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ビアパーティーのあとに



作:逃げ馬




鬱陶しかった梅雨が明けて、厳しい暑さの夏がやって来た。
朝からギラギラと照りつける太陽。
アスファルトで舗装された道は、まるでフライパンのように熱くなり、日射しと道路からの照り返しで顔や腕が、まるで海に行ってきたかのように日焼けしてしまっている。
あなたは、行き交う人たちに視線を向けた。
みんな、学校や仕事に追われているのに・・・・・思わず苦笑いしてしまう。
会社に着くと、いつものように仕事が始まった。
オフィスのあちこちで電話が鳴り、コピー機は忙しそうに書類を吐き出す。
あなたの前や後ろから、カタカタとコンピューターのキーボードを叩く軽快な音が聞こえてくる。
あなたはコンピューターのモニターから視線を外して窓の外を見た。
夏の厳しい日射しを浴びた木々の緑が、風に揺れている。
今日は退社後に、仲間たちとビアガーデンに行く事になっている。
あなたは気持ちを切り替えると、モニター画面に視線を戻し、仕事を始めた。



社内に終業を知らせるチャイムが鳴ると、定時で帰る社員達が、「お先に失礼します」と、挨拶をして家路につく。
あなたも机を片付けると、腰を上げた。
「オウッ!」
先輩の立野行夫(たての ゆきお)が、あなたの肩をポンと叩いた。
「さあ、行こうぜ」
そう言うと立野は、あなたに向かってビールのジョッキを持つマネをして見せた。
あなたは笑いをこらえながら、
「行きましょう」
立野が笑いを浮かべながら歩き出す。
あなたも急いで、立野の後を追った。



西の空に夕日が沈もうとしている。
オレンジ色の空は、高さを増すにしたがって青みのある紺色から濃紺に、そして暗い夜空に変わっていく。美しいグラデーションだ。
夏の夕暮れの空を、あなたはデパートの屋上ビアガーデンで、会社の同僚達と共に、ビールのジョッキを片手に持ちながら眺めていた。
「それでは、今日もお疲れ様でした・・・・・」
「乾杯!」
あなたは冷えたビールを喉に流しこんだ。
「フ〜ッ・・・・・」
思わず声が出て、そして笑顔になる。
「美味い!」
立野はジョッキを空にしている。
あなたは驚いて立野の顔を見たが、
「さあ、ガンガン飲もうぜ!」
「オーッ!」
周りは、立野と同じように盛り上がっているようだ・・・・・こうなると「ほどほどに」なんて言うのは野暮だ・・・・・あなたは肩をすくめ、そしてジョッキのビールを飲み干した。



空はすっかり暗くなり、月が美しく輝いている。
そして、デパートの屋上では、ビアパーティーが終わろうとしていた。
「それでは、明日も頑張りましょう・・・・・」
立野が、ちょっと呂律の回らない口調で乾杯の音頭をとると、
「乾杯!」
明日も頑張ろう!・・・・・皆が空のジョッキを掲げた。
皆が次々に席を立つ。
「ありがとうございました」
店員の元気な声に送られて、ビアガーデンを出ると、立野がエレベーターのボタンを押した。
「これから、ラーメンを食べる人?!」
酔いが回って、すっかり赤い顔になった立野が、手を挙げながら尋ねた。





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