あなたは“鬼”に追われて走り出した。
あなたの後ろからはポニーテールに纏めた黒髪を揺らしながら美女・・・“鬼”が迫ってくる。
あなたは必死に走る。
呼吸が荒れて胸が苦しくなり、あごが出てくる。
あなたの右手には花壇が広がっている。色とりどりの美しい花々も、今のあなたには目に入らない。
しかし、その花壇の奥にあるのは・・・?
『・・・温室か?!』
あそこに隠れよう・・・あなたは最後の力を振り絞る。
奥歯を噛みしめ、全力で走る。
ポニーテールの美女も後ろから迫る。微笑みすら浮かべながら・・・。
「くそ〜〜〜〜?!」
あなたは叫ぶと同時に温室に入りドアを閉めた。そのまま温室の奥に走る。
美女も温室に入ろうとしたが、ドアが閉まっているので一瞬、戸惑ったようだ。
その間にあなたは反対側のドアから温室を出ると、温室の裏に回った。
大きく深呼吸をしながら、美女・・・“鬼”の様子を窺うあなた。
彼女はしばらくあたりを見回して、あなたを探していたが、やがて諦めて歩き去っていく。
あなたは大きく息をつくと、右腕に視線を落とした。
タイマーが時を刻んでいる。
その時間は・・・?
あなたの表情が凍りついた・・・。
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