは舌打ちをして、スマートホンをポケットに戻そうとしたのだが・・・・・。
「?!」
再び着信音が鳴った。あなたは画面にタッチした。
メールだ・・・・・。

『ミッション 残り20分になると、エリアに100人の鬼が追加される。 それを阻止するには、地図に記載されたボックスに入っているカードキーを使い、武器を入手して鬼を撃退しなければならない。 なお、追加される鬼も武装しており、その攻撃を受けた場合、逃走者は女性となる。 ミッションに参加をするか、しないかは君たちの自由だ』

「・・・・・・」
あなたは唇を尖らせながら、画面を見つめていた。
「・・・・・100人も来るなら・・・・・」
やるしかないだろう・・・・・あなたは地図で場所を確認すると、あたりに視線を走らせた。
大丈夫・・・・・黒いスーツの女性たちはいない。
あなたは走った・・・・・便利な生活に慣れ、運動不足気味の体に自分で腹をたてたが、その対策は生き残ってから考えよう。
あなたは校舎に飛び込み、廊下を見た・・・・・大丈夫、ここにも“鬼”はいない。
そして、その一角にあなたの目指すものがあった。
透明なケース・・・・・その中に、5丁の銃があった。
あなたはその中の一丁を手にした。 腕にずっしりとした重みを感じる。
ふと見ると、円筒形の筒が5本おいてある。
手にとると、先の方にボタンがある。ボタンを押すと、
「オッ?!」
筒の中から青い光が伸びる・・・・・なるほど、接近戦用の武器か・・・・・あなたの顔に微笑みが浮かんだ。これであなたを襲う相手を『斬る』のだろう。
あなたはボックスの中に視線を戻した。キャッシュカードのような樹脂製の『板』が目に留まった。
あなたがそのカードを手にしたその時、あなたの仲間・・・・・『逃走者たち』が校舎に駆け込んできた。
「みんな、こっちだ!」
あなたが声をかけると、4人が駆け寄ってきた。
あなたはケースからライフルとサーベルを取り出し、仲間たちに配っていく。
「それは?」
仲間の一人が、あなたの手の中にあるカードキーを指差した。
「何かの武器を起動させる“鍵”だろうな・・・・・・」
行こう!・・・・・あなたが声をかけると、他の四人も走り出した・・・・・・ミッションをせずに隠れる者がいない、みんなで『戦える』・・・・・あなたの顔には、笑みが浮かんだ。
校舎から中庭に出た。
「?!」
5人が思わず立ち止まる。
そこには、迷彩塗装を施した車両が止まっている。
キャタピラのついたごつい車体の上に、箱のような砲塔が載っている。
その砲塔の両横には、まるで『物干しざお』のような長い筒がついている。
「これで、追加の“鬼”を蹴散らせということか?」
スーツ姿の男が言った。
「お願いできますか?」
あなたは男に、カードキーを手渡した。
「任せておけ!」
男は笑みを浮かべながら頷くと、車体に飛び乗った。
ハッチは砲塔と車体に一つずつだ・・・・・。
「二人乗りだ!」
男が言うと、ジャンバーを着た大学生くらいに見える青年が車体に飛び乗った。
ハッチを開けて、砲塔と運転席に乗り込んだ。
スーツ姿の男が、カードキーを読み取り装置にかざすと、エンジンが起動した。
そして・・・・・。
「あれは?!」
声が上がり、全員がそちらを見た。
美しい青空に、ゴマ粒を撒いたような黒い点が見える。
その黒い点が次第に大きくなり、形がはっきりしてくる。
「・・・・・・オスプレイだと?!」
あなたは思わず叫んだ。
両翼に大きなプロペラを付けた、真っ黒な飛行機が10機、こちらに向かって飛んでくる。
ニュースで何度も見たことがある・・・・・MV-22オスプレイだ。
居並ぶ5人は、呆然としながらその機体を見ていたが、あなたはあることに気が付いた。
「あれに・・・・・“鬼”が乗っているんじゃないのか?!」
「?!」
皆が大きく目を見開いて、空を飛ぶ飛行機を見た。
飛行機の後ろが開く・・・・・・次の瞬間、何かが“落ちて”・・・・・パラシュートが開いた。
次々と、空にパラシュートの花が開いていく。
間違いない・・・・・ここに“空挺部隊”がやってくるのだ。
「飛行機を、撃ち落とせ!!」
あなたは叫ぶと同時に、ライフルの銃口を空に向けた。
皆がそれに倣う。
戦車に乗っている二人は、ハッチを閉めて中に入った。
エンジンの音が高鳴り、キャタピラの音を響かせながら、前進していく。
あなたの持つライフルの射程距離は50m、エネルギーは10発分。引き付けて確実に倒さなければならない。
無駄玉を使うことは、そのまま『女性にされてしまうこと』につながるのだ。
植え込みの陰から、校舎の陰から、そして並木に体を隠しながら、上空から降下してくる“鬼”を狙う。

戦車の中では、二人の男が上空を飛ぶオスプレイを狙っていた。
「くそ・・・・・どんどん降りてくるぞ!」
運転席で、中年の男が吐き捨てるように言った。
「その前に撃ち落してやる!!」
砲手席に座る若い男が、ゲーム機についているようなスティックを操作すると、砲塔が旋回して、砲塔の左右についている長い筒のような対空砲が仰角を上げる。
スティックを操作して、スコープの中心にオスプレイを捉えた。
「くらえ!!」
発射ボタンを押すと同時に、対空砲から青い光が放たれ、一機のオスプレイに命中した。
次の瞬間、オスプレイは赤い光の粒になって消え去った。
「お見事!」
運転席に座る男が言うと、砲手席に座る男が、
「お次は・・・・・」
スティックを操作して、次のオスプレイを中心にとらえて、発射ボタンを押す・・・・・。
対空砲から光が放たれ、またオスプレイが光の粒に変わり消え去った。

「撃て!」
あなたは叫ぶと同時に、引き金を引いた。
ライフルの銃口から、青い光が放たれる。
光はパラシュート降下してくる黒い戦闘服の人間を捉えると、次の瞬間には赤い光の粒となって消え去った。
歓声が上がり、あなたに負けじと他の二人も射撃を始める。

パラシュート降下している一人の顔に、微笑みが浮かんだ。
対空砲が、そして木の陰や建物の陰から放たれたライフルの青い光が空に向かって放たれ、パラシュート降下をしている人に命中するたびに、一人、また一人と光の粒に変わり、姿を消していく。
「さすが・・・・・いったい何人が、下に降りられるのか・・・・・?」
来る・・・・・そう思った瞬間、パラシュートを巧みに操作をして体を揺らす。
その脇を青い光が、空に向かって突き抜けていった・・・・・。


パラシュート降下をしてきた黒い戦闘服を着た人間が、この学校の敷地に足を下ろした。
素早くパラシュートを外すと、頭に被った黒いベレー帽を直して、素早く並木道の木の陰に身を隠すと、あなたたちに銃口を向けた。
銃口から赤い光が放たれ、あなたの脇を閃光が走る・・・・・・。
「?!」
あなたは舌打ちをして、ライフルのスコープを覗く。
銃口から、青い光が放たれるが、木に阻まれて相手を捉えられなかった。

一人が降下をして、援護射撃を始めたことで、一人、また一人と降下に成功するものが増えてきた。
あなたはライフルの残弾を見て・・・・・そして、唇を噛んだ。
ライフルの残弾は、あと2発だ。
木の陰から、校舎の陰から、赤い光が次々に放たれ、上空を飛ぶオスプレイからは、次々にパラシュートの花が開いていく。
それを見ていたあなたの頭の中で、何かがひらめいた。
あなたはライフルを背負い、腰のベルトに挟んだ金属製の筒を取り出した。
唇を強く噛むと、姿勢を低くして走り出した。
誰かの叫び声が聞こえた。青い光があなたを追い越し、赤い光が、あなたを捉えようと次々に放たれる。
あなたは、校舎の陰に潜む黒い戦闘服を着た人影に迫る。
金属の筒についたボタンを押すと、筒から青い光が伸びる。
あなたは人影を見て、息をのんだ。
黒い戦闘服とベレー帽。それを身に着けていたのは、高校生くらいに見える女の子だったのだ。
一瞬、動きの止まったあなたに、彼女は銃口を向けた。
我に返ったあなたは、強引にライフルを奪い取ると、次の瞬間、手にした『サーベル』を横に振った。
重い手応えを腕に感じた瞬間、彼女は赤い光の粒になって消え去った。
あなたは肩で息をしながら、石畳の道に落ちた彼女のライフルを手にした。
拾った彼女のライフルの残弾は8発。
あなたは彼女のライフルを肩にかけ、自分のライフルを手にすると、赤と青の光が交錯する道を横切り、道の反対側に走った。その先には・・・・・別の黒い戦闘服を着た人間がいる。
彼女は、あなたの仲間に向けてライフルを撃っていたが、あなたが走ってきたことに気づくと、銃口をあなたに向けようとした。
あなたはライフルを奪い取り、石畳の道を滑らせて仲間に渡した。
「サンキュー!」
仲間の声が聞こえたが、目の前の黒い戦闘服の女性は、刃先が赤い光を放つナイフをあなたに向けた。
あなたは残り一発になったライフルを放った。
目の前の女性が赤い光に変わり、消えていく。
その時、
「?!」
殺気を感じて振り向くと、ショートカットの髪の女の子が赤く刃先が輝くナイフを手に、あなたに襲いかかってくる。
あなたは咄嗟に、奪い取ったライフルの銃口を彼女に向けると、引き金を引いた。
銃口から青い光が放たれたが、彼女は軽快なバック転をしながら難なくかわし、再びナイフを構えた。
あなたと黒いベレー帽を被った女の子が、殺気を漂わせながら睨み合う。
あなたは悟った・・・・・間違いない、彼女たちは・・・・・。
男の雄叫びが聞こえ、あなたはそちらを見た。
ライフルを手にした、若い男がこちらに走ってくる。
危ない・・・・・あなたは思わず叫んでいた。
「気をつけろ、こいつらは・・・・・!」
一人の女の子が、素早く彼に向かっていく。
男は足を止め、ニヤリと笑うとライフルを構えて引き金を引いた。
銃口から、青い光が放たれた。しかし・・・・・。
「?!」
彼女は、軽快なステップで避けると、男に迫っていく。
慌てた男がライフルを連射した。
しかし、彼女の動きを止めることはできない。
彼女の右手が赤く光った・・・・・握られたナイフの光だ。
彼女はナイフを男の腹に突き刺した。
「ア・・・・・アアッ・・・・?」
痛みがあるわけではない、しかし腹に突き刺されたナイフから、熱い何かが男の体に染み込んでいく。
彼女はナイフを抜くと、バック転をしながら男から離れた。
彼女がピタリと着地した瞬間、男の体は赤い光に包まれた。
光がおさまった瞬間、そこにはチアガールの女の子が座り込んでいた。

「クソッ・・・・・」
あなたは毒づいた。
間違いない、ここにやってきた驚異的な身体能力を持つ女性たちは、TSF界の都市伝説・・・・・一度だけ開催されたゲームに登場した『ガール・コマンド』と呼ばれる女性たちに違いない。
あなたは、ライフルの銃口を、睨み合う女性に向けながら、奥歯を噛みしめた。
「?!」
何かの気配を感じて、あなたは振り向いた。
あなたに向かって、黒い戦闘服を着たボブカットの少女が、赤く輝くナイフで『突き刺そう』としていた。
「冗談ではない!」
あなたはライフルでナイフを払い落とすと、引き金を引いた。
至近距離から放たれた青い光を、彼女は避けることができない。
赤い光の粒が、あなたの前で消えていく。
そのあなたの後ろを、キャタピラの音を響かせながら、戦車が前進して行った。

「やばいぞ・・・・・」
操縦席に座る中年の男が言うと、
「これ以上は、降ろさせません!!」
砲手席に座る青年が、上空を飛ぶオスプレイに照準を合わせた。
発射ボタンを押すと、対空砲から青い光が放たれ、また一機が赤い光の粒に変わった。
これで半分を落としたことになる。
その時、あたりに轟音が響いた。
残った四人が秋の空を見上げ、息をのんだ。
真っ黒にペイントされたF/A18Fスーパーホーネットが急降下してくる。
「逃げろ!!」
あなたは戦車に向かって叫んだ。
戦車の操縦席で、中年の男が舌打ちをするとギアを後退に入れた。
エンジン音が高鳴り、戦車が後進を始めた。
砲手席では、レバーを操作をしてF/A18に照準を合わせた。
トリガーを引くと、二本の青い光が放たれ一機のF/A18が赤い光の粒に変わった。
砲手席の男が唇を噛んで、レバーを操作した。
砲塔が旋回し、対空砲が仰角をかかげる。
スコープに、もう一機の黒いF/A18を捉えたが、あまり距離はない。
対空砲から青い光が放たれるのと、F/A18からミサイルが発射されるのは、ほとんど同時だった。
F/A18に青い光が命中し、赤い光の粒に変わる。
一方、F/A18から発射された2発のミサイルは、戦車を目指して飛んでいく。
「させるか〜〜〜!」
操縦席で中年の男が叫ぶ。
戦車はキャタピラの音を響かせながら後退する。
「ウオ〜〜〜〜ッ!!」
砲手席に座る男が雄たけびをあげながら発射ボタンを押す。
対空砲から青い光が放たれるが、ミサイルを捉えることができない。
二人の男が凍りついた表情で見守るが、どうすることもできない。
ミサイルは戦車に命中し、赤い閃光が輝き、轟音が辺りに響いた・・・・・爆発をして破片が飛び散った・・・・・わけではない。
戦車は赤い光の粒となって消え去り、その後には涙を浮かべたセーラー服姿の女の子が二人、女の子座りをして自分の体を見下ろしていた・・・・・。

「クソッ!」
あなたは歯ぎしりをしながら、目の前に立つ『女性兵士』を睨み付けた。
「?!」
何かを感じて後ろを振り返ると、あなたにライフルの銃口を向けている女性兵士が目に入った。
振り返りざまに、ライフルを放つ。
同時に放ったライフルから放たれた、赤と青の光が交錯する。
赤い光があなたの脇腹をかすめた。
あなたの放った青光は、彼女に命中して、彼女は赤い光の粒となって消えていく。
その時、あなたの視界に仲間に襲い掛かる二人の少女の姿が飛び込んできた。
「逃げろ!!」
あなたは彼に向かって叫ぶと同時に、ライフルを放つ。
しかし、すでに遅かったようだ。
二人の少女が持つライフルから光が放たれ、赤い光が男を包み込んだ。
光がおさまった時、そこには白いビキニを身に着けた女の子が、顔を赤らめながら座り込んでいた。

あなたは唇を噛み、体の中を熱い何かが駆け巡る。
「クソ〜〜〜〜ッ!」
ライフルの銃口を、二人の少女に向ける。
二連射・・・・・銃口から放たれた光は、二人の少女に命中し赤い光の粒に変えていた。
あなたの後ろからショートカットの髪の少女が、ナイフを突き立てようと飛び掛かる。
あなたは振り返り、ライフルを放つ。
しかし、彼女は素早くバック転をして、あなたから離れた。
彼女があなたに向けるナイフの刃先に、赤い光が輝いている。
あなたは、肩で息をしていた。
戦い続けて、仲間たちはみな女の子にされてしまった。
残ったのはあなた一人、しかし、この『エリア』に降りてきた女性兵士も今、あなたの前にいる一人だけだ。
あなたと、ショートカットの髪の少女は、睨み合いながらお互いの隙を窺っている。
しかし、お互い体をピクリとも動かすことができない。
動けば刺される・・・・・あなたは彼女に銃口を向けたまま、隙を窺っている。
ショートカットの髪の少女が、刃先を赤く光らせながら、じりじりとあなたに迫っていく。
あなたは、銃口を彼女に向けながら、じりじりと後ろに下がっていく。
その時、
「?!」
あなたは何かに躓いた。
しまった・・・・・花壇の縁石に?・・・・・あなたが視線を足元に向けた瞬間、少女があなたに飛び掛かった。
避けようとしたあなたは、花壇に倒れこみそうになった。
彼女が握るナイフの刃先で輝く赤い光が、あなたに迫る。
あなたは、無意識のうちにライフルの引き金を引いていた・・・・・。



あなたは肩で息をしていた。
あたりには、大勢いた『美少女兵士』たちの姿はない。
何とか撃退に成功したようだ・・・・・しかし、代償も大きかった。『男性として』生き残ったのは、あなた一人だ。
肩で息をしながら、あなたは立ち上がった。
手にしていたライフルとサーベルを投げ捨て、女の子にされてしまった仲間たちに歩み寄ろうとした。
「?!」
背中に何かが触れた。
振り返ると、黒いスカートスーツに身を包んだ、ロングヘアの美女が、微笑みを浮かべながらあなたを見つめていた。
しまった・・・・・“鬼”が来ていたのか・・・・・そう思った瞬間、あなたの体は赤い光に包まれた。
光が消えたとき、あなたは自分の体を見下ろした。
クリーム色のベストが上半身を包み込み、胸元がふっくらと膨らんでいる。
そこにえんじ色のリボンタイがアクセントを添えている。
制服の紺色のプリーツスカートから延びる、健康的な太腿。
「そんな・・・・・?」
呟いたその声は、可愛らしい女の子の声だった。

あなたは、17歳の女子高校生の女の子にされてしまった・・・・・。




こんなところで『変身中』

(おわり)



青年はプラウザを閉じると、小さなため息をついた。
液晶画面から視線を外し、部屋の窓の外を見た。
窓の外には、夜の街の明かりが輝いている。
吉野修平は、机の上に置かれたパソコンの電源を切ると、ベッドの中に入った。
彼はTSF小説を読むのが好きだ。
あんなシチュエーションに出会ったら?・・・・・彼はなかなか寝付かれずに、ベッドの中で寝返りをうっていた。



翌日
吉野修平は、大学の講義に出席した。
講義の間には、スマートホンでTSF小説サイトをチェックする。
その修平の前を、女子大学生たちが歩いて行く。
彼女たちの姿を見て、修平は思わずため息をついた。
二つの胸のふくらみ・・・・・細いウエスト・・・・・スカートから延びる、美しい脚・・・・・彼女たちのようになってみたい・・・・・。
修平は、TSF小説ファンの間で囁かれている『都市伝説』を思い出した。
あるTSF小説サイトを見ていた男の姿が消えて、怪しげなゲームに参加をさせられた挙句に、美女にされてしまった。
またあるものは、男子禁制の女子高に入り込んで、未知の力で美少女にされてしまった・・・・・。
修平は、ベンチから立ち上がると、傍らに置いてあったバッグを手にして校内を歩き始めた。

男子禁制の女子高・・・・・もしかすると・・・・・・?

修平は大学を出ると、駅に急いだ・・・・・駅にはちょうど、銀色の車体にクリーム色と紺色のラインが入った横須賀行きの電車が滑り込んできた。




招かれざる者(前編)

おわり





<後編へ>




作者の逃げ馬です。

山口提督から頂いた掲示板へのカキコから生まれたこの作品。
『TSF界の都市伝説(笑)』をファンの青年が追いかけるという物語になります。
そして、今回は『劇中劇?』
あの名作ロボットアニメの名場面、ジャ○ロー攻略戦を作中で再現してみました(笑)
書き手は、ノリノリで書いていました(^^)

さて、修平君は『TSF界の都市伝説』を自分で確かめるため、ある場所に向かいます。
その場所で待っているのは・・・・・?

よろしければ、後編におつきあいください(^^)



なお、この作品に登場する団体・個人は、実在のものとは関係はありません。



2014年11月1日

逃げ馬








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